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浜松ホトニクス、生産ライン向け低エネルギーのライン照射型電子線照射源を受注開始

2013-11-06

容器やフィルムの滅菌、樹脂の架橋、印刷のインキ硬化など
生産ライン向けに照射幅を現行品の2倍の300mmに
電子線照射源「EBエンジン」の新製品


 当社は、照射幅をA3サイズ処理が可能な現行品の2倍の300mmにした、低エネルギーのライン照射型電子線照射源「EBエンジン」を、医薬品容器や包装フィルムの滅菌、樹脂表面改質(架橋等)、印刷のインキ硬化などの生産ライン向けに、国内の各種メーカーに12月2日より受注を開始します。また、照射実験用装置を当社デモルームに用意し、同日より顧客からの試料持ち込み評価も開始します。
 なお、本製品は、11月7日(木)から3日間、アクトシティ浜松浜松市中区)で5年ぶりに開催される、浜松ホトニクス総合展示会「フォトンフェア2013」に出展します。


<製品の概要>
 EBエンジンは、真空チャンバー内でフィラメントから生じた熱電子を高電圧で加速してエネルギーを高め、出射窓から電子線を大気中に照射するものです。加速電圧70kV以下の低エネルギーの電子線照射源は、当社独自の技術で、2008年に技術発表した当社製照射幅150mmのEBエンジン以来、競合製品がありません。
 本製品は、窓材に特殊金属箔を採用することで、現行品の2倍の照射幅300mmで試料に照射し、管電流8mAと充分な線量により、生産ラインでの採用を可能としました。また、低加速電圧(50〜70kV)のため、大気中に取り出される電子のエネルギーは、数10キロエレクトロンボルト(以下keV)と極めて低く、試料の深部まで電子線が浸透することなく表層で止まり、試料内部への影響を極力低減して、表面のみを改質させることが可能です。さらに、小型、軽量で低消費電力、高い耐久性を達成しています。従来の大型電子線照射源に対し遮蔽の簡素化につながり、容易に搬送ラインに導入できるため、電子線照射による優れた加工技術を身近なものにします。
 低エネルギー電子線は、幅広い分野で応用が期待されます。例えば、電子線により発生するラジカルによりDNAなどの生体高分子に作用してダメージを与え滅菌効果があるため、医薬品の容器や包装用フィルムなどの表面滅菌処理に有用です。また、樹脂の塗装やメッキの前処理で表面に親水性を付与するため塗装を容易にすることや、接着強度の向上にも効果を発揮します。その他にも、電子線で硬化する専用インキを用いた印刷にも応用できます。専用インキは、溶剤や光重合開始剤が不要で環境にやさしく、電子線照射を利用することで硬化時に熱の発生が少なく耐熱性の低い材料にも印刷できるため、環境性・耐久性において優れた印刷手法を可能にします。


<主な特長>
1、現行品の2倍の照射幅300mmを実現
 本製品は、偏向コイルにより電子ビームを振ることによって、出射窓から300mm幅の電子線を均一に照射します。窓材に透過性の良い軽元素の特殊金属箔を採用し、独自の技術により真空耐圧強度を確保し、300mm幅を実現しました。また、充分な線量を確保するため、電子銃を改善して管電流を8mAまで上げています。これにより、生産ラインのスピード対応を可能にしました。1m幅フィルムへの照射に対しても、3台の組み合わせで対応可能となります。

2、50〜70kVの低加速電圧で表面のみを改質、試料内部への影響を極力低減
 低エネルギー電子線は、試料の表面で吸収されるため、試料内部への影響が低減されます。本製品は、最大加速電圧を70kVとし、数keVから数十keVの低エネルギー電子線を照射するため、フィルムなどの試料の最表面数十μm以内を改質・化学変化させます。

3、高い改質効率
 大気中への低エネルギー電子線の発生に成功。この低エネルギー電子線は対象試料表面で全て吸収されるため、電子線のエネルギーが全て改質に寄与します。そのため、従来の高いエネルギーの電子線照射に比べ改質の効果を大幅に高めることが可能となりました。省エネ化に大きく寄与します。

4、エックス線遮蔽の簡素化
 電子線照射に伴い二次的にエックス線が発生します。この発生エックス線のエネルギーは加速電圧により決まるため、従来の高いエネルギーの電子線照射源に比べ、発生するエックス線のエネルギーは低く、遮蔽が簡素化されます。搬送ラインに導入しやすいことも優位な点です。

5、小型・軽量、低消費電力、長寿命
 低加速電圧での駆動や構造の最適化により、消費電力の低減、電子線照射源の小型・軽量化を実現しました。また、電子透過性が高い特殊金属箔を出射窓に用い空冷方式の冷却機構を付加することで、長寿命を実現し、消耗品である出射窓とフィラメントの交換を年1回程度に抑えます。従来の大型または高いエネルギーの電子線照射源に用いられる水冷機構が不要になり、冷却水による水漏れ等の不具合も発生しません。

6、消耗品交換による低ランニングコスト
 他社製電子線照射源は、真空封じ切型のため、窓箔や電子銃が寿命を迎えた場合、それらのみの交換が不可能で新たな電子線照射源を購入する必要があり高額なメンテナンスコストが発生します。当社の低エネルギー電子線照射源は、窓箔や電子銃が簡単に交換できる開放型を採用しました。これにより、消耗品を定期交換することで低予算での生産ラインの維持管理が可能となります。消耗品交換には専門のサービスマンによる作業は必要なく、お客様自身による交換を可能とし、交換後の調整は必要ありません。


 ※以下、開発の背景などリリース詳細は添付の関連資料を参照


 「EBエンジン」は浜松ホトニクス株式会社の登録商標です。


「この件に関するお問い合わせ先」
■一般の方
 浜松ホトニクス株式会社
 電子管事業部 第5製造部
 〒438−0193 静岡県磐田市下神増314−5
 TEL0539−62−3151
 FAX0539−63−0206

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