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カゴメなど、乳酸菌「ラブレ菌」のインフルエンザウイルスに対する防御効果を確認

2013-10-23

カゴメ保有の乳酸菌「ラブレ菌」の
インフルエンザウイルスに対する防御効果を動物試験で確認
〜日本食品免疫学会(10月17日−18日)にて本日発表〜


 カゴメ株式会社(社長:西秀訓)は、ニュージーランドのAgResearch(アグリサーチ)社(注1)との共同研究により、弊社保有のラブレ菌(ラクトバチルス・ブレビス・KB290)(以下、ラブレ菌と表記)が、さまざまな防御メカニズムを活性化させ、インフルエンザウイルス感染に対して防御効果を発揮することを動物試験で明らかにしました。なお、ラブレ菌(注2)は免疫力の高い乳酸菌として、ルイ・パストゥール医学研究センターの岸田博士によって京漬物の“すぐき”から発見された乳酸菌です。
 本研究ではインフルエンザウイルスをマウスに感染させ、健康状態を評価しました。インフルエンザ感染の重さの指標となる体重減少及び健康状態スコアを調査した結果、ラブレ菌をあらかじめ摂取していたマウスでは体重減少が軽減され、健康状態スコア(注3)の悪化も緩和されました。また、ラブレ菌は、ウイルスから身を守るために私たちの体に備わっている3つの主な防御メカニズム(1.細胞傷害活性(注4)、2.インターフェロン(IFN)−α(注5)産生、3.抗体(注6)産生)を活性化し、免疫力(注7)を高めることがわかりました。(下図)。以上の研究結果より、ラブレ菌の摂取がインフルエンザウイルスに対して防御効果があることが明らかになりました。
 なお、本研究成果は、本日から開催されている日本食品免疫学会第9回学術大会(2013年10月17日〜18日)で発表致します。

 ※参考画像は、添付の関連資料を参照

■研究概要

1.背景および目的
 ラブレ菌発見のきっかけは、「京都の男性は全国2位の長寿」である(当時)との新聞記事でした。この記事を読んだルイ・パストゥール医学研究センターの岸田博士は、京都人が好んで食べる漬物にその秘密があるのではないかと考え、様々な京都の漬物を調査し、とりわけ酸味のある“すぐき”の中から、免疫力を高める作用(以下、免疫賦活作用と表記)を持つ「ラブレ菌」を見出したのです。そして、その後の研究により、ラブレ菌の免疫賦活作用は確かなものであることが裏付けられてきました(図1)。
 免疫力を高めることでさまざまな感染症の予防が期待できますが、今回は、ラブレ菌がインフルエンザウイルスに対して効果があるかどうか、動物試験にて確かめました。毎年多くの患者が出るインフルエンザの予防方法には予防接種やマスクの使用がありますが、予防接種の有効率は、特に小児や高齢者では必ずしも高くなく、食生活で免疫力を高めることができれば、効果的な予防に有効であると考えられます。

 ※図1は、添付の関連資料を参照

2.ラブレ菌がインフルエンザウイルス感染による症状に及ぼす影響
 インフルエンザウイルス感染に対しラブレ菌がどのような影響を及ぼすかどうか、感染により引き起こされる症状を指標にして調べました。
 実験にはメスの試験用マウス(BALB/c、1群10匹)を用い、ラブレ菌粉末(摂取量;10億個/日)、ないしはラブレ菌を含まない粉末を14日間摂取させました。その後、インフルエンザウイルスA/PR/8/34(H1N1)を感染させ、感染から7日目までの体重ならびに健康状態スコアを評価しました。
 その結果、感染による体重減少ならびに健康状態スコアの悪化はいずれも、ラブレ菌をあらかじめ摂取させたマウスにおいて、摂取させなかったマウスに比べて改善されました(図2−A,B)。すなわち、ラブレ菌には、インフルエンザウイルスに対する防御効果があると考えられました。

 ※図2は、添付の関連資料を参照

3.ラブレ菌摂取によるインフルエンザウイルス感染防御効果のメカニズム
 では、ラブレ菌はどのようにインフルエンザウイルスに対して防除効果を発揮しているのでしょうか。私たちの体が備えている、インフルエンザウイルスに対する主な防御メカニズムを図3に示しました。

 ※図3は、添付の関連資料を参照

 これまで、ラブレ菌はヒトのインターフェロン(IFN)−αの産生能や、がん細胞や感染細胞を殺す力である細胞傷害活性を高める作用をもつことが報告されております。IFN−αや細胞傷害活性は、ウイルスに対する重要な防御メカニズムであることから、ラブレ菌のインフルエンザウイルス感染に対する効果も、この2つのメカニズムを介している可能性が考えられました。そこで、インフルエンザウイルス感染後3ならびに7日目に、ラブレ菌をあらかじめ摂取したマウスと摂取しなかったマウスとで、IFN−α量ならびに細胞傷害活性に違いがあるのかを調べました。あわせて、感染後7日目に、これら以外の重要な防御メカニズムであるウイルスに対する抗体の産生量も調べました。

 その結果、ラブレ菌をあらかじめ摂取したマウスの血中のIFN−α量(図4−A)ならびに脾臓の細胞傷害活性(図4−B)は、ラブレ菌を摂取しなかったマウスに比べて高くなりました。さらに、肺におけるウイルスに対する抗体量の増加(図4−C)もみられました。すなわち、ラブレ菌は、私たちの体が備えている主な防御メカニズムであるIFN−αの産生、細胞傷害活性、ならびに抗体の産生を活性化することによってインフルエンザウイルスに対して防御効果を示していると考えられました。

 ※図4は、添付の関連資料を参照


《まとめ》
 今回の一連の実験結果から、ラブレ菌には、インフルエンザウイルスに対する防御効果があることが判りました。さらにその効果は、私たちの体が備えているさまざまな防御メカニズムを活性化することで発揮されていると考えられました。今回の結果は動物試験で得られたものであり、実際にヒトがラブレ菌を摂取することでインフルエンザを予防できるか否かは今後の検討課題です。


 ※用語の説明・学会発表の要旨は、添付の関連資料「参考資料」を参照

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