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キリン、東大と共同で細胞内温度を計測する技術を開発

2013-10-18

<参考資料>
東京大学と共同で、細胞内温度を計測する技術を開発!
〜酵母細胞の細胞内温度の計測に世界で初めて成功!〜


キリン株式会社(社長 磯崎功典)の基盤技術研究所(横浜市金沢区、所長 水谷悟)は、東京大学大学院薬学系研究科との共同研究で細胞内温度計測用の蛍光プローブ※1を開発し、それを用いて、酵母細胞やほ乳類細胞の正確な細胞内の温度計測を実現しました。今回の研究開発により、今まで困難だった酵母細胞の細胞内の温度計測に世界で初めて成功したことになります。

※1蛍光を発する試薬の一種。蛍光色素を含む構造体で、観察者が観測したいものや事象を蛍光で可視化するもの。今回新たに開発した蛍光プローブは、温度によってその構造が変化し、それに伴い蛍光強度などが変化する。これを導入した細胞を蛍光顕微鏡下で観察することで、生きている状態での細胞内温度変化を鋭敏にとらえることができる。

古くより、細胞の複雑な機能は細胞温度と密接な関係にあると考えられてきました。特に酒類などの発酵品の製造工程においては、細かい温度調整を行いながら微生物の働きを制御しており、細胞の温度制御が非常に重要です。また、医学分野でも、がん細胞などの病態細胞は正常細胞と比較して高温であることが指摘されており、細胞の温度計測への注目が高まっています。
東京大学では、以前より蛍光プローブを用いた細胞内の温度分布計測の技術を実現していましたが、細胞へ蛍光プローブを導入する際に特別な装置や技術を要するほか、微生物などの小さい細胞には非常に利用しにくいという課題がありました。

今回、同大学と当社基盤技術研究所は、従来の細胞内温度計測用の蛍光プローブを改良して細胞への導入を簡易にし、酵母細胞内の温度計測を世界で初めて実現しました。
具体的には、蛍光プローブの構造内にプラス電荷※2を持った分子を組み込むことによって、蛍光プローブを細胞懸濁液※3中に混ぜるだけで出芽酵母の細胞※4に導入できるようにしました。細胞内に導入された蛍光プローブは細胞の温度変化に応答し、最高で0.09℃の微小な温度差を検出できたほか、酵母細胞だけでなくほ乳類細胞にも適用できるなど、高い汎用性を備えていることを実証しました。

※2物質が帯びている電気量のこと。プラス(正)の電気を帯びたものは細胞の中に入りやすいと言われている。
※3細胞を水や糖溶液などに分散させた液。細胞を溶液に入れて、よく混合することで簡単に作製できる。
※4ビールなどの酒類製造やパン製造で広く用いられる酵母の種類。酵母に関する基礎研究においても最も頻繁に利用されている。今後は、この蛍光プローブを用いて発酵における酵母の細胞内温度変化について細かく調査し、発酵過程のさらなる理解を進めていきます。さらに、本技術によって得られた知見が発酵品の生産に生かされるとともに、細胞の機能と温度との密接な関係が明らかになり、今後の生物学や医学の発展を促すことも期待されます。

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