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東京商工リサーチ、「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向を発表
〔特別記事〕
「中小企業金融円滑化法」に基づく
貸付条件変更利用後の倒産動向
〜9月は38件負債総額が過去最大の552億円〜
2013年9月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更後の倒産は38件で、2012年10月以降、12カ月連続で前年同月を上回った。2013年1−9月累計は、前年同期より倍増の350件(前年同期171件)と、高水準な推移が続いている。
<9月の負債総額過去最大の552億円>
9月の負債総額は552億1,400万円(前年同月比786.6%増)に増大した。調査を開始した2010年1月以降では、2012年4月(353億800万円)を上回り、過去最大になった。要因としては、看護師向け衣料販売他の(株)レモール(TSR企業コード:571175805、負債134億円・民事再生法)など負債100億円以上の大型倒産が3件(前年同月ゼロ件)発生したことによる。これらは業績回復が進まず、自力による経営建て直しが難しくなったことで法的手続きに踏み切った。
円滑化法関連倒産は、小規模企業が中心で推移してきたが、9月は円滑化法を利用した中堅企業の倒産が目立ち、今後の動きが注目される。
<9月産業別製造業が最多15件>
9月の産業別では、製造業が15件(前年同月6件)で最も多かった。次いで、卸売業8件(同3件)、建設業6件(同3件)、小売業4件(同3件)と続く。
9月の従業員数別では、5人未満が10件(前年同月比233.3%増、前年同月3件)と多かったが、50人以上も6件(前年同月ゼロ件)で増加が目立った。
<2013年1−9月の負債額別1億円以上5億円未満が約半数を占める>
2013年1−9月の累計350件の負債額別では、1億円以上5億円未満が174件(前年同期比100.0%増、構成比49.7%)で最も多かった。一方、5千万円未満の小規模・零細企業も39件(同200.0%増、前年同期13件)で3倍増で推移している。
※「円滑化法関連倒産月次推移」は添付の関連資料を参照
<2013年1−9月の原因別販売不振が最多>
2013年1−9月の原因別では、最多が販売不振の197件(前年同期比116.4%増、前年同期91件)だった。また、既往のシワ寄せ(赤字累積)も79件(同113.5%増、同37件)と増加が顕著で、依然として業績回復の遅れから息切れする企業が多いことを浮き彫りにした。
<2013年1−9月の形態別破産が全体の6割>
形態別では、消滅型の破産が217件(前年同期104件)で最も多く、全体の6割(構成比62.0%)を占めた。これに対し、再建型の民事再生法は23件(前年同期16件)だった。
金融円滑化法に基づく貸付条件変更を利用した企業の中では、業績不振が続き事業継続を断念するケースが多いことを示した。
<2013年1−9月の従業員数別従業員数5人未満が3倍増>
従業員数別では、5人未満が111件(前年同期比208.3%増、前年同期36件)で増勢が目立つ。
また、5人以上10人未満は84件(同55.5%増、同54件)だった。この結果、従業員10人未満は195件(構成比55.7%、前年同期90件)で、小規模・零細企業が全体の約6割を占めた。
※以下の資料は添付の関連資料「参考資料」を参照
・産業別倒産状況(1−9月)
・原因別倒産状況(1−9月)
・形態別倒産状況(1−9月)
・資本金別倒産状況(1−9月)
・負債額別倒産状況(1−9月)
・従業員数別倒産状況(1−9月)
・産業別 件数構成比
・原因別 件数構成比
・形態別 件数構成比
・資本金別 件数構成比
・負債額別 件数構成比
・従業員数別 件数構成比