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アンリツ、TD−LTE携帯端末・チップセットの評価を可能とするLTE TDDオプションなど販売
TD−LTE計測ソリューション拡充
TD−LTE通信端末の接続性とスループット性能評価を実現
シグナリングテスタ LTE TDDオプション MD8430A−061
ラピッドテストデザイナー Framework LTE TDDオプション MX787201A−029
アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、TD−LTE(注)計測ソリューションを拡充。新たに、シグナリングテスタMD8430Aおよびラピッドテストデザイナー MX786201Aを用いたテストシステムで、TD−LTE携帯端末・チップセットの評価を可能とするLTE TDDオプション MD8430A−061およびFramework LTE TDDオプション MX787201A−029を開発。1月19日から販売を開始します。
MD8430A−061を搭載したMD8430AとMX787201A−029を搭載したMX786201Aを組み合わせて使用することにより、TD−LTEの擬似ネットワーク環境下で、携帯端末・チップセットの接続性やスループット[(※1)]性能を評価できます。
TD−LTEは、中国やインドなど急速に経済発展を遂げる地域や新興国で導入が予定されている高速データ通信方式であり、将来のサービス開始に向け携帯端末・チップセット開発が本格化しています。
商用ネットワークが存在しない中、アンリツはMD8430AおよびMX786201AでTD−LTE携帯端末・チップセットの接続検証を可能としたことにより、TD−LTEサービスの円滑な商用化に貢献いたします。
注:TD−LTE
3GPP LTE規格にはFDD方式とTDD方式の2つがあり、TD−LTEはTDD方式のLTE規格である。FDD方式は使用する周波数帯域を送信用と受信用に分割し同時に送受信するが、TDD方式は送受ともに同一周波数帯域を使用し、短い時間間隔で送受信を切り替えて交互に伝送する。
[開発の背景]
モバイルブロードバンドサービスの進展にともない、日・米・欧の一部通信事業者はFDD LTEサービスを開始しました。また中国・インドなどでは、TDD方式のLTEサービス TD−LTEの導入が計画されています。上海万博ではフィールドトライアルが公開されるなど、研究開発が進展しており、基地局との通信状態で携帯端末・チップセットの詳細な評価が必要とされる段階に入っています。
アンリツは、従来からTD−LTEの基盤となっているTD−SCDMA方式[(※2)]、上記FDD LTE方式において、携帯端末・チップセットの初期開発から規格適合試験、製造、事業者受入試験、基地局建設・保守まで対応した計測ソリューションをグローバルに提供しています。
こうした取り組みで蓄積してきた技術をTD−LTEにも展開しており、業界で初めてGCF[(※3)]認証を取得したRFコンフォーマンステストシステムME7873Lや開発・製造用計測器MT8820Cを提供しています。
さらに今回、上記市場動向を踏まえ、TD−LTE計測ソリューションを拡充。新たにシグナリングテスタMD8430Aとラピッドテストデザイナー MX786201Aを用いたテストシステムでTD−LTEの擬似ネットワークを構築し、携帯端末、チップセットの接続性やスループット性能評価を可能としました。
[製品概要]
LTE TDDオプション MD8430A−061は、シグナリングテスタMD8430A用オプションです。MD8430A本体にインストールすることにより、最新のTD−LTE規格に準拠した疑似基地局として動作します。
Framework LTE TDDオプション MX787201A−029は、ラピッドテストデザイナー MX786201A用オプションであり、TD−LTE携帯端末・チップセットの接続性やスループット評価で必要となるテストケース[(※4)]を容易に作成できます。
上記オプションを搭載したMD8430AとMX786201Aを組み合わせて使用することにより、TD−LTEネットワークを擬似的に構築し、TD−LTE端末・チップセットの符号・復号[(※5)]試験やプロトコル[(※6)]試験、スループット性能評価が可能。実際のTD−LTEネットワークが存在しない中においても、さまざまな接続検証が行え、TD−LTE端末・チップセットの品質向上に貢献いたします。
また、別売のフェージングシミュレータMF6900Aも併せて接続することにより、3GPP LTE規格が定めた全ての伝搬条件や、時速500kmで移動する端末の無線環境などを作り出すことができ、フェージング[(※7)]下の各種検証が効率良く行えます。
<シグナリングテスタMD8430A>
MD8430Aは、3GPP LTE対応携帯端末、チップセット開発用基地局シミュレータです。LTE端末・チップセットにおける基地局との通信手順の確認や実基地局では困難な試験など、さまざまな条件下で開発・検証が効率的に行えます。
<ラピッドテストデザイナー MX786201A>
MX786201Aは、端末・チップセットの評価で必要とされるテストケースを作成できるPCソフトウェアです。標準添付のライブラリー集からフローチャートでテストケースを作成でき、開発工数を削減できます。
[対象市場・用途]
■対象市場:通信端末メーカー、チップセットメーカー、通信事業者など
■用途:TD−LTE携帯端末・チップセットの開発、性能評価
[営業情報]
■販売開始日:平成23年1月19日
■予定販売台数(初年度1年間、国内海外計)
LTE TDDオプションMD8430A−061:30セット
Framework LTE TDDオプションMX787201A−029:30セット
■価格:
LTE TDDオプションMD8430A−061:1,000万円
Framework LTE TDDオプションMX787201A−029:250万円
<参考>
シグナリングテスタMD8430A+ラピッドテストデザイナー MX786201A:4,000万円〜
フェージングシミュレータMF6900A:900万円〜
[用語解説]
(※1)スループット
時間あたりの処理能力のこと。データ転送速度を1秒間で伝送できるパケットデータの量で表す。
(※2)TD−SCDMA:Time Division Synchronous Code Division Multiple Access
中国移動で採用されている第3世代移動通信方式の一つ。
(※3)GCF:Global Certification Forum
携帯端末のグローバルな相互接続性(Interoperability)を保証するためネットワークでの運用基準や携帯端末の規格適合試験基準を定めている団体。
(※4)テストケース
シミュレーションに用いられる端末がネットワークへ接続する手順や設定状態を定義したファイル。
(※5)符号・復号
音声や文字などを、通信で用いるディジタル信号へと変換する処理を符号化という。符号化した情報を音声や文字に戻す処理を復号化という。
(※6)プロトコル:Protocol
規格で定められた端末とネットワーク間の通信手順。
(※7)フェージング
電波の波長が障害物や反射物の影響を受け、干渉し合うことによって電波レベルの強弱が時間経過により変化すること。送受信する端末そのものが移動することによっても、フェージングが発生する。
お問い合わせ先
アンリツ株式会社
計測サポートセンター
TEL.0120(827)221
E−mail:MDVPOST@anritsu.com
※ 製品画像は、関連資料参照