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帝国データバンク、広告関連業者の倒産動向調査を発表

2013-08-15

特別企画:広告関連業者の倒産動向調査
「広告代理業」の倒産は過去最悪に迫るペース
〜小規模倒産の増加傾向が強まる〜


【はじめに】
 帝国データバンクが3月に発表した「広告関連業者の倒産動向調査」では、2012年の倒産件数は3年ぶりに増加に転じた。その一方で、2月21日に電通が発表した「日本の広告費」によると、2012年の総広告費は前年比103.2%の5兆8913億円となり、東日本大震災の反動増などから5年ぶりに前年実績を上回った。政権交代以降、いわゆるアベノミクス効果により円安株高が演出され、7月21日に行われた参院選における自民党の圧勝を受けて、さらなる景気回復への期待が高まっている。
 しかし、リーマン・ショック東日本大震災、その後の景気低迷の影響から業界環境が悪化、出稿は戻っても広告単価はリーマン・ショック前には及ばないとみられる。今後は、景気回復局面で受注の増加も予想されているものの、その恩恵が中小零細業者まで波及するかについては不透明だ。
 帝国データバンクは、2013年(1〜7月)の広告関連業者の倒産動向について、調査・分析した。


【調査結果(概要)】

1.2013年(1〜7月)の広告関連業者の倒産件数は、前年同期比3.7%増の141件で、2012年に引き続き増加傾向を示した。円安・原材料高に起因する紙の価格高騰など、倒産増加に繋がり得る要因もあることから、出版・印刷など周辺業界も含めて今後の動向が注目される

2.特に、「広告代理業」が前年同期比16.4%増の64件と過去最悪に迫るペース。全体に占める構成比は約45%

3.負債額5000万円未満の倒産の構成比が7割超に。小規模倒産の増加傾向が強まる

 ※参考資料は添付の関連資料「参考資料」を参照

1.2013年(1〜7月)の倒産件数・負債総額動向〜「広告代理業」が大幅増加〜
 2013年の倒産件数は、7月までで141件(前年同期は136件)発生。前年同期比3.7%増と、3年ぶりに増加に転じた2012年のペースを上回った。リーマン・ショック以降は、2009年をピークに減少傾向が続いていたが、昨年頃から増勢に転じた気配がある。広告関連業者全体では微増にとどまっているものの、特に「広告代理業」では、倒産件数が大幅に増加している。2012年も前年比12.3%の2ケタ増となったが、2013年も7月までで64件(同55件)発生し、前年同期比16.4%増と2012年を大きく上回る水準で推移。このペースが続けば、過去最悪となった2009年に迫る勢いとなっている。
 負債総額を見ると、全体では前年同期比8.4%減の89億4500万円(同97億7000万円)となった。2011年以降の負債総額は低水準が続き、小口倒産が多いことを裏付けた結果となった。「広告代理業」においては微増となっているものの、倒産件数の伸びが大きいことから、1件当たりの負債額は減少している。

 ※参考資料は添付の関連資料「参考資料」を参照

2.業態別動向〜「広告代理業」の構成比が高水準に〜
 2013年(1〜7月)に倒産した広告関連業者を業態別に見ると、前述した通り「広告代理業」の増加傾向が顕著となっており、構成比を見ても45.4%と、ここ数年で最も高くなっている。
 一方「広告制作業」では、昨年の大幅増加から一転、前年同期比で▲12.7%の2ケタ減となり、構成比が低下した。

 ※参考資料は添付の関連資料「参考資料」を参照

3.負債規模別動向〜「5000万円未満」の構成比が約7割に〜
 負債規模別の動向を見ると、2013年(1〜7月)は「5000万円未満」の構成比が7割台となり、倒産の小規模化が年々進んでいることがうかがえる。「広告代理業」も同様の傾向で、小規模倒産の増加がうかがえる。また、負債額10億円以上の倒産は、7月までに1件しか発生がなく、「広告代理業」では発生していない。

 ※参考資料は添付の関連資料「参考資料」を参照

4.今後の見通し〜今後は円安と資材高の影響に注目〜
 景気回復基調が鮮明になってきている一方、「広告代理業」を中心とした関連業者の倒産は増加傾向にある。倒産要因として目立ったのが、リーマン・ショック東日本大震災後の広告主による広告費削減や出稿自粛など。近年の景気低迷による影響がここに来て中小業者の資金繰りに影響を与えている様子がうかがえる。また、競合の激化が要因となっているケースも散見された。業界環境が厳しくなるなかで、大手広告会社がこれまで中小の広告代理業者が手がけていたような小口案件の獲得を目指す動きもあり、中小零細業者の経営を圧迫している側面もありそうだ。
 リーマン・ショックと震災を経て広告単価が下落してきた一方で、円安や原材料高の影響から紙の価格が高騰するなど、広告業界や出版・印刷など周辺業界において収益圧迫要因となりうる状況もある。今後は景気回復に伴う広告需要の盛り上がりにも期待が持てるが、中小零細業者のへの恩恵は限定的となる可能性もある。

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