アステラス製薬、米サイトキネティックス社と骨格筋疾患領域で提携

アステラス製薬：サイトキネティックス社との骨格筋疾患領域での提携のお知らせ
―提携により骨格筋疾患領域の新フロンティアを拓く―


　アステラス製薬株式会社（本社：東京、社長：畑中　好彦、以下「アステラス製薬」）は、サイトキネティックス社（英名：Cytokinetics，　Incorporated、本社カリフォルニア州サウスサンフランシスコ、NASDAQ：CYTK）と、骨格筋活性化剤の研究、開発、及び商業化に関する提携契約を締結しましたので、お知らせします。両社は、骨格筋の減弱に関連する疾患や病状に対する新規の治療法を提供することを主な目的として、骨格筋活性化に関する共同研究・共同開発を行います。

　骨格筋は全身の様々な臓器・部位でその役割を果たしており、それらの機能が減弱することで多様な疾患・病状が引き起こされると考えられています。骨格筋活性化剤は、これらの症状を改善する可能性があります。

　本提携の下、両社は業務を分担して、次の３つの分野で提携します。
　　［１］速筋トロポニン活性化剤の有望な適応症の探索
　　［２］速筋トロポニン活性化剤CK−２１２７１０７の共同開発及び新規速筋トロポニン活性化剤の探索
　　［３］新規作用機序の骨格筋活性化に関する研究

　アステラス製薬は、本契約締結時点で第I相臨床開発段階にある薬剤候補のCK−２１２７１０７及び新規速筋トロポニン活性化剤については非神経筋適応症において、新規作用機序の骨格筋活性化剤については全適応症において、開発・商業化の独占的ライセンス権を取得します。但し、サイトキネティックス社も一部の開発・商業化に関する権利を留保しています。
　CK−２１２７１０７については、サイトキネティックス社が主に第I相臨床試験、及び第II相臨床試験準備を実施し、アステラス製薬は主にその後の開発・商業化を実施します。

　アステラス製薬は、提携開始後２年間で、契約一時金ならびに研究開発費として４，０００万ドル超をサイトキネティックス社に支払う可能性があります。また、開発と売上の達成に応じたマイルストン４億５，０００万ドル超に加えて、売上に応じたロイヤルティをサイトキネティックス社に支払う可能性があります。アステラス製薬は、本提携の対象となる全ての製品（提携製品）につき、開発を行い、これらに関わる費用を負担します。サイトキネティックス社は、一部の適応症に関して、自社の費用で早期段階の開発を実施する権利を留保しています。なお、アステラス製薬は、CK−２１２７１０７を含む提携製品についての全世界における独占的な商業化の権利を取得しますが、サイトキネティックス社は米国とカナダにおける共同販促のオプション権を留保します。

　アステラス製薬は、２０１２年４月に、つくば研究センターの薬理研究所内に「疾患フロンティア研究室」を設置し、現行の重点領域以外の疾患領域においても、アンメットメディカルニーズを満たす新規の創薬研究機会を、外部機関との連携も視野に入れ探索しています。骨格筋活性化剤という極めて新規で革新的な作用機序に関する今回のサイトキネティックス社との提携は、その一環になります。本提携の下、創薬研究開発の活動を進めることで、骨格筋の減弱に関連する疾患に苦しむ患者さんの健康に貢献できることを期待しております。

　なお、本提携による２０１４年３月期通期業績予想への影響は織り込み済みです。

　本提携については、米国において、現地時間６月２５日に対外発表しています。


以上


＜骨格筋疾患、骨格筋活性化剤について＞
　骨格筋とは、全身に存在する筋肉のうち、意志によって運動を調節できる筋肉です。骨格筋以外の筋肉には、心筋と平滑筋があります。疾患や加齢に伴い骨格筋が減弱することで日々の生活に支障をきたすことがあります。


＜非神経筋疾患について＞
　本提携において非神経筋疾患とは、主に神経内科医によって診られる疾患を除いた骨格筋関連疾患をさします。


＜サイトキネティックス社について＞
　サイトキネティックス社は、重篤な疾患及びその他の病状の治療に有用な筋機能を調節する新規低分子治療薬の創製と開発に重点的に取り組むバイオ医薬品企業です。サイトキネティックス社は、現在、急性及び慢性心不全の治療薬として第II相試験を実施中のomecamtiv　mecarbil、筋萎縮性側索硬化症（ALS）の治療薬として第II相試験を実施中のtirasemtiv、健常人による第I相臨床試験を実施中のCK−２１２１０７、の３つの臨床開発中の化合物を有しています。サイトキネティックス社の薬剤候補は、全て同社の筋生物学に焦点を当てた研究活動から得られたものであり、細胞骨格を対象としています。細胞骨格は、全てのヒトの細胞内で基本的な役割を果たす、複合的な生物学的基盤です。サイトキネティックス社に関するその他の情報についてはhttp://www.cytokinetics.comをご参照ください。