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森トラスト、2013年度の「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査」の調査結果を発表
東京23区の大規模オフィスビル供給量調査"13
森トラスト株式会社(本社:東京都港区)では、各種公表資料、現地確認およびヒアリングに基づいて、’86年より東京23区の大規模オフィスビル(オフィス延床面積(※)10,000m2以上)、当年より中規模オフィスビル(オフィス延床面積5,000m2以上10,000m2未満)の供給動向を調査しており、以下に最新の調査結果を取りまとめました。
※オフィス延床面積:対象が店舗や住宅、ホテル等と一体の複合用途ビルである場合には、オフィス以外の用途を除いた延床面積。
〔調査時点:2012年12月〕
’13年は大規模オフィス供給量が急減
〜供給抑制が本格的な市況回復の端緒に〜
■調査結果のポイント
1.供給量の推移
’12年の供給量は177万m2となり、過去20年の平均(112万m2)を大幅に上回った。一方、’13年の供給量は69万m2と過去平均の約6割に留まる見通し。’14−’16年は年間100万m2前後の安定した供給が続くが、都心3区以外での供給は低調に留まるとみられる。
2.供給エリアの傾向
’13−’16年は「都心3区」での供給が約8割となる見通し。「千代田区」での供給が全体の約4割を占め、「中央区」「港区」のシェアもそれぞれ約2割に上昇する。地区別の供給量を見ても、「大手町・丸の内」・「京橋・八重洲・日本橋」・「赤坂・六本木」・「神田神保町・神田小川町」・「港南」・「虎ノ門」など都心3区内の地区が上位を占める。
3.開発用地別の供給動向
都心3区では、’13−’16年も「建替え」による供給が8割強を占める見通し。大手町・丸の内に加えて京橋・八重洲・日本橋でもストックの更新が本格化しており、今後も建替え中心の供給が続く。都心3区以外では、「低・未利用地」での供給が7割強となる見込み。
4.中規模ビルの供給動向
’12年の供給量は13.1万m2と過去10年の平均並みになった。’13年の供給量は15.3万m2に増加するが、’14年は過去平均をやや下回る見通し。’13−’14年は「都心3区」での供給が7割強となり、「中央区」・「港区」がそれぞれ約3割を占める。地区別の供給量を見ても「新橋」・「京橋・八重洲・日本橋」・「茅場町・八丁堀」など中央区・港区内の地区が上位となっている。都心3区では8割強、都心3区以外でも6割が「建替え」による供給となる見込み。
■総括
東京の賃貸オフィス市場では、建替え中心の供給構造を背景としてストックの増加ペースが鈍化する一方、企業のBCP対策強化やIT系企業等の成長で需要は着実に回復しており、’12年の大量供給による需給ギャップの拡大懸念は杞憂に終わった。
’13年は、需要の回復基調が続くなか供給が急減するため、需給バランスの改善が一段と進み、下落傾向の続いた賃料も反転局面を迎えると予想される。また、’13年以降の供給が賃料相場を牽引する東京駅周辺に集中することも、市況の回復要因になるとみられる。今後は大手町・丸の内に続き京橋・八重洲・日本橋でもストックの更新が本格化する。京橋・八重洲・日本橋地区ついては、エリアポテンシャルの高さから賃料負担能力の高い企業の需要が見込まれるにもかかわらず、このようなニーズに合致する築浅の大規模ビルが不足していた。今後、当該地区でストックの更新が進展すれば、高額賃料帯の需要が顕在化し、一層の市況改善を後押しすると考えられる。
新政権の積極的な経済政策の影響により、今後も企業の設備投資意欲は改善傾向を示すとみられる。潜在需要の大きい都心部でのビル供給と企業マインドの好転とが相まって、賃貸オフィス市場が本格的な回復に向かうことを期待したい。
※以下、リリースの詳細は添付の関連資料を参照