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東北大、テークスグループと共同開発した荷重制御型平面曲げ式疲労試験機を製品実用化

2013-05-16

荷重制御型平面曲げ式疲労試験機の開発
−表面改質層の亀裂発生・亀裂進展の評価が可能に!−



 東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻の祖山均教授は,株式会社テークスグループと共同開発した荷重制御型平面曲げ式疲労試験機の製品実用化に成功しました。同試験機を用いれば,機器・構造物の強度や寿命を評価するための材料表面層の亀裂発生・亀裂進展の評価が可能です。実際に,ステンレス鋼に対して金属材料表面層を強化する表面改質を行い,同試験機を用いて評価したところ,表面改質により1.9倍以上亀裂が発生しにくくなることを実証しました。
 本開発内容は,日本材料学会第62期講演会(平成25年5月17日〜19日:東京工業大学)の「破壊の発生・進展とその解析・評価・計測」セッションで発表する予定です。
 また,本試験機は株式会社テークスグループより,今年中に販売開始される予定です。


【背景】
 安全で安心な社会の実現には,機器・構造物の強度を評価して寿命を予測する必要があります。そのために,破壊の基となる亀裂(ひび割れ)の発生や進展の評価が必要不可欠です。特に,表面で亀裂が発生して進展することが多いことから,材料の表面層の亀裂の発生と進展の評価が求められていました。
 しかしながら,材料母材の亀裂発生・亀裂進展の評価法には,国際的な規格がありますが,表面層の亀裂発生・亀裂進展を評価する装置はありませんでした。


【成果の内容】
 祖山教授は,平面曲げ式疲労試験機により表面改質層の亀裂発生・亀裂進展の評価が可能であることを見出していました。しかしながら,従来の変位制御型平面曲げ式疲労試験機は,疲労試験中に亀裂の進展に伴って荷重が変動してしまうために,亀裂発生の定量的評価を行うことができませんでした。
 そこで,疲労試験中に荷重をモニタしながら荷重を負荷し,亀裂が進展しても負荷荷重が一定となる荷重制御型平面曲げ式疲労試験機を開発しました。
 同試験機を用いて,下限界応力拡大係数範囲が3.75 MPa√のステンレス鋼SUS316Lを,祖山教授が開発してきたキャビテーションピーニングにより,7.35 MPa√に向上できることを実証しました。


 変位制御型試験機:変位を制御する試験機で,平面曲げ式疲労試験機の場合は変位一定での試験機。
 荷重制御型試験機:任意の荷重になるように,変位を変えて制御する試験機。
 応力拡大係数:亀裂先端近傍に分布する応力の強さの程度を示す,亀裂発生・進展の評価に用いられる係数。
 下限界応力拡大係数範囲:疲労亀裂の発生の程度を表す係数。
 キャビテーションピーニング:キャビテーション気泡の崩壊衝撃力を活用して金属材料に局所的塑性変形を付与し,疲労強度や降伏応力を向上させる表面改質法。


※参考画像は、添付の関連資料を参照

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東京工業大学 メカニクス 東北大学 共同開発 降伏 荷重 MPA

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