Article Detail
帝国データバンク、飲食料品メーカーの倒産動向調査結果を発表
特別企画:飲食料品メーカーの倒産動向調査
原料価格の高騰から前年度比3割増
〜デフレ状況下で、販売価格に転嫁できず〜
<はじめに>
株高を受けた資産効果や賃金上昇への動きなどにより、一部の小売店では高額商品を中心に息を吹き返し、消費改善の兆しが見え始めている。こうしたなか、生活必需品として底堅い需要がある飲食料品業界では、リーマン・ショックに端を発した急激な景気後退に伴い節約志向が浸透し、低価格化やサービス・製品の多様化などで同業者間競争は熾烈を極め、人口減と少子高齢化の構造的な問題を抱えている。飲食料品メーカーでは、大手企業のプライベートブランドの台頭により売り上げの獲得競争が激化しているほか、原材料価格の高騰が続き、デフレ傾向のなかで販売価格への転嫁は難しく、厳しい収益環境を余儀なくされている。政府は、立場の弱い納入業者の消費税増税分負担を軽減すべく、消費税転嫁対策の特別措置法案を国会に提出しているが、消費増税時の小売価格次第では、中小の飲食料品メーカーの経営環境が悪化する可能性がある。
帝国データバンクでは、2008年度(2008年4月〜2009年3月)から2012年度(2012年4月〜2013年3月)に倒産した飲食料品メーカー(負債1000万円以上、法的整理)を件数・負債総額推移、製品別、地域別に集計・分析した。
<調査結果(要旨)>
1. 飲食料品メーカーの2012年度の倒産件数は208件と、前年度を32.5%上回る大幅増となった。負債総額は、約861億円と前年度を14.5%上回った。
2. 製品別では、「水産加工品」が47件となり、高水準で推移。2番目に多かった「パン、菓子」(34件)は前年度比21.4%増。増加率トップは、「豆腐、油揚げ」(16件、前年度比+220.0%)。
3. 最も件数が多かった地域は、「関東」(44件)を上回った「中部」(54件)で、静岡県の水産加工品メーカーの倒産が件数を押し上げた。「北海道」(24件)は、水産や菓子関係を中心に前年度の2倍に増加した。
※グラフ資料・調査結果詳細は、添付の関連資料を参照
当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。