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パナソニック、多様なセンサーネットワーク用無線対応のマルチバンド統合無線技術を開発

2013-05-13

無線周波数を気にせず機器や設備のネット接続が可能に
多様なセンサーネットワーク用無線に対応したマルチバンド統合無線技術を開発
省電力で安定した通信の実現に貢献


【要旨】
 パナソニック株式会社は、異なる通信規格の機器とも簡単にワイヤレス接続し、省電力でより安定した通信を実現するマルチバンド統合無線技術を開発しました。この技術を搭載することで、センサーネットワーク用無線[1]の全ての周波数帯域に対応し、従来のシングルバンド用無線部の30%の省電力化を実現します。これにより、人を介さずにデータをやり取りするクラウドに対応した「M2M(Machine to Machine)センサーネットワーク」[2]の普及を加速します。


【効果】
 本開発は帯域毎に必要だった同調回路を一つにすることにより、使用する場所・機器のセンサー無線規格を気にすることなく、ネットワークに安定して接続が可能です。また無線周波数成分を直接検出することにより小型化と省電力化を実現し、給電が難しい機器にも電池駆動でセンサーネットワーク用無線が可能となります。これにより端末や機器・設備どうしのネット接続が容易になり、クラウド活用の新たなビジネスモデル創出を加速します。


【特長】
 本開発は以下の特長を有しています。

 1.近距離無線のIEEE802.15.4系センサーネットワーク用無線[3]でグローバルに使用される全ての帯域(400MHz/900MHz/1.2GHz/2.4GHz帯)に対応
 2.マルチバンドに対応しながらチップ面積をシングルバンド対応から、さらに12%低減。
 3.消費電力に影響する、受信信号復調の前処理時間を2/3に短縮し、20年の電池駆動が可能(*)
   *スマートメータやHEMS子機用途で30秒に1回の間欠レートの機器間通信を1200mAhの電池で行った場合


【内容】
 本開発は、以下の技術により実現しています。

 (1)デジタルアシストアナログ回路により、各々の周波数帯に対し必要であった送信回路のフィルタや受信回路のコイルの削減を可能にしたマルチバンド化技術
 (2)受信信号の直接周波数検出により回路規模と消費電力の削減を可能にした復調処理技術


【従来例】
 1GHz以下の周波数帯に対応したセンサーネットワーク用無線チップの実用例はありますが、1GHz以上を含む4つの周波数帯域に対応した無線チップの実用例はこれまでありませんでした。


【特許】
 国内25件、外国14件(出願中含む)


【備考】
 本開発は、総務省平成24年度(2012年度)「マルチバンド・マルチモード対応センサー無線通信基盤技術の研究開発」成果の一環です。本開発成果の一部は、2013年5月8日から10日に東京ビッグサイトにて開催されるワイヤレスM2M展にて展示を行います。


【内容の詳細説明】
 1.デジタルアシストアナログ回路により、各々の周波数帯に対し必要であった送信回路のフィルタや受信回路のコイルの削減を可能にしたマルチバンド化技術
   送信電力増幅回路に供給される高周波信号の位相合成によりデジタル的に正弦波を生成し、電力増幅回路で発生する不要な3次高調波や5次高調波を抑圧する技術を開発しました。これにより、周波数依存性のあるフィルタを不要としたことで、チップ面積を増大することなく、1つの回路で広帯域に使用可能な電力増幅回路を無線チップに実装可能となりました。
   従来の受信増幅回路は、らせん状導体で構成するチップ面積の大きいコイルが使用されますが、対応周波数帯域の数だけ必要となるため、チップ面積が増大していました。今回、チップ面積の小さなトランジスタと抵抗とコンデンサを組み合わせ、等価回路としてコイルを構成し、その素子性能ばらつきの影響を補正して周波数帯域に自動的に同調する増幅回路技術を開発しました。この技術で、400MHzから1.2GHzまで対応する増幅器を1つの回路で実現し、チップ面積を従来型増幅器と比較して1/10に低減しました。

 2.受信信号の直接周波数検出により回路規模と消費電力の削減を可能にした復調処理技術
   センサーネットワーク無線の受信信号処理で用いられる従来のFSK[4]復調回路は、Arctan方式[5]など時間軸上で信号を観測、周波数検出して復調するため、受信信号に混入している雑音除去などの信号処理に演算時間と消費電力が必要という課題がありました。今回、Short−time DFT[6]を用いて、直接周波数成分を検出する復調方式を新たに開発しました。これにより、信号処理の回路規模や演算時間、消費電力の削減が可能になり、20年以上の電池駆動が可能になりました。


【用語の説明】
 [1]センサーネットワーク用無線
  家庭における温湿度、照度、使用電力のセンサーなど、センサーで検出される様々な環境データをワイヤレスで伝送するための無線システム

 [2]M2M(Machine to Machine)センサーネットワーク
  従来の人間同士の通信に対し、ネットワークに繋がれた機器同士が人間を介在せず、相互に情報交換し、自動的に最適な制御やサービスが行われるシステム

 [3]IEEE802.15.4系センサーネットワーク用無線
  IEEEが策定している近距離無線通信規格の名称。伝送速度は無線LANやBluetoothよりも遅いが、1つのネットワークに多くのデバイスが接続可能、煩雑な設定なしで機器の追加や削除が可能、低消費電力という特長を有しており、M2Mセンサーネットワークに適した無線規格

 [4]FSK
  デジタル変調の方式の一つ(Frequency−shift keying)

 [5]Arctan方式
  FSK変調の復調方式の一つで、信号のアークタンジェント演算して位相偏移を検出して復調する方式

 [6]Short−time DFT
  Short−time Discrete Fourier Transformの略。瞬時の時間で離散フーリエ変換を演算して復調する方式


 ※参考画像は添付の関連資料を参照


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