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帝国データバンク、2012年度の全国企業倒産集計を発表

2013-04-12

全国企業倒産集計



<2012年度報>(2012年4月1日〜2013年3月31日)
 倒産件数は1万710件、4年連続の前年度比減少
 負債総額は2兆9291億1700万円、過去10年で最小


 倒産件数   1万710件
 前年度比   ▲6.3%
 2011年度  1万1435件

 負債総額   2兆9291億1700万円
 前年度比   ▲25.2%
 2011年度  3兆9165億1800万円


 *グラフ資料「件数推移グラフ」などは添付の関連資料を参照


■件数
 ・ポイント 4年連続の前年度比減少
  2012年度の倒産件数は1万710件と、2011年度の1万1435件に比べ6.3%減少し、4年連続で前年度を下回った。四半期別では4期連続の前年同期比減少、月別では11月以降5ヵ月連続の前年同月比減少となった。

 ・要因・背景
  1.中小企業金融円滑化法をはじめとする各種金融支援策の効果で倒産の減少が続く
  2.復興需要により建設業(2632件)が前年度比12.9%の大幅減少、6年ぶりの2000件台


■負債総額
 ・ポイント 4年連続の前年度比減少、過去10年で最小
  2012年度の負債総額は2兆9291億1700万円と、2011年度の3兆9165億1800万円に比べ25.2%減少し、4年連続で前年度を下回り過去10年で最小となった。四半期別では第3四半期を除く3四半期が前年同期比減少、月別では合計8ヵ月で前年同月比減少となった。

 ・要因・背景
  1.負債額トップは、(株)クラヴィス(7月、大阪府)の3268億8700万円
  2.負債100億円以上の大型倒産は26件(前年度30件)と、過去10年で最小


■業種別
 ・ポイント 7業種中4業種で前年度比減少
  業種別に見ると、建設業(前年度比12.9%減)、サービス業(同9.6%減)、製造業(同5.4%減)、小売業(同4.4%減)の4業種で前年度を下回った。一方、運輸・通信業(同4.8%増)など3業種は前年度を上回った。

 ・要因・背景
  1.建設業…土木工事を中心に大幅に減少し、2006年度以来6年ぶりの2000件台
  2.サービス業…震災の影響が一服し、ホテル・旅館や広告などの減少が目立つ
  3.製造業…全体では減少も原料高などで飲食料品関連(208件)が前年度比32.5%の大幅増


■主因別
 ・ポイント 「不況型倒産」の構成比は84.1%、過去10年で最高
  主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は9008件(前年度9606件)となり、構成比は84.1%と前年度を0.1ポイント上回り、過去10年で最高となった。

 ・要因・背景
  1.不況型倒産が高水準で推移するなか、放漫経営(144件)は大幅減少し過去10年で最少
  2.「金融円滑化法利用後倒産」は428件判明、前年度(247件)から73.3%の大幅増加


■規模別
 ・ポイント 負債100億円以上の大型倒産、過去10年で最少
  負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は5551件と、前年度の5923件を6.3%下回った。負債100億円以上の大型倒産は26件となり、過去10年で最少となった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の合計は5866件、構成比は54.8%を占めた。

 ・要因・背景
  1.中小零細企業は、各業界の構造的問題の影響を受けやすく、負債5000万円未満の小規模倒産は前年度を下回ったものの、構成比は51.8%と高水準で推移
  2.大型倒産は再生支援機関や返済猶予の支援効果などを受け減少が続く


■地域別
 ・ポイント 9地域中7地域で前年度比減少
  地域別に見ると、関東(4014件)、近畿(2654件)など7地域で前年度を下回り、なかでも東北(336件)と四国(200件)は前年度比2ケタの大幅減少となった。一方、北海道(383件)、北陸(412件)の2地域は前年度を上回った。

 ・要因・背景
  1.東北は、復興需要で建設業(72件、前年度比36.8%減)が大幅減少し、過去10年で最少
  2.北陸は、全7業種中6業種で前年度を上回り、前年度比10.5%の大幅増加


■態様別
 ・ポイント 破産の構成比が94.0%、過去10年で最高
  態様別に見ると、破産は1万63件(前年度1万662件)で前年度比5.6%の減少となったものの、構成比は94.0%に達し、過去10年で最高となった。会社更生法は7件(前年度13件)、民事再生法は396件(前年度497件)で、ともに2年ぶりの前年度比減少となった。

 ・要因・背景
  1.再建型手続きが困難な中小零細企業の構成比が高まり、破産が高水準で推移
  2.民事再生法は、施行以来最少を記録。会社更生法は、5年ぶりに1ケタにとどまる


■業歴別
 ・ポイント 業歴30年以上の構成比31.0%
  業歴別に見ると、業歴3年未満の倒産は307件(前年度345件)で、前年度比11.0%の減少となり、構成比は2.9%(前年度3.0%)と前年度を0.1ポイント下回った。一方、業歴30年以上の倒産は3318件(前年度3485件)で、前年度比4.8%の減少となったものの、構成比は31.0%(前年度30.5%)と前年度を0.5ポイント上回った。

 ・要因・背景
  1.業歴3年未満の倒産、小売業(96件)が構成比31.3%を占め全業種中トップ
  2.業歴30年以上の倒産、小売業(569件)と卸売業(564件)で増加が目立つ


■上場企業倒産
 2012年度の上場企業倒産は、東証1部の山水電気(株)(民事再生法、4月)、ジャスダックのクレスト・インベストメンツ(株)(民事再生法→破産、7月)など6件発生した。
 上場企業の倒産は、2010年度(9件)以来、2年ぶりの増加となった。


■大型倒産
 2012年度の負債額トップは、消費者金融の(株)クラヴィス(破産、7月)の3268億8700万円。2度目の会社更生法適用となった三光汽船(株)(7月)の1558億7400万円がこれに続く。
 負債1000億円以上の超大型倒産は2件(前年度4件)にとどまる。


■注目の倒産動向
 ・金融円滑化法利用後倒産 法施行後の累計は728件
 3月の「金融円滑化法利用後倒産」は42件判明し、前月を27.3%、前年同月を61.5%ともに上回った。これにより、2012年度の「金融円滑化法利用後倒産」は、428件となり前年度比73.3%の大幅増加を記録。また、前年同月と比較可能な2010年12月以降、2013年3月まですべての月で前年同月を上回り、累計で728件となった。金融円滑化法施行から終了までの間、728社が貸付条件変更等の金融支援を受けながらも倒産に至ったということを表している。
 それでも、企業倒産件数が4年連続で前年度比減少となっていることに鑑みると、金融円滑化法は倒産抑制に寄与したと言えよう。金融機関に対し「(借手企業からの)貸付条件等の変更要請に応じるように努める」という努力義務を課した同法の効果は大きく、リーマン・ショック後、厳しい経営環境に置かれていた中小企業の資金繰りを支えたのである。
 しかし、同時に、同法に基づき貸付条件変更等を受けている企業のうち、複数回条件変更を行っている企業が全体の8割を占めたり、経営改善計画未策定の企業が増加したりと、弊害も拡大している。「金融円滑化法利用後倒産」は、「金融支援を受けていたにも関わらず倒産した企業」を表したものである故に、そうした弊害が数値化されたものと捉えることができる。
 同法終了後も、金融機関、関係省庁による経営改善・事業再生支援は続く。それでも、経営課題を解決できない中小企業が多いのであれば、「金融円滑化法利用後倒産」は増加すると見ざるを得ない。
 ※金融円滑化法利用後倒産:金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等を受けていたことが取材で判明した企業倒産


<今後の見通し>
■倒産件数、負債総額ともに4年連続前年度比減少
 2012年度の企業倒産は1万710件となり、2011年度の1万1435件を6.3%下回った。4年連続で前年度比減少となったものの、件数の水準としては2007年度(1万1333件)以降6年連続で1万件超を記録している。一方、負債総額も2兆9291億1700万円で前年度比25.2%の大幅減少となり、4年連続で前年度比減少となるとともに過去10年で最小。負債1000億円以上の倒産がクラヴィス(消費者金融、負債3268億8700万円、破産)、三光汽船(外航海上運送、同1558億7400万円、会社更生法)の2件(2011年度は4件)となるなど、負債100億円以上の大型倒産は26件にとどまり、過去10年で最少であった。


■復興需要により建設業の倒産が大幅減少
 東日本大震災の復興工事等により、2012年(1〜12月)における公共機関からの受注工事額は、前年比16.3%増加し10兆771億円(国土交通省、建設工事受注動態統計調査報告)にまで膨らんだ。こうした背景などから、2012年度における建設業の倒産件数は2632件(前年度比12.9%減)と、2006年度(2664件)以来6年ぶりに2000件台となった。2013年度も、財政出動による公共工事増加や、消費税増税を見越した住宅着工件数増加が見込まれているなどプラス材料が多い。ただし、労務費や建設資材の高騰といったマイナス材料も存在する。これらは自助努力のみでは解決し難い問題であるため、資金繰り破綻のリスクは払拭できないと言えよう。


■中小企業は倒産リスクを抱えたまま、2013年度へ
 2012年度の「金融円滑化法利用後倒産」は、前年度(247件)を73.3%大幅に上回る428件判明。これにより、集計開始以降の累計は728件にまで達した。月ベースでみても、前年同月と比較可能な2010年12月以降すべての月で前年同月比増加を記録している。金融庁をはじめとする関係省庁が「金融円滑化法が終了しても、金融機関が円滑な資金供給や貸付条件変更に努めるべきということは変わらない」と周知徹底させ、各金融機関がそれに準じた対応を取っているにも関わらず、「金融円滑化法利用後倒産」が増加しているのが現状である。これは、金融支援を受けていても本業が回復せず事業継続を断念するケースが増加していることの裏付けと言える。
 総資本1億円未満の企業の財務指標をみると、総資本経常利益率は2008年3月期にはマイナス0.1%であったが、2012年3月期ではマイナス1.9%となっており、中小企業の収益性は金融円滑化法施行前よりも悪化している。また、貸付条件等の変更を受けていた企業が多かったことから負債は減らず、外部負債依存率は49.4%から62.0%と12.6ポイントも上昇(帝国データバンク、全国企業財務諸表分析統計)。つまり、金融円滑化法は企業倒産抑制には寄与したが、根本的な中小企業再生を成し遂げることなく、2013年3月という期限を迎えたと言えよう。
 もちろん、今後も中小企業支援策は用意されている。3月18日に改正法が施行され、地域経済活性化支援機構が業務を開始した。同機構は、企業再生支援機構を改組し、支援期間を3年以内から5年以内に延長するなど機能を強化したもの。すでに、紅乙女酒造(福岡県)、中山製鋼所(大阪府)などの支援を決定しており、今後も幅広い企業を支援対象とすることが期待されている。加えて、都道府県に所在する中小企業再生支援協議会による事業再生支援、認定支援機関による経営改善計画の策定支援などが事業再生を後押しする。
 2012年度の企業倒産は1万710件と前年度比減少となったものの、6年連続で1万件を超え、サブプライム・ローン問題が表面化して以降の水準で推移している。金融円滑化法終了後に取り揃えられている支援メニューを利用しても、経営改善が進まない企業群は相当数にのぼるだろう。2013年度はそうした企業群が倒産に至り、企業倒産件数全体を押し上げる可能性が高い。


 詳細は資料をご覧ください。

 *資料は添付の関連資料「オリジナルリリース」を参照

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