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帝国データバンク、3月の全国企業倒産集計を発表

2013-04-12

全国企業倒産集計



<2013年3月報>
 ・倒産件数は836件、5ヵ月連続の前年同月比減少
 ・負債総額は1446億2300万円、4ヵ月連続の前年同月比減少


 倒産件数  836件
 前年同月比 ▲19.6%
 前年同月  1040件
 前月比    ▲2.6%
 前月      858件

 負債総額   1446億2300万円
 前年同月比 ▲59.6%
 前年同月   3581億6700万円
 前月比    ▲13.0%
 前月      1662億5000万円


[件数・負債総額の推移]

 ※添付の関連資料を参照


■件数

 ・ポイント 5ヵ月連続の前年同月比減少
  倒産件数は836件(前月858件、前年同月1040件)で、前月比は2.6%、前年同月比は19.6%の減少となり、5ヵ月連続で前年同月を下回った。前年同月比の減少幅も、2012年11月(3.4%減)以降、拡大が続いている。

 ・要因・背景
  1. 復興需要や設備投資の増加などを背景に、建設業が6ヵ月連続の前年同月比減少
  2. 9地域中6地域で前年同月を下回り、うち関東、九州の2地域で30%を超える大幅減少


■負債総額

 ・ポイント 4ヵ月連続の前年同月比減少
  負債総額は1446億2300万円(前月1662億5000万円、前年同月3581億6700万円)で、前月比は13.0%、前年同月比も59.6%の大幅減少となり、4ヵ月連続で前年同月を下回った。2011年10月の1329億1700万円に次いで、2000年1月以降では過去2番目の低水準。

 ・要因・背景
  1. 負債トップは、ホテル経営の(株)聴涛館(静岡県、会社更生法)で58億円
  2. 前年同月に発生した新藤電子工業(株)などの大型倒産の反動により大幅減少


■業種別

 ・ポイント 全7業種で前年同月比減少
  業種別に見ると、7業種すべてで前年同月を下回った。なかでも、建設業(209件、前年同月比22.9%減)、小売業(136件、同28.8%減)、サービス業(152件、同22.1%減)、不動産業(22件、同29.0%減)の4業種は前年同月比20%を超える大幅減少となった。全業種で前年同月を下回るのは、2012年8月以来7ヵ月ぶり。

 ・要因・背景
  1. 建設業…土木工事(29件、前年同月45件)が前年同月比35.6%の大幅減少
  2. 小売業…飲食店(40件、前年同月比44.4%減)や中古車販売(3件、同66.7%減)で減少
  3. サービス業…事務機や建機などの賃貸、建築設計や機械設計などの専門サービスで減少


■主因別

 ・ポイント 「不況型倒産」の構成比81.5%
  主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は681件(前月720件、前年同月852件)となった。構成比は81.5%(前月83.9%、前年同月81.9%)で、前月を2.4ポイント、前年同月も0.4ポイント下回った。

 ・要因・背景
  1. 「金融円滑化法利用後倒産」は42件判明、前年同月比61.5%の大幅増加
  2. 「円高関連倒産」は12件判明、うち為替デリバティブ損失によるものは2件

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計


■規模別

 ・ポイント 負債5000万円未満の小規模倒産、5ヵ月連続で過半数占める
  負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は423件で、前年同月比19.0%の減少となったものの、構成比は50.6%と、5ヵ月連続で過半数を占めた。一方、負債100億円以上の倒産は2012年9月以来6ヵ月ぶりに発生しなかった。資本金別に見ると、個人経営と資本金1000万円未満の合計は468件、構成比は56.0%を占めた。

 ・要因・背景
  1. 負債5000万円未満では、建設業(112件)が26.5%を占め、2ヵ月連続で業種別トップ
  2. 負債100億円以上の大型倒産は、金融機関や再生支援機関などの支援効果で沈静化が続く


■地域別

 ・9地域中6地域で前年同月比減少
  地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を下回った。なかでも、関東(288件、前年同月比30.4%減)、九州(54件、同31.6%減)の2地域は前年同月比30%超の大幅減少となった。一方、北海道(38件、同22.6%増)、中部(137件、同18.1%増)、四国(19件、同35.7%増)の3地域は前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1. 関東は、東京都が全業種で前年同月比20%超の減少となったほか、隣接県で減少目立つ
  2. 九州は、小売業が前年同月比47.1%の大幅減、建設業も福岡県を除く7県で減少


景気動向指数(景気DI)

 ・景気DIは41.3、前月比1.5ポイント増と4ヵ月連続で改善
  2013年3月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.5ポイント増の41.3となり、4ヵ月連続で改善した。景気DIが40を超えたのは2007年10月(40.6)以来、5年5ヵ月ぶり。
  円安・株高が進むなかで、安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待から企業心理が改善している。また、ユーロ圏でのキプロス救済の進展や中国のGDP成長率上昇の影響を受け、輸出が回復の兆しを示している。これらの要因を背景に『建設』や『製造』など10業界中8業界、51業種中42業種が改善した。外需関連から内需関連にも改善が広がり、回復に向けた動きが顕著になっている
 『建設』は昨年7月の水害からの災害復旧工事が本格化した『九州』のほか、商業施設・住宅建築需要、復興需要、公共投資の期待先取りなどもあり、調査開始以降で最高となった。また、『小売』では、住宅需要の拡大と連動する形で改善している「家具類小売」や、消費者の購買意欲の高まりを受けた「繊維・繊維製品・服飾品小売」、エコカー補助金終了後の落ち込みから急回復している「自動車・同部品小売」など、高額商品分野での回復が目立っており、『不動産』『製造』を含む6業界が2007年以来の高水準となった。
 総じて、外需関連業種に加えて内需関連業種にも改善の広がりが現れており、国内景気は回復に向けた動きが顕著になっている。


<今後の見通し>

■倒産件数、負債総額ともに4年連続前年度比減少
 2012年度の企業倒産は1万710件となり、2011年度の1万1435件を6.3%下回った。4年連続で前年度比減少となったものの、件数の水準としては2007年度(1万1333件)以降6年連続で1万件超を記録している。一方、負債総額も2兆9291億1700万円で前年度比25.2%の大幅減少となり、4年連続で前年度比減少となるとともに過去10年で最小。負債1000億円以上の倒産がクラヴィス(消費者金融、負債3268億8700万円、破産)、三光汽船(外航海上運送、同1558億7400万円、会社更生法)の2件(2011年度は4件)となるなど、負債100億円以上の大型倒産は26件にとどまり、過去10年で最少であった。

■復興需要により建設業の倒産が大幅減少
 東日本大震災の復興工事等により、2012年(1〜12月)における公共機関からの受注工事額は、前年比16.3%増加し10兆771億円(国土交通省、建設工事受注動態統計調査報告)にまで膨らんだ。こうした背景などから、2012年度における建設業の倒産件数は2632件(前年度比12.9%減)と、2006年度(2664件)以来6年ぶりに2000件台となった。2013年度も、財政出動による公共工事増加や、消費税増税を見越した住宅着工件数増加が見込まれているなどプラス材料が多い。ただし、労務費や建設資材の高騰といったマイナス材料も存在する。これらは自助努力のみでは解決し難い問題であるため、資金繰り破綻のリスクは払拭できないと言えよう。

■中小企業は倒産リスクを抱えたまま、2013年度へ
 2012年度の「金融円滑化法利用後倒産」は、前年度(247件)を73.3%大幅に上回る428件判明。これにより、集計開始以降の累計は728件にまで達した。月ベースでみても、前年同月と比較可能な2010年12月以降すべての月で前年同月比増加を記録している。金融庁をはじめとする関係省庁が「金融円滑化法が終了しても、金融機関が円滑な資金供給や貸付条件変更に努めるべきということは変わらない」と周知徹底させ、各金融機関がそれに準じた対応を取っているにも関わらず、「金融円滑化法利用後倒産」が増加しているのが現状である。これは、金融支援を受けていても本業が回復せず事業継続を断念するケースが増加していることの裏付けと言える。
 総資本1億円未満の企業の財務指標をみると、総資本経常利益率は2008年3月期にはマイナス0.1%であったが、2012年3月期ではマイナス1.9%となっており、中小企業の収益性は金融円滑化法施行前よりも悪化している。また、貸付条件等の変更を受けていた企業が多かったことから負債は減らず、外部負債依存率は49.4%から62.0%と12.6ポイントも上昇(帝国データバンク、全国企業財務諸表分析統計)。つまり、金融円滑化法は企業倒産抑制には寄与したが、根本的な中小企業再生を成し遂げることなく、2013年3月という期限を迎えたと言えよう。
 もちろん、今後も中小企業支援策は用意されている。3月18日に改正法が施行され、地域経済活性化支援機構が業務を開始した。同機構は、企業再生支援機構を改組し、支援期間を3年以内から5年以内に延長するなど機能を強化したもの。すでに、紅乙女酒造(福岡県)、中山製鋼所(大阪府)などの支援を決定しており、今後も幅広い企業を支援対象とすることが期待されている。加えて、都道府県に所在する中小企業再生支援協議会による事業再生支援、認定支援機関による経営改善計画の策定支援などが事業再生を後押しする。
 2012年度の企業倒産は1万710件と前年度比減少となったものの、6年連続で1万件を超え、サブプライム・ローン問題が表面化して以降の水準で推移している。金融円滑化法終了後に取り揃えられている支援メニューを利用しても、経営改善が進まない企業群は相当数にのぼるだろう。2013年度はそうした企業群が倒産に至り、企業倒産件数全体を押し上げる可能性が高い。


 詳細は資料をご覧ください。

  ※資料は、添付の関連資料「オリジナルリリース」を参照

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