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日立、昭和電線ケーブルシステムと共同で高い耐震性を備えた154kVクラス変圧器を開発
高い耐震性を備えた154kVクラス変圧器を開発
株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、昭和電線ホールディングス株式会社(取締役社長:相原雅憲)のグループ会社である昭和電線ケーブルシステム株式会社(取締役社長:山田眞彦/以下、昭和電線ケーブルシステム)と共同で、高い耐震性を備えた154kVクラス電力用変圧器を開発しました。本日より販売を開始します。
日本では、東日本大震災で社会インフラ設備に大きな被害が生じたことを契機に、送変電分野においても、電力事業用や鉄道用などを中心とした、特に154kVクラス以上の電力用変圧器の耐震性向上へのニーズが高まっています。
日立と昭和電線ケーブルシステムは、これまでも、高い耐震性を備えた66/77kVクラスの変圧器を共同で開発していますが、さらなる高電圧化のニーズを受け、今回、日立の持つ変圧器の耐震性への知見と、昭和電線ケーブルシステムの持つダイレクトモールドブッシング(*)の技術を結集し、154kVクラスで高い耐震性を備えた変圧器を開発しました。
今回開発した変圧器は、軽量・小型を特長とする新素材を適用した154kVクラスダイレクトモールドブッシングを新たに開発し、搭載したほか、変圧器全体の低重心化や、ブッシング取り付け部の剛性を高めることで、耐震性を向上させています。また、地震によって変圧器内部の絶縁油が動揺し、発生する圧力で避圧弁が開放されても、瞬時に自動で復帰する機能を備えています。
154kVクラスダイレクトモールドブッシングは、絶縁媒体として油を用いず、エポキシ樹脂にシリコーンゴムの外被を直接かぶせた絶縁構造となっており、油が漏れるリスクを排除したほか、従来の磁器碍子ブッシングと比較して約80%の軽量化と、約40%小型化を実現しています。軽量化・小型化により、固有振動数を高め、地震の周波数と共振してブッシングに過大な応力が発生するリスクを低減しています。
なお、ブッシングに絶縁油を使用していないため、変圧器の保守点検箇所や油の管理を減らすことができることに加え、ブッシング単体の横置き保管が可能で、保守性が向上しています。さらに、ブッシングの取り付け角度の制限をなくしたことにより、変圧器のレイアウト設計における自由度も向上し、より多様なニーズに対応可能となりました。
今後も、日立と昭和電線ケーブルシステムは、長年培ってきた両社のノウハウを融合し、付加価値の高い変圧器を提供していきます。
*ブッシング:変圧器の入出力端子。
<154kVクラス変圧器イメージ図>
※添付の関連資料「イメージ図」を参照