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鹿島など、道路の除染を安全・効率的に行える「道路高圧除染車」を開発
道路の除染を安全に効率的に行える「道路高圧除染車」を開発
田村市の本格除染事業で導入
鹿島(社長:中村満義)と鹿島道路(社長:滝田裕久)は、道路の除染を安全に、かつ、効率的に行うことができる「道路高圧除染車」を開発し、田村市の道路除染に導入しました。排水性舗装道路の目詰まりを回復させる「排水性舗装機能回復車」を除染仕様に大幅に改造したもので、これまで主に人力で行っていた道路の除染を効率的に行うことができ、また、汚染水の飛び散りを防止することで二次汚染の心配なく実施することができます。
本除染車は、富岡町、田村市における試験施工を実施し、除染効果を確認した上で、田村市の本格除染事業に導入し、舗装道路約76kmの除染作業を昨年末に完了しました。今後も高線量地域から低線量地域まで幅広く除染作業に活用していく方針です。
※参考画像1は添付の関連資料を参照
■開発の背景
道路の除染は、人力による高圧洗浄(洗浄水の圧力15MPa)が基本とされています。除染効果を高めるために、人力による高圧洗浄に加え、ブラシ、界面活性剤等が活用されています。しかし、人力による高圧洗浄は作業効率が低く、洗浄水が周囲に散らばるために二次汚染の懸念もあります。そこで作業の効率化向上と二次汚染の防止を目的に、洗浄後の汚染水の吸引・回収機能が付いている道路清掃車や排水性舗装機能回復車(排水性舗装の目詰まりを解消するための専用車)等が除染作業に活用されています。しかし、既存の道路清掃車・排水性舗装機能回復車は洗浄水の圧力が5Mpa程度と低く、必ずしも十分な除染効果が得られていませんでした。
そこで、鹿島と鹿島道路は、鹿島道路が保有する排水性舗装機能回復車の除染効率を大幅に向上させるために、洗浄水の圧力を20Mpaまで高め、かつ、ノズルを固定式から旋回式に変更する等の改造を行った「道路高圧除染車」を開発しました。
■道路高圧除染車の概要と特徴
鹿島道路が保有していた排水性舗装機能回復車「CJ500」(酒井重工業製)をベースに改造を行いました。水圧を5.5Mpaから20Mpaまで高水圧化することと、固定式ノズルを旋回式ノズルに変更することで、除染効果を大幅に改善しています。また、旋回式ノズルからの噴射水は路面上で隣のノズルからの噴射水とラップするため除染残しの部位はなくなります。
路面表面から削り出した放射性物質を含む粒子を、吸引ブロアにより洗浄水と共に吸引し、タンクに回収します。旋回式ノズルが配置された作業チャンバは密閉式になっており、チャンバの両サイドには吸引装置付き可動式エンドプレートが装備され、路面に凹凸があっても回収水を漏らすことはありません。
こうした改造により本道路高圧除染車は、表面汚染密度の低減率90%と高い除染効果を発揮し、除染効果が出にくい低線量地域でも除染効果を確認しています。また、施工効率は人力での高圧洗浄除染に比べ約10倍(3500m2/日)と飛躍的に向上しました。
※参考画像2は添付の関連資料を参照
■今後の展開
今回の改造により、人力での除染作業に比べて除染効果、施工効率共に向上し、更に、除染ムラ、汚染水拡散(二次汚染)が極めて少ない道路除染を実現することができました。
今後は高線量地域から低線量地域まで幅広く道路の除染作業に活用していく方針です。