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JFLA子会社、低コストで料理酒の滓(おり)を防止する新技術を共同開発

2013-03-18

〜地元・愛知のセラミックスを用いた、低コストで料理酒の滓(おり)を防止する新技術〜
盛田が「料理酒の新たな滓(おり)防止技術」をあいち産業科学技術総合センターと共同開発


 ジャパン・フード&リカー・アライアンス株式会社(以下 JFLA)の事業子会社である、盛田株式会社(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:小林武司、以下 盛田)は、愛知県の総合的技術支援機関である、あいち産業科学技術総合センターとの共同開発により、料理酒の新たな滓(おり)防止技術を開発しました。

 料理酒は、和食に欠かすことのできない調味料の一つですが、製品中に含まれるタンパク質(*1)によって生産・流通中に滓や濁り(*2)などが発生する可能性がありました。
 今回新たに開発した技術は、タンパク質吸着性セラミックス(*3)を用いて、料理酒中のタンパク質を効果的に吸着除去するものです。この技術を用いることで、タンパク質を90%以上除去することができ、滓や濁りの出ない製品を低コストで製造することが可能となります。

 料理酒には、うまみ付与、塩味・酸味緩和作用、異味・異臭に対するマスキング効果(*4)などの働きのあるアミノ酸やペプチドが豊富に含まれていますが、これらの元となるタンパク質も残存しています。従来の滓下げ方法(*5)では製品中に残存するタンパク質を十分に除去できないため、製造・流通中に滓や濁りが出やすいことが問題となっていました。これを防ぐため、酵素剤添加(*6)などの対策が取られていました。
 そこで、盛田とあいち産業科学技術総合センターでは、これまで共同研究によって培ってきたセラミックスによるタンパク質吸着除去技術のノウハウを活用して、滓の生成しない高品質な料理酒を低コストで製造する方法の開発に取り組みました。

 まず、愛知県産業技術研究所(現 あいち産業科学技術総合センター)において、100種類以上の市販のセラミックスを対象に、料理酒中のタンパク質を除去する性能を評価しその結果、料理酒中のタンパク質を非常に効果的に除去するセラミックスを見出しました。さらに、セラミックスの使用量や接触時間、接触温度などの最適化を図りました。
 次に、同センターの指導のもと、盛田が実証試験を行いました(下記説明図1、2参照)。従来品でのタンパク質除去率は10%でしたが、セラミックス処理品ではタンパク質を90%以上除去できました。タンパク質以外の成分の濃度はセラミックス処理前とほぼ同等であり、官能評価(*7)の結果も良好でした。また保存試験の結果、従来品では滓が大量に発生しましたが、セラミックス処理品では全く見られませんでした。
 この方法は、現在の製造工程をほとんど変更することなく実施可能です。また、セラミックスも1kgあたり数百円と非常に安価であり、製造コストをほとんど増加せずに、従来の滓下げ法では除去できなかったタンパク質を効果的に除去できます。


 今後はさらに評価試験を積み重ね、より完成度の高い製造法とし、知的財産化も視野に入れながら、2013年冬頃の実用化を予定しています。
 なお、今回開発した研究成果は、平成24年度 科学技術コーディネート事業「育成試験」成果発表会(主催:(公財)科学技術交流財団)で発表します。また、本開発には、経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業(平成18、19年度)、(公財)科学技術交流財団の共同研究推進事業(平成22、23年度)、及び育成試験事業(平成24年度)の助成金を活用しました。


【料理酒の新たな滓防止技術 実証実験説明図】

 ※添付の関連資料を参照


◆盛田株式会社について
 寛文5年(1665年)に愛知県・小鈴谷村(現:常滑市)において清酒造りを開始し、創業340年余りの長い歴史を誇ります。"子乃日松(ねのひまつ)"ブランドをはじめとする「清酒事業」のほか、地域の食文化を象徴する豆みそ・たまり、つゆ・たれ・料理酒・醸造みりんタイプなど、伝統的な醸造技術を生かした「食品事業」を中心に展開しています。
 <盛田 URL:http://www.moritakk.com/

◆ジャパン・フード&リカー・アライアンスグループ(JFLAグループ)について
 JFLAグループは、持株会社である「ジャパン・フード&リカー・アライアンス株式会社」のもと、食品・酒類製造、高級食材・酒類輸入、ならびに販売会社等の機能を有した18社のメンバー企業が集合する、新しい形の食品関連企業グループです。当社グループは、風土に根ざした伝統的な食文化を継承しながら、ますます多様化するお客様のニーズに応える商品ならびにサービスをお届けすることで、健康で豊かな食生活に貢献してまいります。
 <JFLAサイト URL:http://www.j-fla.com/


【主なJFLAグループメンバー企業(2013年2月27日現在)】
■食品・酒類製造…盛田株式会社/マルキン忠勇株式会社/株式会社高橋弥次右衛門商店/加賀屋醤油株式会社/株式会社ハイピース/加賀の井酒造株式会社/藤井酒造株式会社/株式会社老田酒造店/中川酒造株式会社/株式会社岡田屋本店/白龍酒造株式会社/見砂酒造株式会社
■グループメーカー商品販売会社…JFLA販売株式会社
■食品・酒類輸入販売…株式会社アルカン


【用語解説】

*1:タンパク質
 アミノ酸が数個つながったものがペプチドであり、さらに多くつながったものがタンパク質です。

*2:滓(オリ)、濁り
 製品中に残存するタンパク質が加熱などにより凝集して、製品を濁らせたり、沈澱したりして滓となります。製造中に滓や濁りが偶発的に発生すると、配管を詰まらせることがあります。流通中に発生すると、見た目が悪いので不良品扱いとなります。

*3:タンパク質吸着性セラミックス
 ワインやビールなどでは、これらに含まれるタンパク質由来の滓や濁りを取り除くため、タンパク質を吸着する能力のあるセラミックスとして、シリカゲルや粘土系のセラミックスが以前より用いられてきました。品質を変化させずに滓や濁りを防止するためには、対象の製品ごとに適切なセラミックスを選択する必要があります。

*4:マスキング
 調理素材の不快な臭い (例えば、生臭み)を好ましい香りで遮蔽すること。

*5:滓下げ法
 ゼラチンやタンニン、シリカゾルなどの滓下げ剤を添加して、意図的にタンパク質を凝集沈澱させて取り除く方法。

*6:酵素剤添加
 タンパク質を分解する酵素を添加して料理酒中のタンパク質を細かく分解することによって、滓を出なくする方法。問題点は、酵素剤が高価なために製品のコストアップになる点。

*7:官能評価
 機器分析や化学分析で食品中の成分を測定する代わりに、人間の感覚 (視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚)を使って食品を評価する方法です。食品の美味しさなどの評価には、機器分析や化学分析よりも官能評価の方が的確である場合も多くあります。

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