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富士経済、需要分野別燃料電池システム・主要スタック部品の世界市場調査結果を発表
燃料電池車普及により2020年度以降急拡大
需要分野別燃料電池システム・主要スタック部品の世界市場を調査
―燃料電池システム市場 25年度予測:5兆1,843億円(11年度比74.2倍)―
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、2012年10月から2013年1月にかけて、日本、アジア、北米、欧州のエリアにおける燃料電池システムと主要スタック部品の市場を需要分野別(産業・業務用、家庭用、燃料電池車、フォークリフト等の駆動用、ポータブル/バックアップ用、携帯機器用)に調査した。
その結果を報告書「2013年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」にまとめた。
<調査結果の概要>
■燃料電池システム 世界市場
2011年度 2025年度予測 11年度比
699億円 5兆1,843億円 74.2倍
2011年度の燃料電池システム世界市場は699億円となった。日本での家庭用燃料電池、北米での産業・業務用燃料電池、ポータブル/バックアップ燃料電池が市場を牽引した。2012年度以降は引き続き家庭用と産業・業務用が市場を牽引し、2015年度には3,388億円になると予測される。2015年度には、燃料電池車の販売が開始され、その後市場拡大が進むことで、2025年度の世界市場は5兆1,843億円になると予測される。
次世代技術として注目される燃料電池は、グリッド、自動車、家庭、小型移動体、携帯機器、小型電源など広い分野に対応できることが特徴である。今回取り上げた6分野のうち、燃料電池車以外はすでに研究開発から商用化に移行(携帯機器用は2012年度から商用化)している。現在は市場形成期にあるためコストなどの課題があるが、今後はそれぞれの分野で自立的な普及が進むとみられる。
【需要分野別燃料電池システム市場】
2011年度 2025年度予測
産業・業務用 359億円 7,341億円
家庭用 159億円 1兆1,190億円
燃料電池車 3億円 2兆9,106億円
駆動用 59億円 2,199億円
ポータブル/バックアップ 119億円 1,696億円
携帯機器用 0億円 311億円
燃料電池が利用される需要分野別を、産業・業務用、家庭用、燃料電池車、駆動用、ポータブル/バックアップ用、携帯機器用の6分野に区分した。2011年度は産業・業務用が半数を占め、次いで家庭用となっている。家庭用は安定的に拡大し、市場構成比2〜3割を維持しながら市場拡大を続けると予測される。燃料電池車の商用化とその後の拡大によって、市場構成比は大きく変化し、2025年度には燃料電池車が燃料電池システム市場の半数以上を占めると予測される。
1.産業・業務用
燃料電池はシステム規模の大小に関わらず発電効率が高いため、ガスエンジンやガスタービンの導入には適さない小規模施設でも導入できる。現在数kW〜2,800kWの燃料電池システムが製品化されている。
2011年度の市場は359億円となった。それぞれのエリアや国における環境政策や税制、補助金などに大きく影響され、現時点では導入時の補助が手厚い北米と燃料電池による発電事業を国策として進めている韓国に需要が集中している。
エリア別には北米の市場が最も大きく、PAFC、MCFC、SOFC、PEFCのそれぞれのタイプの燃料電池システムが導入され、いずれも出力の大型化が進む傾向にある。なお、タイプ別にはSOFCの市場が最も大きい。欧州ではCHP(熱電併給システム)がFIT制度の対象となる国が多く、新たなマーケットとして期待されている。アジアでは、韓国で市場が形成され、今後はアジア各国に広がりながら市場が拡大すると期待される。
2.家庭用
家庭用燃料電池にはPEFCとSOFCが採用され、世界のなかで日本での商用化が進んでいる。2011年度の市場は159億円となり、2015年度には1,000億円を超え、2025年度は1兆1,190億円が予測される。その内日本市場は2011年度で154億円となり、2015年度には840億円、2025年度は5,520億円が予測される。家庭用市場は日本が世界をリードするかたちで拡大するが、今後は欧州でも市場が立ちあがるとみられる。
日本におけるエネファーム(PEFC)の販売は2009年から開始された。商品開発は汎用機開発のステージに入っており、需要拡大を目指した低コスト化、小型化や付加価値化に注力されている。現在は補助金の交付などが行われているが、低コスト化の進展により2016年度をめどに補助金によらない自立的な普及が目指されている。
エネファームは定期的に最新モデルが発売されている。2011年にはエネファームTypeS(SOFC)の発売が開始され、今後の本格普及に向けた開発が進められている。2015年度には各社の普及モデルとなる機種が発表されるとみられる。商品化ではPEFCが先行しているが、SOFCはコスト低減の可能性が高いとも言われており、いずれのタイプが優位になるかは、今後の開発にかかっている。
3.燃料電池車
現在、燃料電池車は実証実験で利用されるケースや法人、個人へのリース車として出荷されている。2011年度の市場は3億円となった。
韓国で燃料電池車の限定量産が開始されており、2015年度には一般向け燃料電池車の販売開始が予定される。日本メーカーも、販売開始に向けた製品仕様の決定や、設備投資など具体的な動きを進めており、日本メーカーなどアジア勢が先行する形となり、2015年度の市場は344億円が予測される。
燃料電池車普及のためには新たなインフラとして水素ステーションを建設する必要があり、初期の段階では水素ステーション数が少ないことによる利便性の悪さが課題となる。そのため、導入に積極的な日本以外に、水素インフラ整備に積極的である欧州や、環境対策自動車に対するインセンティブの高い米国(カリフォルニア州)、スコットランド、デンマーク等での普及がまずは想定され、自動車メーカーは欧州関連機関との連携を強めている。
2015年度に商用化された後は、2020年度までに各社の普及車が出揃い、2025年度には各社複数車種の展開が進むとみられる。2025年の市場は2兆9,106億円が予測される。
4.駆動用(フォークリフト、バス、スクーター等)
燃料電池フォークリフトの市場は2009年より北米で本格的に立ち上がっており、鉛電池を利用したフォークリフトの代替品として導入が始まっている。欧州は電動フォークリフトの最大市場であるが、燃料電池フォークリフト市場はまだほとんど立ち上がっていない。水素ビジネスの立ち上げに積極的な欧州の産業ガスメーカーは燃料電池フォークリフトに関心が高く、今後の市場拡大が期待される。
バスは走行範囲が決まっているため、自動車に比べインフラ設置などに関する課題点が少ないことから世界的に燃料電池バス実証実験が行われている。
燃料電池スクーターは、一部メーカーが手掛けているものの、水素インフラなどの制約があるため、市場が立ち上がるのは、燃料電池自動車の普及が始まり水素インフラの整備が進んだ後と予測される。
■燃料電池主要スタック部品 世界市場
2011年度 2025年度予測 11年度比
125億円 3,200億円 25.6倍
燃料電池主要スタック部品は、PEFC向けの電極材、電解質、セパレータ、GDLの4品目、SOFC向けのアノード、カソード、電解質、金属インターコネクタの4品目、計8品目を対象とした。
PEFCスタック部品は、2011年度で99億円となった。家庭用をはじめとするPEFCシステムの出荷拡大に伴い部品市場も拡大している。中長期的に市場拡大を支えるのは燃料電池車用と見られ、2020年度までに製品化が予定される量産車の登場と普及によって、更なる市場拡大が予測される。
SOFCスタック部品は、2011年度で26億円となった。現在セルスタックを商品化しているメーカーは限定的であるが、今後2015年度までに参入を予定するメーカーが複数見られることから、今後の市場拡大が期待される。
<調査対象>
・対象エリア:日本、アジア(韓国、中国、インド、台湾、他)、北米(アメリカ、カナダ)、欧州(イギリス、ドイツ、オランダ、オーストリア、ベルギー、イタリア、フランス、北欧、他)
・燃料電池システム:産業・業務用、家庭用、燃料電池車、駆動用、ポータブル/バックアップ用、携帯機器用
・スタック部品:PEFC(電極材、電解質、セパレータ、GDL)、SOFC(アノード、カソード、電解質、金属インターコネクタ)
<調査方法>
富士経済専門調査員による対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査
<調査期間>
2012年10月〜2013年1月
以上
資料タイトル :「2013年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」
体裁 :A4判 236頁
価格 :書籍版 130,000円(税込み136,500円)
PDF版 130,000円(税込み136,500円)
書籍版・PDF版セット 150,000円(税込み157,500円)
調査・編集 :富士経済 大阪マーケティング本部 第三事業部
TEL:06−6228−2020 FAX:06−6228−2030
発行所 :株式会社 富士経済
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