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三井住友建設など、「放射能汚染草木類の安定・減容化システム」の公開実証試験を実施

2013-03-15

"放射能汚染草木類の安定・減容化システム"を開発、実証試験を実施
―除染除去物(草木類)の安定・減容化技術を確立―



 三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、大沼林産工業株式会社(福島県伊達市霊山町掛田字段居62番5号 社長 大沼貞生)、株式会社三富工業(静岡県富士市桑崎441番 社長 田中穂積)と共同で、除染作業において発生する草木類を効果的に安定・減容化する"放射能汚染草木類の安定・減容化システム"の公開実証試験を実施しました。この実証試験により、処分が必要な汚染草木類等を99%以上減容化し、放射性セシウムが溶出、飛散しにくい安定化した粒状の灰とすることに成功し、仮置きに必要なスペースを大幅に削減する技術として確立しました。


■経緯
 福島県内を始めとする100余りの市町村において順次除染事業が進められており、除染作業において発生する除染除去物は主にフレコンバッグに収納され仮置場に集積されています。ところが、放射性セシウムが付着した葉や草木類の場合には、腐敗による悪臭の発生や、内容物に含まれる菌類の発酵に伴う温度上昇と発酵して生成される可燃性ガスにより自然発火して火災を生じる危険性などいくつかの問題をかかえています。数年後には中間貯蔵施設等へ搬入・処理される予定となっていますが、容器内で性状の変化する草木類については早期の処理が必要な状況にあります。
 草木類の減容化処理については焼却処理が最も簡単ですが、専用焼却炉が不足し(一般廃棄物との区分が必要)、また、高濃度の灰、特に飛灰の処理・管理が問題となっています。飛灰には放射性セシウムが大量に付着しており、また、飛灰からは放射性セシウムが水に容易に溶出するため、保管上に難点があります。ここに着目して、焼却処理とは異なる安定・減容化技術の開発を進めてきました。


■"放射能汚染草木類の安定・減容化システム"とは
 放射能汚染草木類の安定・減容化システムは、三井住友建設株式会社と株式会社三富工業が共同で開発したもので、輻射熱分解装置とストリーマ放電による排ガス処理装置を組み合わせて構成されています。輻射熱分解装置は、草木類を放射性セシウムが溶出しにくく安定した残留固形物(粒状灰)に熱分解(※)して、1/100以下に減容化します。また、排ガス処理装置は、分解装置から発生するガスを水蒸気、二酸化炭素を主とする無害、無臭な排気に改質して外部放出を可能にします。

(※)熱分解とは:
 焼却炉などは燃焼によって処理しますが、本技術では熱分解という手法を用いています。燃焼を継続するためには一定量以上の酸素濃度が必要で、これを限界酸素濃度といいますが、熱分解の場合は限界酸素濃度以下で加熱分解します。


■"放射能汚染草木類の安定・減容化システム"の特徴
 放射能汚染草木類の安定・減容化システムは、以下のような特徴を有しています。

 (1)放射性セシウム等は、分解装置下部の高温部で気化した後、上部の低温部ですぐに固体となって、最終的に生成される粒状灰に飛散しにくく安定した状態で閉じ込められます。
 (2)熱分解によって炭化を経て灰化するため、従来の焼却設備で発生する放射性セシウムを大量に含む飛散しやすい飛灰は、発生しません。
 (3)熱分解装置で発生する煙等の排ガスは、オゾンを用いた排ガス処理装置によりダイオキシン等の有害物質も含め、酸化分解して無害、無臭化処理します。
 (4)処理水は循環使用し、分解残留物である粒状灰以外の廃棄物は発生しません。
 (5)輻射熱を利用するため化石燃料等は不要で、ランニングコストが低減できます。
 (6)簡易なプラントシステムで汎用性が高く、作業場所の移動が容易です。また、セット数の増加による大規模化も可能です。

 ※参考画像は、添付の関連資料を参照


■実証試験
 本システムの検証のため、福島県伊達市霊山町において実証試験を12月3日〜12月15日の間に実施しました。また、12月11日、12日には試験状況を公開し、国、県、市等の他に独立行政法人、報道関係者を含む多数の方々に見学していただきました。
 実証試験では、汚染された落葉、小枝、木の皮など約7.7m3(約780kg)を熱分解処理し、残留固形物(粒状灰)約0.06m3(約37kg)に減容化することに成功しました。減容率は99%以上(1/100以下)、減量率は95%以上でした。
 放射性セシウムの約98%は熱分解装置内に残留する粒状灰に減量率にほぼ反比例した濃度で閉じ込められており、本技術の特徴である、放射性セシウムの気化抑制による閉じ込め効果が確認できました。また、精密な排ガス計測の結果、残りの約2%弱の放射性セシウムも排ガス処理装置内で完全に除去できており、最終の排気口からは一切検出されていないこと、ダイオキシン類も排出されていなく安全が確保されていることも確認できました。
 さらに、粒状灰についても放射性セシウムの溶出試験を実施し、溶出率が1.6%程度とわずかで、水に溶出しにくく安定した形態になっていること、ダイオキシン類の含有は基準値未満であることも確認しております。
 (通常の焼却炉で発生する飛灰には放射性物質の80%程度が付着しているうえ、飛灰に含まれる放射性物質は、水に対して80%程度の溶出率があります。このようなことから、焼却炉で発生する飛灰は、飛散、水への溶出など取り扱いに細心の注意が必要です。)


■今後の展開
 今回の実証試験に使用した装置は1m3タイプのもので、3〜5m3/日の処理能力がありますが、今後の実用化に向けて、処理能力が約30〜45m3/日の中型装置の開発を計画しています。
 大量に発生する除染除去物の安全で簡易な減容化技術の普及が強く求められている現在、三井住友建設株式会社は、本システムの積極的な展開を通じ、仮置き場で問題となっているスペースの問題や、悪臭、飛散の発生や火災の危険性を排除することにより除染作業の促進と被災地の一日も早い復旧を支援していきます。また、除染だけでなく、放射性物質が付着した草木類を伐採処理する通常の建設工事や製材時に放射性物質の付着した枝や樹皮を処分する林業においてもこの技術が役立つものと考えています。


※参考資料は、添付の関連資料を参照

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