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YKKグループ、第3次中期経営計画の振り返りと第4次中期経営計画を発表

2013-03-09

2013年3月5日 YKKグループ 第3次中期経営計画(2009年度〜2012年度)の振り返りと第4次中期経営計画(2013年度〜2016年度)



1.YKKグループ第3次中期経営計画の振り返り

○第3次中期経営計画の振り返り
 YKKグループは、2001年度より4年を一期間とした中期経営計画を策定いたしました。第1次から第3次中期経営計画を通して、収益基盤を強化するために、グループ全体で事業構造改革を推進してまいりましたが、その成果として、建材事業の収益基盤の確立と、ファスニング事業の更なる伸張を図ることができました。
 第3次中期経営計画は2008年度のリーマンショックに端を発した世界的金融危機により先行きが不透明な厳しい事業環境の中で作成いたしました。「事業価値の確立」「ブランド価値の確立」をYKKグループの中期経営方針として掲げ、各事業方針に基づき遂行いたしました。工機は2010年度より、「工機事業本部」から「工機技術本部」に位置づけを変更いたしました。また、グループ本社は2011年度から「YKK株式会社 本社」に呼称を変更し取り組んでまいりました。

○第3次中期経営計画の最重要ポイント
 第3次中期経営計画達成に向けての最重要ポイントは、以下の二点を掲げました。
  「売上が伸びない事業環境下でも利益を確保する体制づくり」
  「技術力の更なる強化」
 厳しい事業環境下において技術力の強化に注力することで、更なる収益基盤の強化を図ってまいりました。

○事業環境について
 (ファスニング事業)
  2009年度当初は、消費国を中心に想定以上の市況低迷と衣料品の低価格化に苦戦いたしました。2010年度には回復したものの、それ以降伸び悩んでいます。欧州高級分野向けの開発体制の強化に成功する一方で、ファストファッション分野および新興国での内需対応が今後の課題として残っております。

 (建材事業:国内)
  2009年度は新設住宅着工戸数が想定以上に落込み、日本の市場が急速に縮小しました。2010年度以降は、住宅エコポイントや各種政策により回復基調に転じました。国内事業の構造改革を前倒しで実施し、更に窓事業の基盤を確立し、安定した収益構造を構築してまいりました。

 (建材事業:海外)
  インドネシア・台湾は高収益体質となり、中国でも収益基盤を確立いたしました。アメリカは市場低迷が影響し中期事業計画は未達成なものの、販売減に対応した固定費削減を行い、安定した利益を確保しました。

○第3次中期経営計画進捗状況
 収益力の改善と技術力の強化に注力することで、2012年度は増収増益を達成しました。但し、中期経営計画においては、為替変動の影響や銅を中心とした原材料価格の上昇等への対応が不十分で未達成となりました。

○連結業績:ファスニング事業
 売上高は2,182億円で前年に対して17億円の増収、前年比101%、営業利益は275億円で前年に対して20億円の減益、前年比93%となる見込みです。日本の大手顧客の生産調整やスポーツアパレル分野が低調に終わったものの、南アジアのジーンズ分野、欧州地域の高級分野が堅調に推移し増収となる見込みです。一方、利益については、中国等の人件費上昇の影響をコストダウンで吸収しきれず減益となる見込みです。

○連結業績:建材事業
 売上高は3,447億円で前年に対して218億円の増収、前年比107%、営業利益は171億円で前年に対して92億円の増益、前年比216%となる見込みです。新設住宅着工戸数が堅調に推移したことと、構造改革による製造コストや販管費の削減、原材料価格の低下、また海外の業績も好調であったことにより増収・増益となる見込みです。

○2012年度全体業績
 売上高は5,701億円で前年に対して、257億円の増収、前年比105%、営業利益は326億円で前年に対して41億円の増益、前年比114%となる見込みです。純利益は繰延税金試算の計上(117億円)の影響もあり、316億円、前年に対して153億円の増益、前年比194%となる見込みです。


2.YKKグループ 第4次中期経営方針

(1)YKKグループ 第4次中期経営方針

○事業セグメント名の変更
 これまで「建材事業」としてきましたが、YKK AP株式会社及び関連子会社の事業領域の変化、提供するアイテム構成の変化等に伴い、事業呼称を「AP事業」といたします。

○6極経営体制:極の括りの変更
 第4次中期経営計画策定にあたり、ファスニング事業戦略の重要性から「アジア」を一つの極と捉えることにいたしました。更にその中で、「中国」はファスニングとAPの事業規模から鑑みて個別の極として対応いたします。

○執行役員体制の見直し
 YKKグループでは、「働き方“変革への挑戦”プロジェクト」の下、社員の意識改革を推進しております。執行役員には一般社員以上に「役割」を軸とした働き方を求め、役位の集約により人材の異動・登用を推進することにより、競争力のある経営の体制を構築してまいります。

○第4次中期経営計画の最重要ポイント
 マーケットニーズや顧客視点を常に意識しながら、激しい事業環境を勝ち抜き、中期経営計画を達成するために求められるのは、「商品力と提案力」とそれらを支える「技術力」の3つの力と位置付けました。次期中期経営計画においてはこれらに一層注力してまいります。

○第4次中期経営計画策定に向けた前提条件
 第4次中期経営計画策定にあたり、ファスニング事業においては、アジア市場の重要性の拡大と、今後の中国市場の動向に注目しております。
 AP事業においては、消費税増税に伴う新設住宅着工戸数の駆け込み需要とその反動減やリフォーム分野の活性化に注目しています。


(2)YKK株式会社 第4次中期事業方針

○YKK株式会社 第4次中期事業方針
 前述のような事業環境を見込む中、グループの技術を支える工機技術本部とファスニング事業を中心としたYKK株式会社では、「技術の進化と革新―既存ビジネスの進化と革新による量的成長―」を第4次中期事業方針に掲げました。

○ファスニング事業:事業本部方針
 ファスニング事業は、第4次中期事業計画の事業本部方針として「新たなる成長戦略展開(販売本数100億本へ向けて)」を掲げました。重点ポイントは、拡大するアジア・中国市場での増販であり、その中でも特に、ボリュームゾーンファストファッションの対応を強化してまいります。激しい事業環境を勝ち抜くためには、既存の延長線では成長に限界があります。そこで、新しい成長戦略を実行するにあたり、組織体制を含めた見直しを行います。また、投資についても積極的に実施し、販売本数100億本に向けた布石を打ってまいります。

○ファスニング事業:第4次中期事業計画 重点ポイント
 顧客の業態や商形態などの違いを一層意識した戦略立案を行うため、顧客タイプ・セグメントを細分化しました。強みが発揮されている欧州高級ブランド顧客向けや、スポーツアパレル・産業資材顧客向けの商品においては今後も一層競争力を強化してまいります。一方、ファストファッションにおいては、「ファスナー・S&Bトータル提案力」「海外R&Dの強化」「短納期での品揃え力強化」を重点的に行い、ボリュームゾーン対応については、「新商品の開発・投入」「競争力ある生産設備・ライン開発/導入」「トータルコストの追求」を重点的に行います。

○ファスニング事業本部:組織再編
 販売本数100億本を達成すべく、顧客と直接接する事業会社の競争力強化を図ります。
 事業部制を廃止することで以下3点を狙ってまいります。

 ・事業会社がより迅速に意思決定を行うため、本部の組織をシンプル化
 ・変化する市場ニーズにより的確に応えるための組織とし、事業会社を支援・強化
 ・市場が求める的確な商品を開発・製造し、迅速に市場へ投入

○ファスニング事業:投資計画
 アジアを中心とした成長市場への積極投資として、2013年度〜2016年度の4年間で、1,270億円を投資いたします。尚、2013年度の投資金額は351億円で、うちアジアは119億円、中国は79億円で、全体の投資額に占めるアジア・中国の割合は約60%となります。特に大きな投資計画は、「ジプコ・インドネシア社 銅合金ワイヤー工場」の設立で、2014年11月稼働を目指します。

○工機技術本部について
 工機技術本部はYKKグループに共通する技術開発の中枢機能と位置付け、「事業を強くすること」「事業の主体性」を第一義として、ファスニング事業、AP事業との一層の協働を目指し、2010年度より工機技術本部として設備開発・技術開発を進めてまいりました。
 第4次中期執行方針として「技術開発の基盤確立」を掲げ、その重要取り組みとしては第3次中期経営計画から継続して、「事業の製造現場に適応する設備開発」「中長期視点での技術開発」といたします。その具体例は以下の5点です。

 1.ファスナー専用機械の改善・改良、進化
   具体的には、ファスナー専用機械工場の再構築
 2.窓専用ラインの改善・改良、進化
 3.要素技術の深耕
   具体的には搬送技術・制御技術、ライン化技術等の技術プラットフォームの設定・展開
 4.材料開発・製造プロセス開発
 5.分析・評価技術の深耕

○第4次中期事業計画:ファスニング事業
 前提条件となる第4次中期事業計画レートは1ドル=85円、1ユーロ=115円、人民元=13.7円といたしました。2013年度で売上高2,426億円、営業利益323億円、2016年度で売上高 2,808億円、営業利益 432億円を計画しております。工機技術本部と管理部門との連携を一層密にすることで、ファスニング事業の中期事業計画の達成を目指してまいります。


(3)YKK AP株式会社 第4次中期事業方針

○AP事業:第4次中期事業方針
 第3次中期事業計画では、国内事業の構造改革を実施し収益基盤を強化してきました。第4次中期事業計画では、消費税増税の影響を考慮しつつも、最終的には新築市場は減少傾向と予測しております。このような環境の中、営業力の強化と事業の成長を目指し「商品力・提案力によるAP事業の持続的成長」を事業方針として掲げました。具体的には、以下の6つの重点施策を遂行し、中期事業計画の達成を目指してまいります。
 「窓事業の拡大」「リフォーム分野の強化」「エクステリア商品力の強化」
 「ビル事業の強化」「海外AP事業の拡大」「YKK AP FACADEブランドの構築」

○窓事業の拡大
 第3次中期事業計画では、APW330・APW310を開発・投入し、2012年度に73億円を売上げ、2011年度の約3倍の規模となりました。窓事業の方向性は確認されたため、埼玉窓工場に続き、東北事業所内にも窓工場を建設し、モデルの展開を図ってまいります。また、商品ラインナップも充実させ、第4次中期事業計画として400億円の販売を計画いたしました。

○リフォーム分野の強化
 リーマンショックの影響から新築市場が激減し2010年度にリフォームへのチャネル強化ということでMADOショップを立ち上げました。立ち上げ当初は2012年度で300店舗を目標としていましたが、この考え方に賛同してくださる流通店や工務店も多く、結果的に2012年度には1,000店舗まで拡大しました。しかし、1店舗あたりの売上規模に濃淡があり、今後はMADOショップの質を向上させてまいります。リフォームは窓だけでなく施主様の多様なニーズに対応するため、MADOショップ自身の機能強化やリモデルクラブ店との連携、地域でのネットワークづくり等を提案してまいります。

○海外AP事業の拡大
 海外AP事業の拡大は、第3次中期事業計画からの継続テーマです。各地域において収益基盤もできあがってきておりますので、更に地域別に強化してまいります。アメリカは南東部を中心に事業展開をしてきましたが、中西部にも基盤をつくり全米市場を意識してまいります。中国は、チャイナリスクの懸念はありますが信頼関係も構築できており、現在の取引形態の中でニーズにあった商品を提案し、更に地域展開を拡大してまいります。成長が期待されるアジア地域ではインドネシアを供給基地として、地域にあった商品を開発し増販いたします。2016年度の海外AP事業の売上高は2012年度推定の1.6倍規模、897億円を計画しております。

○中央研究所の設立
 AP商品の技術研究所として、長いスパンでこれからの商品に求められる基盤技術や要素技術の調査・研究をすると共に、新たな性能を実証評価する技術を確立すべく中央研究所を設立いたしました。この研究所は黒部荻生製造所内に設置し、既にある商品技術・生産技術等のファンクションと連携を図ることで目的を達成してまいります。基盤技術・要素技術といった面で外部研究機関への働きかけや連携も活発にしていきます。

○第4次中期事業計画:AP事業
 2013年度で売上高3,815億円、営業利益で213億円、2016年度で売上高4,024億円、営業利益253億円を計画しております。


(4)第4次中期経営計画 経営目標

○第4次中期経営計画 経営目標
 YKKグループ全体の2016年度連結収支は、売上高は6,895億円で2012年推定に対して1,194億円の増収、営業利益は562億円で2012年度推定に対して236億円の増益、売上高営業利益率は8.2%、純利益は368億円で2012年度推定に対して52億円の増益、ROA 4.2%を計画しております。

○第4次中期経営計画
 最重要ポイントである「商品力と提案力」、「技術力」、更には、ファスニング事業を中心とするYKK株式会社、AP事業を中心とするYKK AP株式会社において、それぞれ2つの中期事業方針を掲げ、中期経営計画達成に向けた取り組みを推進してまいります。売上高営業利益率8%を確実に達成し、引き続きROA5%を目指します。


以上

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