武田薬品、全身性エリテマトーデスなどの新薬候補物質を対象とした共同研究開発契約を締結

武田薬品とResolve社との共同研究開発契約について


　武田薬品工業株式会社（本社：大阪市中央区、以下「武田薬品」）とResolve　Therapeutics，LLC（本社：米国、シアトル、以下「Resolve社」）は、このたび、全身性エリテマトーデスおよびその他の自己免疫疾患治療のための新薬候補物質を対象とした共同研究開発契約（以下「本契約」）を締結しましたのでお知らせします。

　本契約において、Resolve社は、最も研究が進んでいるヌクレアーゼ（＊１）融合タンパク質（＊２）RSLV−１３２について、全身性エリテマトーデスを対象に最初に実施する臨床第１b／２a相試験（＊３）（以下、「P−１b／２a試験」）が終了するまでの全ての研究開発業務を実施します。武田薬品は、P−１b／２a試験終了時点で、Resolve社のプラットフォームを用いたRSLV−１３２およびその他全ての新薬候補物質に関する、全世界を対象とした独占的開発・販売権を取得できるオプション権を有しており、これを行使した場合、武田薬品がその後の全業務を引き継ぎます。RSLV−１３２の臨床試験は、本年後半に開始される予定です。全身性エリテマトーデスを惹起する最大の要因は、病態生理学的に自己抗体を含む免疫複合体であると考えられており、Resolve社が保有する新薬候補物質は、これら免疫複合体を分解、排除する薬剤です。

　本契約に基づき、武田薬品は、RSLV−１３２の研究開発のため、２０１２年度に８百万米ドルをResolve社に支払います。武田薬品がオプション権を行使する場合は、Resolve社に対して、オプション権行使金および開発の進捗に応じたマイルストンを含め、最大で２４７百万米ドルを支払う可能性があります。また、武田薬品は販売額に応じたロイヤルティを支払います。

　武田薬品の医薬研究本部長　丸山哲行（旧名：ポール・チャップマン）は、「全身性エリテマトーデスの治療薬開発に向けて、ヌクレアーゼ融合タンパク質という新たな可能性を有するアプローチで挑むResolve社と連携できることを大変嬉しく思います」と述べています。

　Resolve社のCEOであるJames　Posadaは、「武田薬品と連携して研究開発を進められることを大変嬉しく思います。同社の炎症性疾患に関する研究活動、専門知識、リソースなどが加わることで、当社の新薬開発の成功確率が最大限に高まるものと期待しています」と述べています。


以上


＊１　ヌクレアーゼ：核酸をその構成単位のヌクレオチドに加水分解する酵素の総称。

＊２　ヌクレアーゼ融合タンパク質：ヌクレアーゼとヒト免疫グロブリンの重鎖不変領域（Fc領域）とを、遺伝子工学によって融合させたタンパク質。

＊３　P−１b／２a試験：患者を対象に新薬候補物質の生物学的活性を検証する試験。


＜全身性エリテマトーデスについて＞
　全身性エリテマトーデスは、全身の様々な臓器に炎症が起こる自己免疫疾患の一種です。他の自己免疫疾患同様、免疫システムが自己の細胞、組織を攻撃することで、炎症および臓器損傷を引き起こします。主な発生部位は、心臓、関節、皮膚、肺、血液、肝臓、腎臓および中枢神経です。症状発生の予測は困難であり、急激な病勢の増悪（フレア・アップ）と寛解を繰り返します。患者の約９０％は１５歳から３５歳までの若い女性であり、白人以外の人種が多いとされています。全世界で約５００万人以上が全身性エリテマトーデスに罹患していると推測されていますが、既存薬は症状改善のみを目的としているため、新しい治療薬が求められています。


＜Resolve社について＞
　Resolve社は、米国シアトルにおいて、全身性エリテマトーデスを対象としたバイオ医薬品の研究開発に特化した医薬品企業です。Resolve社の新薬候補物質であるRSLV−１３２はヌクレアーゼ融合タンパク質であり、全身性エリテマトーデスの炎症経路を惹起する最大の要因と考えられている免疫複合体を排除する新たな作用機序を有しています。RSLV−１３２は、現在、IND申請にむけて前臨床試験を実施中であり、臨床試験の開始は２０１３年中を予定しています。Resolve社はその他の新薬候補物質も有しており、前臨床段階にあります。詳細については、http://www.resolvebio.com.をご覧下さい。