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三菱電機、超高精細三次元形状表現技術を開発
高品位加工におけるテスト加工レスを実現
「超高精細 三次元形状表現技術」を開発
三菱電機株式会社は、NC工作機械(※1)の三次元加工シミュレーションにおいて、1ミクロンの分解能で加工面の詳細形状を表示できる超高精細三次元形状表現技術を開発しました。シミュレーションによって加工面の表面性状の確認が可能となり、高品位加工におけるテスト加工レスを実現し、実加工への移行時間の短縮など生産の効率化に貢献します。
※1 NC(Numerical Control)工作機械:加工に必要な作業の経路や工程を数値で制御する加工装置
〔図1 シミュレーション結果と実加工の表面品質の比較〕
*添付の関連資料「添付資料」を参照
<開発の特長>
1.加工形状の変化を1ミクロンの分解能で再現
・切削加工によってワークが削られる形状変化を、1ミクロンの分解能で表現
・高精細な表示により、加工によるキズや削り過ぎ、削り残しを確認可能
2.超高精細な三次元シミュレーションを少ないデータで高速に実行
・独自の形状表現技術マルチADF(※2)を開発
・超高精細な三次元シミュレーションを、従来のシミュレーションに使用される形状表現と比べ100分の1以下の記憶容量(当社比)で高速実行可能
※2 Adaptive Distance Field
<開発の概要>
・今回
機能:加工によって生成される加工表面性状をシミュレーションによって確認
性能(分解能):1μm
性能(記憶容量):図1のサンプルワークを1μmの分解能で表現する場合の記憶容量は50MB以下
・従来(当社)
機能:加工工程や加工物の形状としての正しさをシミュレーションによって確認
性能(分解能):0.1mm
性能(記憶容量):図1のサンプルワークを1μmの分解能で表現する場合の記憶容量は約16GB
*表形式の「開発の概要」は添付の関連資料「添付資料」を参照
<開発の背景>
金型加工分野ではリードタイムの短縮が課題となっており、切削加工後の磨き工程の削減のため、磨き工程が不要な切削加工の高精度化・高品位化が求められています。また、部品加工分野においても従来金型による生産工程から、製品を直接加工する工程へと変化してきており、切削による高品位な仕上げ加工が望まれています。一方、切削加工装置はCAD/CAMによって出力された加工プログラムで制御され、テスト加工によって加工プログラムに問題がないかを確認していました。そのため切削加工の高精度化・高品位化には、何度もテスト加工による加工プログラムの評価を繰り返す必要があり、工程が長くなる問題がありました。
<特長の詳細>
これまで、切削される対象物体をモデル化し、加工プログラムの動作を三次元シミュレーションすることにより事前に加工プログラムの動作を検証する技術は種々ありますが、分解能を良くするためには必要なデータ量や処理時間が膨大になるため、超高精細な形状表現は困難であることから実用化には至りませんでした。
今回、独自の三次元形状表現技術マルチADFを開発し、分解能1μmレベルの超高精細形状モデルを従来比100分の1の記憶容量で実現できるようになりました。
マルチADFは、三次元の形状を微小な立方体の集合で表現し、ひとつの立方体の中に複数の曲面を精緻に記述する技術で、加工面に生じたミクロンレベルの微細な凹凸を、より少ない立方体で鮮明に表現できることに加えて、少ない記憶容量で高速なシミュレーションを実行できます。この技術により、テスト加工不要によるリードタイムの短縮と、加工表面を超高精細で確認できることによる高品位な仕上げ加工の実現に貢献します。
〔図2 三次元形状表現技術(マルチADF方式)〕
*添付の関連資料「添付資料」を参照
<特許>
国内5件、海外5件 出願済み
<開発担当研究所>
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所
〒661−8661 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号
http://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_at.html