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野村総研、2015年度までの国内中心のIT主要5市場の分析と規模予測を発表

2010-12-23

スマートフォン」が牽引して携帯電話市場がV字回復、電子書籍コンテンツは2015年度には2,400億円市場に

〜 2015年度までのIT主要市場の規模とトレンドを展望(2) 〜


 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、2015年度までの国内を中心とするIT主要5市場の分析と規模予測を行いました。2010年12月17日に発表した、ブロードバンド関連サービス市場、放送メディア市場に続く第二弾として、今回は、ネットビジネス市場6分野、モバイル市場4分野、ハード市場8分野についての予測結果を発表します。

市場規模予測(各市場の定義は参考資料を参照) 
 ※ 関連資料参照 


ネットビジネス市場は、2015年度には18兆円市場に】

 ネットビジネス市場は、パソコン向けに加え、携帯電話向けの市場が伸びており、全体として順調な拡大が期待できます。ネットビジネスの市場全体では、2010年度の約12兆円から、2015年度には18兆円へと、約1.5倍の拡大が見込まれます。

BtoC EC(消費者向け電子商取引): 
 ネットビジネス市場で最も大きな割合を占め、2015年度には約12兆円に達する見込みです。これからの5年間、市場拡大を牽引するのは「モバイル(携帯電話向け)EC」であり、BtoC EC全体に占める割合は、2010年度の17.5%から2015年度には20%を超え、金額規模で2.5兆円を突破すると見られます。

インターネット広告市場: 
 成長速度をゆるめつつも、2010年の約6,400億円から2015年には約9,300億円に拡大すると予測されます。そのうち携帯電話向け広告の市場は、2015年に約3,300億円となり、インターネット広告市場全体の35%を占めると見込まれます。

音楽配信市場: 
 スマートフォンの普及と、音楽配信におけるクラウド化の進展が起爆剤となり、2015年度には2010年度の1.6倍となる1,020億円に達すると見られます。

インターネットオークション: 
 物品の送付を必要としない、デジタルコンテンツやデータなどの取引が増加しています。今後は、年率5%程度の緩やかな成長軌道にのり、2015年で約1兆1,700億円の規模となると予測されます。

オンライン決済市場: 
 EC市場の拡大にともなって、2010年度の約3,200億円から、2015年度には約5,200億円へと拡大が予想されます。このうち、携帯電話等のモバイル端末を利用した決済市場は、2010年度の580億円から急拡大し、2015年度に約1,000億円となる見込みです。

非接触IC決済市場: 
 新規参入が一段落し今後は首都圏以外での地域での利用拡大が見込まれます。今後は年率10%程度の成長により、2015年度の非接触IC決済市場(取扱高)は、約3兆7,000億円に達するものと予測されます。


スマートフォンの台頭により、企業情報システムやコンテンツ市場が拡大】
 携帯電話の契約件数は1億を超え、市場は成熟しつつあります。一方で、スマートフォンの台頭により、携帯電話の事業構造が大きく変革しつつあります。一人で複数台を保有したり、フォトフレームのような新たな用途の開拓で、回線契約をふやす動きが進むと考えられます。

モバイルキャリア市場: 
 低年齢層の新規加入と高齢者層の保有率の増加、個人による複数台保有の増加、法人契約の増加、およびデータ通信契約の増加によって、携帯電話の契約回線数は、2010年度の1億1,700万回線から2015年度には1億3,400万回線に増加すると予測しています。

 携帯電話事業者の収入については、スマートフォンの普及に伴い、データ通信の利用が増加し、ARPU(1契約あたりの平均利用料)が回復基調に乗れば、V字回復が見込めます。音声ARPUが下げ止まり、データARPUが伸長するシナリオでは、2015年度の収入は8.5兆円まで拡大していくと予想しています。

ワイヤレス・ブロードバンド: 
 今後はWiMAXやHSPAなど、より高速なサービスの普及や、第3.9世代LTE(Long Term Evolution)のような新たな無線方式などの導入により、2010年度の2,400億円から、2015年度には4,200億円程度の市場へと成長することが期待されます。

モバイルコンテンツ: 
 2010年の約5,800億円から、2015年には約6,700億円に緩やかに拡大すると見られます。電子書籍市場やゲーム市場を筆頭に、「エンターテインメント系市場」は拡大するものの、「情報サービス系市場」の縮小もあり、長期的には市場成長は鈍化すると見られます。

企業向けモバイルサービス: 
 2010年度の3,800億円強から急拡大し、2015年度には約8,800億円の市場を形成すると見込まれます。スマートフォンやWi−Fi機能付き携帯電話の普及に伴い、モバイルセントレックスやグループウェアなど、ビジネス向けサービス市場の活性化が進むと考えられます。


【今後のハードウェア市場の拡大は中国など、日本、米国、西欧以外の地域】

 デジタルカメラの動画撮影機能、iPadやGoogle TVの登場など、複数の機能を高い水準で持つ汎用的な端末が登場しています。

 先進国の成長率の鈍化もあり、新興国市場の重要性は一層高まっています。一方、EMS(Electronics Manufacturing Service:製造受託サービス)などへの生産アウトソーシングの加速により、結果として、製品機能、性能が似たものを、同じ場所で生産するという状況になっています。現地メーカーに対して、価格競争力の面で劣位にあることが多い日系メーカーは、価格競争を回避するために、マーケティング(販路開拓、ブランド向上のためのプロモーションなど)施策への比重を高めています。

薄型テレビ(世界市場): 
 2010年の約1億7,000万台から、2015年には2億6,000万台に達する見通しです。金融危機の影響により、販売台数は一時的に落ち込みましたが、大規模市場(米国、中国など)における経済政策と地上波放送のデジタル化が、販売台数増加を牽引しています。今後、最も市場成長が期待されるのは、中国などの新興国です。また、3D(三次元映像)に関する取り組みも活発化しており、今後の普及が注目されます。

携帯電話端末(世界市場): 
 新興国において力強い需要の成長が見られます。2010年度の約12億4,500万台から、2015年度には16億1,000万台を超えると見られます。先進国、新興国を問わず、スマートフォンの普及が急速に進んでおり、日本でも、2015年度には需要台数の70%をスマートフォンが占めると予測しています。

デジタルカメラ(世界市場): 
 金融危機以降、需要は大きく減少したままとなっています。今後は、新興国での低価格機の普及が中心となっていくと予想されます。世界の出荷台数は2010年の約1億2500万台から2015年には1億5800万台に達する見通しです。

車載情報端末: 
 車両への搭載の手間が小さく安価なPND(ポータブル・ナビゲーション・デバイス)が成長しています。2010年度の出荷台数は110万台を越え、2015年度には138万台に達すると予測しています。車載情報端末全体では、2010年度の529万台から、2015年度の581万台へと緩やかな伸びにとどまります。今後は、テレマティクスサービスにおいて、スマートフォン等で提供されるサービスとの連携が成長の鍵となります。

ゲーム機: 
 次世代ゲーム機の本格的な発売は、2012年になり、それ以降、据置型ゲーム機の市場は盛り上がりを見せます。今後、ソーシャルゲームが新たな競合対象として、注目されます。2010年度の市場規模は約1兆円ですが、2015年度は1.3兆円程度になると予測します。

サービスロボット: 
 2010年度の70億円から、2015年度には182億円へ拡大すると推計されます。安全基準の策定など、サービスロボットを利用する環境を整えることが必要です。

電子書籍: 
 2010年に、日本国内でも市場が立ち上がった電子書籍の端末市場は、2015年までの累計販売台数が1400万台の規模になると予測しています。電子書籍向けのコンテンツも増加し、2015年のコンテンツ市場規模は2,400億円に達する見込みです。

 今回のIT市場予測は、2000年以降10回目に行うものです。市場分析や予測の詳細は、単行本「これから情報・通信市場で何が起こるのか 〜IT市場ナビゲーター 2011年版〜」として、東洋経済新報社より12月22日に発売される予定です。



【ご参考:各市場・分野の定義】
 ※ 関連資料参照

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