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昭和電工、チオール系硬化促進材料「カレンズMT PE1」の製造設備を川崎事業所に建設
塗料・コーティング、接着剤向け機能性モノマー事業の拡大強化
―川崎事業所に新設備建設、チオール系硬化促進材料「カレンズMT(R) PE1」の量産開始へ―
昭和電工株式会社(社長:高橋 恭平)は、このたび、塗料・コーティング、接着剤等に使用されるUV(紫外線)硬化性樹脂(注1)やエポキシ樹脂の硬化を促進させる材料「カレンズMT(R) PE1」の製造設備を川崎事業所に建設し、2011年央よりお客様への本格的な供給を開始いたします。
UV硬化性樹脂の硬化を促進するためには重合開始剤の添加を増やすなどの方法、エポキシ樹脂の硬化を促進するためには温度を上げるといった方法が採られます。多官能チオール(注2)「カレンズMT(R) PE1」を使用すると硬化性を格段に向上させることができるため、生産・加工で消費するエネルギーの低減が可能になるほか、接着性や伸びなど硬化物の性質を改善することができます。
「カレンズMT(R) PE1」の使用により、UV硬化性樹脂の場合には紫外線照射量や重合開始剤使用量の低減により硬化物の着色を抑制することが可能です。エポキシ樹脂においては従来のアミン系硬化剤(注3)だけを使用した場合と比較すると低温で硬化することや硬化速度を速めることが可能です。また、「カレンズMT(R) PE1」は、従来のチオール系硬化剤と比べて臭気が少ないという特長もあります。
当社は、これまでにエレクトロニクス分野向けにイソシアネートモノマー「カレンズMOI(R)」などの機能性モノマー「カレンズ(R)」シリーズを販売しております。「カレンズMT(R) PE1」がエレクトロニクス分野向けだけではなく、建設・船舶等の分野で需要の高まっている塗料・コーティング、接着剤向けエポキシ樹脂の硬化を促進する材料としても有望であることから、当社は今般、多官能チオール「カレンズMT(R) PE1」の生産を拡張し、機能性モノマー事業を拡大強化いたします。当社は2015年までに、これらのシリーズの総売上高を60億円まで引き上げる計画です。
以上
(注1)UV硬化性樹脂:紫外線の照射により物性が変化する光硬化性樹脂の一種。コーティング材料や、電子回路形成用のレジストなどに用いられる。
(注2)多官能チオール:分子内に水素化された硫黄基(−SH)を複数有する化合物
(注3)アミン系硬化剤:分子内にアミノ基(−NH2)を有するエポキシ樹脂硬化剤。エポキシ樹脂と室温で反応し硬化物を形成する。