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理化学研究所、沖縄科学技術大学院大学とヒューマン・ブレイン・プロジェクトに参加

2013-01-31

日本の研究機関がヒューマン・ブレイン・プロジェクトに参画


 この度、沖縄科学技術大学院大学(ジョナサン・ドーファン学長、以下OIST)と独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長、以下理研)が、欧州委員会により選定された未来および発展期にある技術(FET)プログラムの2大プロジェクトのひとつであるヒューマン・ブレイン・プロジェクト(HBP)に参加することが決定いたしました。本プロジェクトには、国際分野で活躍する科学者らが集結し、「人間の脳の働きを解明」するといった現代の科学において最も重要な課題に取り組みます。

 欧州及び各国の80を超える研究機関が共同で進めるヒューマン・ブレイン・プロジェクトは、今後10年(2013〜2023年)にわたり、およそ11億9千万ユーロ(約1200億円)の研究資金が支給される予定です。

 同プロジェクトの目的は、人間の脳に関するこれまでの研究成果を結集し、スーパーコンピューターを用いて、脳の詳細なモデルやシミュレーションをひとつひとつ再構築することです。このように組み立てられた脳のモデルは今後、人間の脳の働きや疾患の解明の手掛かりとなりうると同時に、計算科学やロボット工学の革新的な技術発展に寄与する可能性を秘めています。こうした将来性を見据え、欧州委員会は1月28日に、未来および発展期にある技術(FET)プログラムを通して資金援助を行う2大プロジェクトのひとつにヒューマン・ブレイン・プロジェクトを選定しました。

 OISTからは、エリック・デ・シュッター教授率いる研究チームが、重要なソフトウェア基盤を構築するブレイン・シミュレーションプラットホームの開発チームに参画します。OISTの研究チームは、特にニューロンにおける電気生理学的事象と生化学的反応の相互作用の空間シミュレーションを行うソフトウェアプログラミングにおいて力を発揮することが期待されています。

 デ・シュッター教授は、「OISTがこのような国際的なイニシアチブに参加することができ非常に嬉しく思います」と話し、「分子レベルにおける詳細なモデリングを全脳領域に渡る広範なモデリングにどう取り込むかが最大の課題となります」と抱負を語りました。

 理研からは、脳科学総合研究センターの藤井直敬チームリーダーが、ヒトに特有の認知機能、シンボル、言語、自己認識に関する脳機能について明らかにする研究グループに参加します。理研の研究チームは、ヒトのみが持っている言語に特有の構造とその脳内認知メカニズムに関して、言語を持たないサルを対象とした大規模脳内記録解析技術を用い、ヒトに繋がる言語獲得の進化基盤的認知機能を明らかにします。また、田中啓治チームリーダーとJustin Gardnerユニットリーダーは、大脳感覚野における感覚モダリティーを越えた統合のメカニズムを明らかにする研究グループに参加します。理研の研究チームは、物体視覚情報が外界に関す知識に変換される過程、また外界に関する予備知識が視覚知覚に影響する過程のメカニズムについて研究します。

 本プロジェクトは2013年後半に開始される予定で、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(Ecole Polytechnique Federale de Lausanne)のヘンリー・マークラム(Henry Markram)博士のもと、ハイデルベルク大学(ドイツ)のカールハインツ・マイヤー(Karlheinz Meier)博士、Clinique Hospitaliere Universitaire Vaudoise及びローザンヌ大学(University of Lausanne)のリチャード・フラッコウィアック(Richard Frackowiak)博士を共同ディレクターとして立ち上げられます。

 プロジェクトの詳細は、下記のリンクをご参照ください。
 http://www.humanbrainproject.eu/vision.html

 画像やビデオは、下記のリンク先をたどっていくとダウンロードできます。
 http://bit.ly/HBPmediabox


沖縄科学技術大学院大学について>
 沖縄科学技術大学院大学は、平成23年11月に設置された新しい大学院大学で、沖縄において世界最高水準の科学技術に関する教育研究を行い、沖縄の自立的発展と世界の科学技術の向上に寄与することを目的としています。現在までに、45の研究ユニット(研究員約300名)が発足し、神経科学、分子・細胞・発生生物学、数学・計算科学、環境・生態学、物理学・化学の5分野において、学際的な研究活動を展開しています。また、国際ワークショップやコースの開催など、学生や若手研究者の育成にも力を入れており、これらの取組は国際的にも認知されています。2012年9月には、5年一貫制の博士課程が開設し、18の国と地域から34名の第一期生が入学しました。

理化学研究所について>
 独立行政法人理化学研究所(理研)は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する試験及び研究等の業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めています。

<理研脳科学総合研究センターについて>
 1997年10月に設立。理研脳科学総合研究センターは、わが国の脳科学研究の中核拠点として国内外から優れた研究者を結集し、総合的な研究を展開している。設立以来、数多くの優れた研究成果と人材を輩出し、世界有数の脳科学の研究拠点として国際的な認知を得ている。学際的かつ融合的な研究体制を特徴とし、脳のミクロな分子機構にはじまり、神経細胞、神経回路、よりマクロな現象である認知や記憶と学習の仕組み、さらには言語の獲得、脳とコンピューターなど、個体、行動、社会までを対象として、理論と実験を交えながら、医学、生物学、物理学、工学、情報科学、数理科学、心理学など多彩な学問分野を背景にした研究を進めている。


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