富士経済、清涼飲料７分野４８品目の最新トレンドの分析結果を発表

清涼飲料　７分野４８品目の最新トレンドを分析し今後を展望


−２０１２年市場（見込）−
●エナジードリンク：前年比２．２倍、２６７億円　商品ラインナップの充実により定番化
●トクホ飲料：同１５．９％増、１，７６８億円　大型新商品の登場で市場の幅に広がり
●清涼飲料全体：同２．２％増、４兆９，６１３億円　ミネラルウォーター類を除く各分野で伸長


　総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済（東京都中央区日本橋小伝馬町　社長　阿部　界　０３−３６６４−５８１１）は、１２年９月から１１月にかけて国内の清涼飲料市場を調査し夏場の最需要期経過後の速報データを収集、変化の著しいこの市場のトレンドを分析した。その結果を報告書「清涼飲料市場の最新トレンドと将来展望　２０１２」にまとめた。
　この調査では、果実・野菜飲料（１００％果汁、野菜系など）、炭酸飲料（コーラフレーバー、透明炭酸など）、乳性飲料（飲用牛乳、ドリンクヨーグルトなど）、嗜好飲料（缶コーヒー、無糖茶系など）、ミネラルウォーター類、機能性飲料（健康サポート、スポーツドリンクなど）、その他飲料（豆乳類、ゼリーなど）の７分野１８カテゴリーを対象とした。加えて、「成長カテゴリー編」「カテゴリー横断分析編」「競合サービス市場分析編」では、従来とは異なる新たな視点から「エナジードリンク」「トクホ飲料」などの注目市場をピックアップしてまとめた。


＜注目市場＞
１．エナジードリンク

　２０１２年見込　　前年比　　　　　２０１３年予測　　前年比
　２６７億円 　　　　２１７．１％　　　３９２億円 　　　　１４６．８％

　エナジードリンクは、エネルギー補給を訴求し、カフェインやアルギニン等の成分を含有した炭酸飲料で、且つ１本当たり小売価格が２００円以上の商品を対象とする。
　エナジードリンクは「レッドブル　エナジードリンク」（レッドブル・ジャパン）がスポーツや遊びへのエネルギーチャージを訴求し、本格的に市場投入された２００６年以降、クラブなどのナイト業態での展開により認知度が上昇するにつれて市場を拡大し、１１年には１００億円を突破した。
　「レッドブル　エナジードリンク」の好調を受けて流通側もCVSを中心に、エナジードリンクの定番の棚を確保するようになった。また、１２年はコカ・コーラシステムから「バーン」、アサヒ飲料から「モンスターエナジー」が投入され、商品ラインナップの充実により市場は活性化している。若年層を中心とした消費者へのファッショナブルなイメージ戦略も功を奏し、１２年の市場は前年比２．２倍の２６７億円が見込まれ、１３年以降も拡大が予測される。


２．トクホ飲料

　２０１２年見込　　前年比　　　　　２０１３年予測　　前年比
　１，７６８億円　　１１５．９％　　　１，７８２億円　　　１００．８％

　トクホ飲料は、消費者庁の定める特定保健用食品の認可を受けている飲料商品を対象とする。
　市場はビフィズス菌や乳酸菌の効能を訴求した乳製品乳酸菌飲料が、トクホとして認定された当初より大きな規模を確保して推移し、その後トクホの無糖茶飲料発売と消費者への定着によって拡大した。しかし、トクホの話題性が落ち着きトライアル需要に陰りがみえたことや、東日本大震災後にはより必要性の高いミネラルウォーターなどに生産が集中したこともあり、１１年の市場は前年比４．４％減の１，５２５億円となった。
　１２年には、発売前から大きな話題を呼んだキリンビバレッジ「キリン　メッツコーラ」が市場に投入され、積極的な広告宣伝や営業展開によって量販店やCVSの売場獲得に成功した。既存のトクホ商品との価格差が消費者に受け入れられた側面も強い。また、伊藤園からは「スタイリースパークリング」が発売され、これらトクホ炭酸飲料が市場を牽引したことで１２年は前年比１５．９％増の１，７６８億円が見込まれる。


３．美容系飲料

　２０１２年見込　　前年比　　　　　２０１３年予測　　前年比
　３７３億円　　　　１０２．８％　　　　３７８億円　　　　１０１．３％

　美容系飲料は、美容効果が期待できる成分を含む、商品名やコンセプトで美容効果を訴求している、あるいは美容を連想させるキーワードを使用している商品を対象とする。コラーゲンやコエンザイムQ１０による美肌効果を謳った小容量の健康サポート飲料が中心となっている。
　ターゲットとなる女性層の美容意識の高さと、節約志向によるエステやサプリメント等の代替として、美容系飲料の需要は近年高まっており、新商品開発も活発に行われている。１２年の市場は前年比２．８％増の３７３億円が見込まれる。お金を掛けずに気軽に美容ニーズを満たせる商品として、消費者の節約志向に合致しているため、１３年以降も拡大が予測される。


４．ドリンクヨーグルト

　２０１２年見込　　前年比　　　　　２０１３年予測　　前年比
　８４０億円　　　　１１７．６％　　　９０５億円　　　　　１０７．７％

　ドリンクヨーグルトは、発酵乳規格の商品のうち、飲用タイプの商品を対象とする。
　１１年は、震災の影響で上位メーカーが生産体制に支障をきたすなどして前半は低迷したものの、後半は高まる需要を背景に大きく盛り返し、市場は最終的に前年比５．５％増の７１４億円となった。
　１２年は、１月に「明治ヨーグルト　R−１」（明治）のテレビ露出によりその直後爆発的な伸びを見せ、以降も乳酸菌の価値が再認識されたことを受けて好調な販売が続いており、市場は前年比１７．６％増の８４０億円が見込まれる。ヨーグルトの持つ健康性・機能性に加えてドリンクタイプの簡便性や飲みごたえが支持を集めており、今後も需要拡大が期待され、１３年には前年比７．７％増の９０５億円に成長すると予測される。


＜調査結果の概要＞

　※添付の関連資料を参照


　１１年は、３月の東日本大震災によって、資材・包材不足による生産制限などのトラブルにより、企業によって商品の安定供給の可否の差が顕著となった。１１年の全体市場は、前年比０．７％減の４兆８，５５０億円となり、１０年の前年比プラスから再びマイナスに転じた。
　１２年は、震災の影響により生産・物流拠点の再編を迫られながら、安定した状況へと回復に向かい、売場も通常の状態へと戻った。そうした状況の中、自社商品の配荷を高めるため、各社とも特売が恒常化し、売価の下落と各飲料カテゴリーの枠をこえた競合が激化している。１２年の全体市場は、１１年の落ち込みから回復し、前年比２．２％増の４兆９，６１３億円となる見込みである。
　１２年の市場において伸びが目立つのは炭酸飲料である。キリンビバレッジの「キリン　メッツコーラ」、サントリー食品インターナショナルの「オランジーナ」などの大ヒットにより、既存市場に上乗せが図られている。カテゴリーとしてもゼロ系・オフ系という訴求が薄れつつある中で、トクホ炭酸という新たな概念が浸透してきており、１２年の炭酸飲料市場は前年比８．５％増の５，１４２億円が見込まれ、１３年も引き続き成長が予測される。
　また、果実・野菜飲料も好調である。野菜飲料が消費者の健康志向の高まりが続く中で大容量タイプを中心に続伸遂げており、トマト飲料もマスコミが大々的に取り上げたことで需要が喚起され、急拡大している。１００％果汁飲料など品目によっては苦戦しているものの、１２年の果実・野菜飲料市場は前年比３．４％増の５，１０６億円となる見込である。
　一方、ミネラルウォーター類は苦戦しており、１１年の前年比２桁増から一転して、１２年は前年比３．７％減の２，９２９億円と見込まれる。国産ミネラルウォーター類は大容量商品が備蓄需要の高まりや度重なる地震予測・放射性物質等の問題から生活水としても安定した需要を獲得しているものの、輸入ミネラルウォーター類は、他の飲料カテゴリーとの競合が激化していることで需要の流出が止まらない状況が続いている。今後、競合するウォーターサーバー市場の拡大も予測され、ミネラルウォーターとしてのブランド力の浸透、維持が必要と考えられる。


＜調査対象＞７分野１８カテゴリー

　※添付の関連資料を参照


＜調査方法＞
　富士経済専門調査員による対象企業への直接面接取材を基本に、電話ヒアリングと文献調査により補完


＜調査期間＞
　２０１２年９月〜１１月


以上


　資料タイトル：「清涼飲料市場の最新トレンドと将来展望　２０１２」
　体裁：A４判　３２０頁
　価格：書籍版　１４０，０００円（税込み１４７，０００円）
　　　　　PDF／データ版　１５０，０００円（税込み１５７，５００円）
　　　　　書籍版・PDF／データ版セット　１６０，０００円（税込み１６８，０００円）
　調査・編集：富士経済　東京マーケティング本部　第一統括部　第一部
　　　　　　　　TEL：０３−３６６４−５８２１　FAX：０３−３６６１−９５１４
　発行所：株式会社　富士経済
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