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独バイエル、レゴラフェニブを消化管間質腫瘍に対する適応症で承認申請
バイエル薬品 レゴラフェニブを消化管間質腫瘍(GIST)に対する適応症で承認申請
本資料は12月21日にバイエル ヘルスケア社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はhttp://www.bayerhealthcare.comをご参照ください。
ドイツ・ベルリン、2012年12月21日―バイエル ヘルスケア社は本日、バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:セバスチャン・グート)が、経口マルチキナーゼ阻害剤レゴラフェニブに関し、切除不能又は転移性の消化管間質腫瘍(GIST:gastrointestinal stromal tumors)に対する適応症について厚生労働省に承認申請したと発表しました。レゴラフェニブは、大腸癌に対する適応症で同省へ承認申請しており、2012年8月末、優先審査に指定されています。
バイエル ヘルスケア社経営委員会メンバーでグローバル開発責任者のケマール・マリックは、次のように述べています。「日本において、レゴラフェニブの大腸癌に対する承認申請から間もない時期に行ったGISTの承認申請は、GIST患者さんの非常に大きな医学的ニーズに応えるための重要な一歩です」
GISTの承認申請は、日本の8施設を含む国際共同第III相臨床試験GRID(GIST−Regorafenib In Progressive Disease)から得られた良好な結果に基づき行われました。同試験では、イマチニブ及びスニチニブによる治療にて病勢進行が認められた切除不能又は転移性のGIST患者を対象に、レゴラフェニブとベスト・サポーティブ・ケア(BSC:best supportive care)の併用と、プラセボとBSCの併用とを比較検討しました。レゴラフェニブとBSCの併用は、プラセボとBSCの併用と比べ、無増悪生存期間を有意に延長しました。また、レゴラフェニブの全体的な安全性・忍容性プロファイルは、これまで実施された臨床試験結果と一貫していました。同試験から得られた結果は、同年6月に米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)年次学術集会で発表され、同年11月22日に医学誌 ランセット(The Lancet)オンライン版に掲載されました。
米国では、レゴラフェニブは同年9月、転移性大腸癌の適応症で製品名「Stivarga(R)」として米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から承認されました。GISTについては、同年8月に米国で承認申請を行い、10月に優先審査に指定されました。また、欧州連合(EU:European Union)でも、転移性大腸癌に対する承認申請を行っています。
【GRID試験について】
GRID試験は、レゴラフェニブをGISTの治療に関して評価した無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の第III相臨床試験です。本試験には、イマチニブ及びスニチニブによる治療にて病勢進行が認められたGIST患者さん199人が無作為割付されました。
患者さんは、有効性と安全性を評価する目的で、レゴラフェニブとBSCの併用群、または、プラセボとBSCの併用群に2対1の割合で無作為割付されました。治療は、BSCのもとで、レゴラフェニブ160mg(またはプラセボ)を1日1回3週間投与した後、1週間休薬するサイクルで行われました。主要評価項目は無増悪生存期間で、副次評価項目は全生存期間、無増悪期間、病勢コントロール率、奏効率、奏効期間でした。2群間での安全性と忍容性の比較も評価されました。
【消化管間質腫瘍(GIST)について】
GISTは、消化管壁から生じる、最もよくみられる肉腫です。GISTは、他臓器へ転移したり、根治的切除が不可能になったりした場合、生命にかかわる疾患となります。GISTの罹患率は、100万人当たり年間11人から20人と推計されています。米国では、年間約4,500人から6,000人が新たにGISTと診断され、うち約1,500人が、診断時点ですでに転移があると推定されています。日本では、切除不能又は再発を来したGIST患者数は年間1,000〜1,500人と推計されています。
GISTにおいて変異型KITが重要な役割を担っていることが発見され、KITの阻害療法が導入されたことにより、GISTの治療は急速に発展しました。GISTの70〜80%はKIT遺伝子変異を持つと報告されており、これらの変異がキナーゼの持続的な活性化を引き起こして腫瘍の増殖・進行に至るため、KITはGISTの治療において非常に重要な標的です。
【レゴラフェニブについて】
レゴラフェニブは、複数のプロテインキナーゼを阻害することにより、腫瘍形成、血管新生、腫瘍微小環境のシグナル伝達を標的とする経口マルチキナーゼ阻害剤です。非臨床試験では、レゴラフェニブは腫瘍血管新生(新しい血管の成長)の役割を果たす複数のVEGF受容体キナーゼを阻害することが明らかになりました。また、GISTの進行と再発に重要な役割を担うKIT、PDGFRを含むさまざまな腫瘍形成や腫瘍微小環境にかかわるキナーゼも阻害します。
レゴラフェニブは、バイエルが開発したバイエルの化合物で、米国ではバイエルとオニキス ファーマシューティカル社が共同販促を行います。2011年にバイエルがオニキス社と締結した契約に基づき、オニキス社はオンコロジー領域におけるレゴラフェニブの全世界売上高に応じたロイヤリティを受け取ります。
<バイエルのオンコロジー領域について>
バイエルは、革新的治療薬のポートフォリオを充実させることで、「よりよい暮らしのためのサイエンス」を実現できるよう取り組んでいます。バイエルのオンコロジーフランチャイズには現在、2種類の抗癌剤と、臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、さまざまな腫瘍タイプや病期にわたって癌治療を変革する可能性を秘めた新規の標的やシグナル伝達経路を優先するという、バイエルの研究に対する姿勢を示しています。
<バイエル ヘルスケア社について>
バイエルは、ヘルスケア、農業関連、先端素材の領域を中核事業とするグローバル企業です。バイエル社の一事業グループであるバイエル ヘルスケア社は、ドイツ・レバクーゼンを本拠とし、172億ユーロ(2011年)の売上高を持つヘルスケアと医薬品業界の革新的なリーディングカンパニーです。同社の世界的な事業活動は、動物用薬品、一般用医薬品、メディカルケア(画像診断関連製品、血糖自己測定器等)、医療用医薬品の分野に及びます。バイエル ヘルスケア社の目標は、人々と動物の健康を促進する製品を開発、製造、販売することです。バイエル ヘルスケア社は世界100カ国以上で55,700人(2011年12月31日現在)の従業員が働くグローバル企業です。
http://www.bayerhealthcare.com
同社のオンライン・プレスサービスはこちら(英語サイト)より:
http://press.healthcare.bayer.com/en/press/index.php
<将来予想に関する記述(Forward−Looking Statements)>
このニュースリリースには、バイエルグループもしくは各事業グループの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward−Looking Statements)が含まれています。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(http://www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。