イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

NTTコムウェア、複数のスマートデバイス利用者間で情報伝達・共有できる技術を開発

2012-12-21

近接通信Bluetooth(R)を使って、複数利用者間でのリング状ネットワーク構成技術を開発
〜災害時などの通信輻輳時でも、近くの不特定多数スマートフォン等同士で、情報伝達・共有を可能に〜


 エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:海野 忍、以下 NTTコムウェア)では、東日本大震災時に特に顕在化した携帯通信網の輻輳・途絶という問題点を解決するために、近接通信手段であるBluetooth(R)(*1)(以下 BT)を用いて、近くの人同士をPeer to Peer(*2)で接続するローカルネットワーク構成技術の研究開発に取り組んでいます。この技術は、その場にいる不特定多数のスマートフォン等利用者間での情報伝達を可能とするものです。


1.研究の背景
 NTTコムウェアでは、災害時などで通信網が機能しない状況を想定した通信手段の研究開発を行っています。多くの人が快適かつ簡易に「いつでも、 どこでも、誰とでも」コミュニケーションができる環境を実現するためには、次の3つの条件をクリアする必要があると考えます。

 [1]誰もが使える汎用的な無線通信方式で、[2]一定以上の通信距離と通信速度を確保でき、[3]ローカルな環境下においても多数の端末間を接 続させて安定した情報伝達が可能であること、です。
 [1][2]を解決するための汎用的な通信方式としては、スマートフォンなどに搭載されているBTやWi−Fi(*3)機能があります。Wi−Fiに ついては端末間を接続するためにアクセスポイント(以下、AP)が必要になりますが、BTはAPが機能していない場合でも、端末間をPeer to Peerで接続可能なことに着目して、研究開発を進めました。


2.技術の概要

(1)BTを利用した端末接続
 BTは、用途や機器によって実装すべき機能を「プロファイル」として個別に策定しています。代表的な例としては、ヘッドセット(イヤホンマイク) と携帯端末とを接続するためのHSP(Headset Profile)があります。現在あるほとんどのプロファイルは、このように利用用途を特定し、1対1接続が基本となっています。
 NTTコムウェアは、前項[3]をクリアするために、BT接続は1対1が基本であるところを1対多、さらには多対多で接続させることで、携帯通信 網に依存しない大規模ネットワークの形成が可能になると考えました。この新しい通信接続方式を実現させたことで、BTによって複数の端末間を状況に応じてリアルタイムで自動接続す ることが可能としました。
 現在は、この技術により構成するローカルネットワークの評価検証を行っています。(別紙 図1)

(2)接続方式の課題と解決
 NTTコムウェアが研究開発中の技術は、複数の端末をBTによってリング状につなげていくものです。複数端末をスター型に接続すると1端末当たり のBTの接続可能数の上限をすぐに超えてしまうという課題があります。リング状に接続することで1端末当たりの接続数を減らすことができ、1つのローカルネットワークにお ける接続可能数の大幅増が実現します。
 一方で、リング状にネットワークを構成すると端末数の増加に応じて1つのローカルネットワーク上での情報伝達時間が増加するという別の課題が発生 しますが、リング状のネットワークに参加している端末数を少数単位に分割(マルチクラスタ化)することで伝達速度の遅延を回避しました。
 その他にもリング状にすることでさまざまなメリットが得られます(別紙 図2)。このように自動で不特定多数の端末を接続することで、通信網が利用できない状況においても、効率的なバケツリレー方式でデータを送信していくことで遠方の端末とも情報の共有が可能となります。


3.適用例

 今回開発した技術を利用すると、帰宅困難者や避難者の集まりで端末同士が接近することをきっかけに、近接通信ネットワークの自動形成を可能としま す。このネットワークを用いて、その場にいる人同士の情報伝達や情報共有が可能となり、災害時に有効なコミュニケーション手段として機能します。
 また例えば、駅など公共施設に情報発信ポイントとしてBT機能を有する端末を設置することで、その付近の人々への情報提供が可能となります。さら に、これらの通信を行うと、接続した端末の「足あと」が残ることから、安否情報収集・確認にも役立つと考えます(別紙 図3)。


 ※別紙資料は添付の関連資料を参照


4.今後の取り組み

 BTによるローカルネットワークを実際に活用するには、ネットワークが大規模になった場合のクラスタ間の情報伝達経路管理や、ネットワークに参加していた端末が電源切れや移動した場合のネットワーク復旧に向けた高速制御技術等が必要になります。
 今後はこれらの課題を解決していくことで、「いつでも、どこでも、誰とでも手軽に情報伝達・共有」を可能とするローカルなコミュニケーション環境 の実現に取り組んでいきます。


【用語解説】
*1:デジタル機器用の近接通信規格の1つ。2.4GHz帯を利用して、主に10メートル程度の機器間通信を行うために使われる。

*2:ネットワーク上で対等な関係にある端末間を相互に直接接続し、データを送受信する通信方式。

*3:無線を利用して、ノートパソコンや小型ゲーム機、スマートフォンなどのモバイル機器をネットワークに接続する通信方式。Wi−Fi Alliance(米国に本拠を置く業界団体)によって認定された機器には、Wi−Fiロゴの使用が許可される。(http://www.wi-fi.org/

Bluetooth(R)はBluetooth SIG,Inc.の登録商標または商標です。
※Wi−Fiは、Wi−Fi Allianceの商標または登録商標です。

Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版