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矢野経済研究所、POD市場に関する調査結果を発表
POD(Print On Demand)市場に関する調査結果 2010
〜投資抑制下でも企業内印刷が堅調、2012年度以降は次世代製品投入で需要押し上げ〜
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて、POD(Print On Demand)市場に関する調査を実施した。
1.調査期間:2010年10月〜12月
2.調査対象:POD用途を想定した出力機器を製造・販売する企業14社
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに文献調査併用
<POD(Print On Demand)とは>
必要な時に必要な部数だけを印刷するという考え方であり、近年のデジタル印刷機の印刷品質の向上に伴い、拡大を続けている。
【調査結果サマリー】
◆微増ながらも成長するデジタル印刷機市場
2009年度のデジタル印刷機(商業用及びトランザクション用途の無版デジタル印刷機)の国内出荷台数は4,590台(前年度比103.4%)となった。出荷台数ベースで市場の大半を占めるMFP(Multi−Function Printer)メーカが、自社の得意分野である官公庁や大企業の集中コピー室やマニュアル印刷などの企業内印刷需要開拓に努めた結果である。
◆低価格機に流れるユーザ企業
ユーザ企業の厳しい投資環境は2010年度も継続しており、リプレイスや新規導入の際には価格を重視した選択をしている。その為、2010年度のデジタル印刷機市場は、低価格機が伸長し、国内出荷台数としては前年度比104.7%の4,805台となる見込みである。
◆価格競争からの脱却の糸口はIT化
2013年度の国内出荷台数は5,813台と予測する。また、2009年度から2013年度までの年平均成長率(CAGR)は6.1%と予測する。足元のビジネスが厳しい中でも、デジタル印刷機への投資(IT化)がユーザ企業の課題である価格競争からの脱却の糸口になると考える。
◆資料体裁
資料名:「POD 市場の実態と展望 2010」
発刊日:2010年12月10日
体裁:A4判 197頁
定価:136,500円(本体価格130,000円 消費税等6,500円)
◆株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2−46−2 代表取締役社長:水越 孝
設立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL:http://www.yano.co.jp/
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
【調査結果の概要】
1.2010年度〜2013年度のデジタル印刷機市場規模予測
「バリアブル(可変)」、「小ロット」、「短納期」といった特長を持つデジタル印刷機市場の、主たるユーザ企業は印刷企業である。これらユーザ企業の設備投資抑制はリーマンショック以降継続している。
しかし、2009年度の国内出荷台数は4,590台と前年度から3.4%増加した。これは、出荷台数ベースで市場の大半を占めるMFP(Multi−Function Printer)メーカ4社が、自社の得意分野である官公庁や大企業の集中コピー室(CRD:Centralized Reprographic Department)やマニュアル印刷などの企業内印刷需要開拓に努めた結果といえる。
そして、ユーザ企業の厳しい投資環境は2010年度も継続しており、リプレイスや新規導入の際には価格を重視した選択をしている。その為、2010年度のデジタル印刷機市場は、低価格機需要に支えられ、国内出荷台数としては前年度比104.7%の4,805台となる見込みである。
一部では景気が回復基調にあるという指標もあるが、デジタル印刷業界では予断を許さない状況が続いている。特に、2012年には世界最大規模の印刷関連展示会「drupa2012」が控えている為、次世代機の市場投入が見込まれる。よって、景気が回復したとしても、ユーザ企業の買い控えにより、2012年度上期までは5%前後の低成長に留まるものと考えられる。そういう意味では、デジタル印刷機ベンダにとっては、2011年度上期が勝負といえる。2012年度下期以降はそれまでよりも高い成長を予測しており、2013年度の国内出荷台数は5,813台と予測する。また、2009年度から2013年度までの年平均成長率(CAGR)は6.1%と予測する。
デジタル印刷専業として先駆けて事業を始めたユーザ企業では、1)出力するまでの工程の自動化・省力化・標準化といったノウハウの蓄積や2)付加価値の創造によって成果が現れ始めている。足元のビジネスが厳しい中でも、デジタル印刷機への投資(IT化)がユーザ企業の課題である価格競争からの脱却の糸口になると考える。
※図1は、添付の関連資料を参照