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NTT・NEC・富士通、400ギガビット級光伝送技術実用化に向けた共同研究開発に着手

2012-12-15

世界最高水準の400ギガビット級光伝送技術実用化に向けた共同研究開発に着手
省電力と柔軟性を兼ね備える光ネットワークの実現へ


 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下、NTT)、日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長:遠藤 信博、以下、NEC)、富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 正已、以下、富士通)の3社は、世界最高水準の1チャネルあたり毎秒400ギガビット級のデジタルコヒーレント光伝送技術(注1)の実用化に向けた共同研究開発を開始いたしました。世界中の光ネットワークへの普及が進んでいる、毎秒100ギガビット級の光伝送方式の商用化を実現した技術力を結集し、光伝送のキーとなるデジタルコヒーレント光伝送方式のさらなる高性能・高機能化を進めてまいります。これにより、超高速かつ低消費電力で柔軟性を兼ね備えた世界最高レベルの光ネットワークの実現を目指すとともに、光伝送技術向上と成果のグローバル展開にも貢献していきます。なお、本研究開発は総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発」を受託し進めてまいります。


1.背景
 近年のインターネットやスマートフォンの普及に伴うデータ通信量の爆発的増大に対応し、市場では現在、毎秒100ギガビット級の光伝送方式の実用化が始まっています。しかし、ビッグデータ社会の到来、そしてM2Mの普及拡大による、データの多様性の加速によって、お客様のスピードやサービスに対する期待は膨らみ続けています。近い将来取り扱うデータ量の増大は、予想をはるかに超えるだけでなく、ネットワーク上の通信量の変動は非常に大きくなり、それに耐えうる柔軟なネットワークの構築が求められます。

 この来たるべき課題に対応するため、光基幹ネットワークにはより一層の超高速化が求められますが、従来の光伝送技術では、超高速化に伴って必要となる光伝送性能の確保が困難となっている上に、伝送する情報量の増加に比例して通信機器の消費電力も大幅に増加してしまいます。大容量光伝送を低消費電力で実現するためには、新たな光伝送ソリューションが必要になります。

 また、柔軟なネットワークを構築するためには、必要とされるデータ量や伝送距離の変化に応じて、それらをリアルタイムに変更可能にすることが必要です。ひとつのコア技術を地域性によって異なるネットワーク構成に対応できるように、柔軟性の高いネットワークを構築することが求められます。

 これらのチャレンジに取り組むことで、さらに少ない消費電力による柔軟なネットワークを構築し、グリーンで快適な社会の実現に貢献出来ます。我々は今回、その核となる技術の実用化に向けた研究開発に着手いたします。


2.共同研究開発の取り組み
 NTT、NEC、富士通は、総務省からの委託研究「超高速光伝送システム技術の研究開発」(2009年度)、「超高速光エッジノード技術の研究開発」(2010年度〜2011年度)により毎秒100ギガビット級のデジタルコヒーレント光伝送方式の研究開発を行っており、2012年に商用化したデジタルコヒーレントDSP−LSI(注2)は世界のトップシェアとなっています。また、その開発成果は各社によってグローバルに展開され世界中の光ネットワークへの普及が進んでいます。

 この技術とチームワークを再度活用し、さらなる大容量光伝送と低消費電力を実現していくため、総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発」のもとに毎秒400ギガビット級の光伝送方式の実用化に向けて要素技術の研究開発を加速します。

 本共同研究では、毎秒100ギガビット伝送で採用している4値位相変調(注3)に加えて、さらに多値化を図った16値の直交振幅変調(注4)を採用し、毎秒400ギガビット級の超高速光伝送を実現します。これを60チャネル高密度多重することで、1本の光ファイバあたり毎秒24テラビット級の世界最大容量の光ネットワークを実現していきます。また、低消費電力化には装置数の削減につながる長距離伝送技術が必要となりますが、これまで多値変調信号の長距離化の主要制限要因であった、光ファイバ中の非線形光学効果(注5)についての補償技術を確立し、世界初の実用化を目指します。この成果とこれまでに確立した波長分散(注6)・偏波モード分散(注7)補償技術の高性能化と合わせ、長距離伝送を実現していきます。さらに、伝送路の状況に応じて、同一のハードウェアでさまざまな変調方式を実現する適応変復調(注8)技術の実用化を進め、柔軟なネットワークの構築を実現します。

 ※参考画像は添付の関連資料を参照


 本取り組みにより、2014年までに、以下のような次世代光ネットワーク技術の実現を目指していきます。

  1.1チャネルあたり毎秒400ギガビット級、ファイバあたり毎秒24テラビット級の超高速・大容量光伝送の実現
  2.性能劣化要因である光ファイバ伝送路の波長分散、偏波モード分散、非線形効果を補償する機能の実現とそれに伴う伝送距離の向上(従来の2倍以上)
  3.装置数の削減によるネットワーク消費電力の大幅な削減(従来の1/2以下)
  4.同一ハードウェアでの適応変復調による柔軟なネットワークの構築


3.今後の展開
 今後、2014年までの研究開発期間を通じ、上記の技術課題の克服に取り組み、毎秒400ギガビット級伝送と低消費電力化に関する技術確立、ならびに研究開発成果の早期実用化を行います。あわせて、国内外の機関との連携も行い成果のグローバル展開を目指していきます。


4.本ニュースリリースに関するコメント
 今回の取り組みについて、Dana Cooperson氏(Ovum社、ネットワークインフラストラクチャー、VP)は以下のように述べています。

 2012年は100G製品の需要と供給が合致し、ネットワークへ急激に展開される年となった。ネットワークへの接続要求の増加に伴い、さらなる広帯域特性をこれまでにない低消費電力と柔軟性(適応変調)を持って実現する400Gのソリューションが待ち望まれる。この需要の高まりに対して、NTT,NEC,富士通が行う共同研究開発は、業界のキープレイヤーが手を組むことにより可能性を追求し示す良い事例になるだろう。通信キャリア、企業、政府はもちろんのこと、このネットワークを発展させるであろうソリューションに注目しておくことを薦める。


以上


<注釈>
 注1 デジタルコヒーレント光伝送技術:
  コヒーレント受信とデジタル信号処理を組み合わせた次世代光伝送方式。偏波多重や位相変調などの変調方式により周波数利用効率を向上させるとともに、大幅な受信感度向上を実現する。

 注2 DSP−LSI:
  デジタル信号処理(Digital Signal Processing)用LSIの略。アナログデータをデジタルデータに変換し、各種信号処理を実行する。
  http://www.ntt-electronics.com/new/information/2012_02_29.html

 注3 位相変調:
  光の波の振動するタイミング(位相)に情報を乗せて通信する方式。

 注4 直交振幅変調:
  光の波の振幅と位相の両方に情報を乗せて通信する方式。

 注5 非線形光学効果:
  光の強さによって光ファイバの屈折率が変化する現象。

 注6 波長分散:
  波長ごとに光ファイバ中の伝送遅延時間が異なる現象。

 注7 偏波モード分散:
  偏波(電界の振動方向)によって光ファイバ中の伝送遅延時間が異なる現象。

 注8 適応変復調:
  光伝送路の特性に応じて、回線品質を適切な変復調方式に切替えることで、効率のよい光ネットワーク資源の運用を実現する技術。


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