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協和発酵キリン、PTCLなど対象にした「モガムリズマブ」の国内第2相臨床試験結果を発表

2012-12-15

末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を対象とした
モガムリズマブ(KW−0761)の国内第2相臨床試験の結果について


 協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:花井 陳雄、以下「協和発酵キリン」)は、2012年12月8日から11日まで米国ジョージア州アトランタで開催された第54回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)において、CCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(注1)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(注2)を対象としたモガムリズマブ(一般名、開発コード:KW−0761)の有効性、安全性および薬物動態を評価する国内後期第2相臨床試験の結果が発表されましたので、お知らせいたします。

 モガムリズマブは、PTCL細胞やCTCL細胞などの悪性T細胞に発現しているCCR4(注3)に対するヒト化モノクローナル抗体です。本剤は、当社独自の強活性抗体作製技術「POTELLIGENT(R)(ポテリジェント)」(注4)を応用した抗体で、ADCC活性(注5)による抗腫瘍効果を示します。

 演題(抄録番号795)は、化学療法奏効後の再発又は再燃のPTCLおよびCTCLを対象とした多施設共同第2相臨床試験の内容で、名古屋市立大学病院・血液内科の石田高司先生より口頭発表されました。本試験では37名にモガムリズマブが投与され、1.0mg/kgの用量で、1週間間隔で8回投与したときの有効性及び安全性が検討されました。モガムリズマブによる副作用としては、リンパ球数減少、白血球減少、好中球数減少、血小板数減少等の血液毒性に加え、発熱、皮膚障害(発疹等)、急性輸注反応(注6)等の非血液毒性が認められました。しかし、対処療法により適切に対応することで管理可能であることから忍容性ありと判断されました。有効性は、主要評価項目の奏効率が35%(95%CI;20 − 53%)であることから、CCR4陽性の再発又は再燃のPTCLおよびCTCLに対する有効性が確認されたと判断されました。

 モガムリズマブは、「ポテリジオ(R)点滴静注20mg」という製品名で、再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)(注7)の治療薬として、2012年5月29日から国内で販売しておりますが、適応疾患拡大の可能性を検証するため、複数の臨床試験を国内外で実施しています。

 協和発酵キリンは、革新的な医薬品の開発により、PTCLおよびCTCLをはじめとしたリンパ腫を含め、様々な疾患の治療およびQOLの向上に貢献してまいります。


<今回発表された国内後期第2相臨床試験の概要>

1.試験概要
 試験の目的:化学療法奏効後に再発又は再燃したCCR4陽性のPTCL及びCTCL患者さんにモガムリズマブ1.0 mg/kgを1週間間隔で8回静脈内投与したときの有効性、安全性および薬物動態を検討する。
 主要評価項目:有効性(奏効率等)、安全性および薬物動態

2.主な発表データ
 有効性:37名について有効性を判定した(内訳:PTCL 29名、CTCL8名)。
     全体の奏効率:35%(95%CI;20−53%)内訳:37名中完全寛解5名及び部分寛解8名
     PTCLの奏効率:34%(95%CI;18−54%)内訳:29名中10名寛解(完全寛解5名、部分寛解5名)
     CTCLの奏効率:38%(95%CI;9 − 76%)内訳:8名中3名寛解(部分寛解3名))

 安全性:37名について安全性を判定した。
      血液毒性:リンパ球数減少(30名)、白血球減少(16名)、血小板数減少(14名)、好中球数減少(14名)等
      非血液毒性:皮膚障害(発疹等)(19名)、発熱(11名)、急性輸注反応(注6)(9名)、ALTの上昇(8名)、ALPの上昇(8名)等



注1.末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)
 悪性リンパ腫の大部分を占める非ホジキンリンパ腫はB細胞起源の疾患とT/ナチュラルキラー(NK)細胞起源の疾患に大別されます。さらに、T/NK細胞起源の疾患は、主な病変部位から節性形、節外性型、皮膚型および白血病型の疾患に分類されます。末梢性T細胞リンパ腫は、節性型および節外性型のT/NK細胞起源の疾患の総称です。

注2.皮膚T細胞リンパ腫(CTCL:Cutaneous T−Cell Lymphoma)
 CTCLは、非ホジキンリンパ腫の1種で、T細胞リンパ腫としてはもっとも一般的な疾患の一つです。病変部位がCTCLは、菌状息肉腫(MF)やセザリー症候群(SS)などに分類できます。MFは、皮膚病変が患者によって異なり、紅斑,局面,皮膚腫瘤に分けられる。SSはMFが進行した病態で、血液中に悪性リンパ球の存在が認められます。

注3.CCR4(chemokine(C−C motif)receptor 4)
 CCR4は、白血球の遊走に関与するケモカインの受容体の一つです。CCR4は、正常組織中ではIL−4およびIL−5などのサイトカインを産生する(CD4陽性の)ヘルパー2型T細胞や制御性T細胞に発現することが知られています。また、ある種の血液がんにおいて高発現していることが知られています。

注4.POTELLIGENT(R)(ポテリジェント)
 当社が独自に確立した高ADCC活性抗体作製技術です。本技術を用いることで、抗体が保有する糖鎖の中のフコースを低下させた抗体を作製できます。本技術で作製した抗体は、従来の抗体に比べて、標的細胞を極めて効率的に殺傷し、高い抗腫瘍効果を示すことが非臨床試験で確認されています。

注5.ADCC(Antibody−Dependent Cellular Cytotoxicity(抗体依存性細胞傷害))
 ADCCは免疫応答の1種です。標的細胞にある抗原に抗体が結合すると、その抗体にエフェクター細胞(NK細胞など)が結合します。その後、エフェクター細胞によって抗原を持つ標的細胞が殺傷されます。

注6.急性輸注反応
 一般にモノクローナル抗体の点滴静製剤を使用する際に急性の副作用が起こる可能性があります。投与中または投与後速やかに発症が認められ、24時間以内に回復する副作用を急性輸注反応と総称します。悪寒、発熱など、軽度から中等度の症状および呼吸困難、気管支痙攣など、重度の症状があります。よって、場合によっては、予防、適切な管理および症状観察をする必要があります。

注7.成人T細胞白血病リンパ腫(ATL:Adult T−cell Leukemia−Lymphoma)
 レトロウイルスのHTLV−1が発症に関与している末梢性T細胞腫瘍であり、国内の年間発症例数は約1150と推定されています。一般的に、mLSG15療法などの多剤併用化学療法が施行されますが、移植以外に治癒が期待される治療法は確立されていません。現在、移植療法が積極的に検討されています。一方、再発・再燃例に対しては、悪性リンパ腫の治療法に準じた種々の化学療法が実施されていますが、有効な治療法は確立されていません。

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