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古河電工と産総研、高い導電率を有するポリマーフリーカーボンナノチューブ線の作製に成功

2012-12-11

湿式紡糸法により高い導電率を有するポリマーフリーカーボンナノチューブ線の作製に成功


 当社は独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)との共同研究にて、湿式紡糸法(注1)を用い、世界で最も高い導電率を有するポリマーフリーの高密度カーボンナノチューブ(以下、CNT)線を作製することに成功しました。

 当社は産総研との共同研究で、CNT分散液の作製条件と凝固液の種類の検討を行った結果、特定の条件下では、凝固液としてポリマーが含有していない有機溶剤を用いてもCNT線ができることを発見しました。このCNT線は絶縁体であるポリマー成分が含まれていないことより、凝固液としてポリマーを用いる従来の湿式紡糸法と比較し、約20倍以上の高い導電率を有しています。

 現時点では、通常の銅線に比べ低い導電率ですが、金属よりも高強度で軽量であるCNTの特性を活かしつつ、銅線と同等の導電特性を有する次世代電線の実現に向けて改良を重ねていきます。


<開発の背景>
 電線は社会インフラのなかで必要不可欠な製品です。自動車に搭載されるワイヤーハーネスにおいては、様々な部品の電動化により、使用量の増加とともにその重要度が増しているなか、近年の地球温暖化対策や低炭素社会への要請から、軽量化が大きな課題となっています。すでに電線の導体として、銅から、銅合金やアルミ合金化への代替の動きが始まっています。

 当社ではアルミ合金化への開発を主軸に積極的に推進しつつ、加えて金属ではなく、さらに高強度、軽量で導電性に優れた炭素材料であるCNTを電線化する検討を進めることで、将来の自動車スペースの有効利用と燃費向上の実現へ取り組んでいます。


<開発品の内容>

 本開発品は、適切なCNT分散条件と凝固液として有機溶剤を適用することにより、湿式紡糸法を用い、世界で最も高い導電率を有するポリマーフリーの高密度CNT線を作製することに成功しました。

 このCNT線は絶縁体であるポリマー成分が含まれていないことより、凝固液としてポリマーを用いる従来の湿式紡糸法と比較し、約20倍以上の高い導電率を有しています。現状のところ通常の銅線に比べ低い導電率ですが、金属よりも高強度で軽量であるCNTの特性を活かしつつ、銅線と同等の導電特性を有する次世代電線の実現に向けて改良を重ねていきます。

 ※参考画像は添付の関連資料を参照


<開発品のデータ>
 導電率:2800 S/cm(注2)(従来の湿式紡糸法では100 S/cm程度)
 長さ  :約80cm(当社オリジナルの引上げプロセスによる)


<備考>
 本内容は米国ボストンで開催された学会(2012 MRS Fall Meeting & Exhibit:11月25日〜30日)にて発表しました。


<補足>
(注1)湿式紡糸法:
 原料となるCNT分散液を凝固液(溶剤)中にてノズルより吐出し、固化しながら繊維化する方法です。

(注2)S/cm:
 S/cmとは、導体長さ1cm当りの電気伝導率を示します。数値が大きい程、電気の導電性が良いと言えます。尚、Sはジーメンスと呼び、電気抵抗の単位オーム(Ω)の逆数として定義されています。

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