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アステラス製薬、「HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ」を米国で追加適応申請
アステラス製薬 HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ(R)
米国での追加適応申請に関するお知らせ
アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、米国子会社であるアステラス ファーマ US,Inc.(本社:イリノイ州ノースブルック)とジェネンテック社(英名:Genentech)が米国で共同販促をするHER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ(R)(一般名:エルロチニブ)について、既承認の診断法で確認されたEGFR遺伝子変異を有する局所進行性又は転移性の非小細胞肺がんに対する一次治療の追加適応症について、米国食品医薬品局(FDA)に販売許可申請を提出しましたので、お知らせします。
今回の申請は、EGFR遺伝子変異を有する進行性の非小細胞肺がん患者を対象に実施した、タルセバとプラチナベースの化学療法の一次治療としての有用性を比較する無作為化比較国際共同第III相試験(EURTAC試験)の結果に基づいています。
ロシュ・モレキュラー・ダイアグノスティックス社によって開発された、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者を特定するためのコンパニオン診断薬(cobasR EGFR Mutation Test)は、現在、米国医療機器放射線保健センター(CDRH:Center for Devices and Radiological Health)において審査中です。欧米では肺がん患者の10人に1人(約10%)、アジアでは10人に3人(約30%)がEGFR遺伝子変異を有すると推定されています。
<EURTAC試験について>
・EURTAC(European Randomised Trial of Tarceva vs. Chemotherapy)試験は、スペイン肺がんグループ(SLCG:Spanish Lung Cancer Group)によって計画・出資され、スペイン、フランス、イタリアでロシュ社の協力のもと実施されました。
・2007年2月から2011年1月にかけて、174名の患者(主に白人)がタルセバ群又はプラチナベース化学療法群のいずれかに、無作為に割り付けられました。主要評価項目には、治験担当医師の評価による無増悪生存期間(progression−free survival、以下「PFS」)を設定しました。
・EURTAC試験の解析結果は、FDAへの申請資料として提出されており、その中に反映されたPFSイベント発生数としては133件でした。
・この133件のPFSイベント発生数を含む解析において、PFSの中央値は、タルセバ群で10.4ヶ月、プラチナベース化学療法群で5.1ヶ月であり、またタルセバ群は肺がんの病勢進行のリスクを66%減少させました(ハザード比0.34、p<0.0001)。
・EURTAC試験におけるタルセバ群の安全性プロファイルは、非小細胞肺がん患者に対しこれまでに行われたタルセバの臨床試験結果と同様であることが確認されました。
・最も頻繁にみられた有害事象(発現率10%以上)は、タルセバ群で下痢、無力症、発疹、咳、呼吸困難、プラチナベース化学療法群で無力症、貧血、悪心、好中球減少症、咳でした。治験薬投与と関連があるとされた死亡は、タルセバ群で2例、プラチナベース化学療法群で2例でした。
以 上
<肺がんにおけるEGFRについて>
EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)は、細胞膜に存在するタンパク質です。上皮増殖因子(EGF)は、細胞の外側にあるEGFRの一部に結合します。因子の結合によってEGFRが活性化され、それが細胞内の複雑なシグナル伝達経路の引き金となり、細胞増殖や分裂の加速および転移などを引き起こします。一部の非小細胞肺がんでは、EGFRに遺伝子の変異があり、その変異はEGFRの活性が高まるようにEGFRの構造を変化させます。