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帝国データバンク、11月の全国企業倒産集計を発表

2010-12-14

2010年11月報


倒産件数は935件、15ヵ月連続の前年同月比減少
負債総額は2739億2300万円、3ヵ月ぶりの前年同月比減少


倒産件数   935件
前月比    2.6%減
前月      960件
前年同月比  6.5%減
前年同月   1000件

負債総額   2739億2300万円
前月比     45.4%減
前月      5019億5700万円
前年同月比 60.4%減
前年同月   6908億5500万円


<件数・負債総額の推移>
 ※グラフ資料は、添付の関連資料を参照


■件数
 ・ポイント 15ヵ月連続の前年同月比減少
  倒産件数は935件(前月960件、前年同月1000件)にとどまり、前月比は2.6%、前年同月比も6.5%の減少となった。15ヵ月連続で前年同月を下回り、2010年7月(918件)以降、5ヵ月連続で900件台となった。

 ・要因・背景
  1.家電エコポイントの駆け込み需要などもあり、製造業(137件、前年同月比▲22.6%)、小売業(149件、同▲13.4%)で減少目立つ
  2.地域別では中国(24件、前年同月比▲44.2%)、四国(18件、同▲33.3%)で大幅減少

■負債総額
 ・ポイント 3ヵ月ぶりの前年同月比減少
  負債総額は2739億2300万円(前月5019億5700万円、前年同月6908億5500万円)で、前月比は45.4%、前年同月比も60.4%の大幅減少となった。3ヵ月ぶりに前年同月を下回り、平均負債額も2億9300万円と3億円を下回る低水準となった。

 ・要因・背景
  1.負債額トップは、不動産賃貸の木村産業(株)(大阪府)で350億円にとどまる
  2.負債1000億円以上の大型倒産は3ヵ月ぶりに発生せず、(株)ロプロや(株)穴吹工務店などの大型倒産が発生した前年同月の負債総額から大幅に減少

■業種別
 ・ポイント 建設、運輸・通信を除く5業種で前年同月比減少
  業種別に見ると、7業種中5業種で前年同月を下回った。なかでも、製造業(137件、前年同月比▲22.6%)は11ヵ月連続で前年同月を下回り、40件の大幅減少。小売業(149件、同▲13.4%)、不動産業(28件、同▲17.6%)も前年同月比減少率が2ケタとなった。一方、建設業(256件、同+7.1%)、運輸・通信業(39件、同+11.4%)は前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1.製造業…電気機械器具製造(15件、前年同月比▲21.1%)などで減少目立つ
  2.小売業…家具・じゅう器・家庭用機械器具小売(5件、前年同月比▲64.3%)が大幅減
  3.建設業…土木工事(46件、前年同月比+21.1%)などで増加目立つ

■主因別
 ・ポイント 「不況型倒産」の構成比84.1%、18ヵ月連続で80%台の高水準
  主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は786件(前月798件、前年同月846件)となった。構成比は84.1%(前月83.1%、前年同月84.6%)で前年同月比は0.5ポイント下回ったものの、前月比は1.0ポイントの増加となり、2009年6月の81.2%以降、18ヵ月連続で80%台の高水準となった。

 ・要因・背景
  1.「円高関連倒産」が6件発生、2010年1〜11月累計は46件、うちデリバティブ関連16件
  2.建設業の「不況型倒産」は240件、構成比93.8%で2010年5月(94.9%)に次ぐ高水準

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別
 ・ポイント 負債5000万円未満、4ヵ月連続の前年同月比増加
  負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産(457件)は、前月を12.1%下回ったものの、前年同月を0.9%上回り、4ヵ月連続の前年同月比増加となった。構成比は48.9%(前月54.2%、前年同月45.3%)で、前月比は5.3ポイントの減少となったが、前年同月比は3.6ポイントの増加。資本金別に見ると、個人経営と資本金1000万円未満が465件発生、構成比は49.7%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業を見ると、中小企業は934件で全体の99.9%、小規模企業も800件で同85.6%を占め、小規模倒産は高水準で推移した。

 ・要因・背景
  1.建設業の負債5000万円未満(132件)、構成比は51.6%で前年同月比9.3ポイント増
  2.内需低迷による本業不振続き、小規模企業の資金繰りを圧迫

■地域別
 ・ポイント 9地域中6地域で前年同月下回る
  地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を下回った。なかでも北陸(30件、前年同月比▲28.6%)、中部(105件、同▲28.1%)、中国(24件、同▲44.2%)、四国(18件、同▲33.3%)の減少が目立つ。一方、近畿(268件、同+10.3%)が1年3ヵ月ぶりに前年同月を上回ったほか、北海道(33件、同+3.1%)、東北(45件、同+7.1%)も増加に転じた。

 ・要因・背景
  1.中部は、一般機械器具製造(1件、前年同月比▲88.9%)が大幅減少
  2.近畿は、製造、小売を中心に兵庫県(67件、前年同月比+42.6%)の増加が目立つ

■上場企業倒産
 11月は、4ヵ月ぶりに上場企業の倒産は発生しなかった。

 2010年に入ってからの累計は9件にとどまっており、前年同期の20件を大きく下回っている。国内景気はリーマン・ショック後の最悪期を脱したうえ、私的整理手法の広がりもあり、上場企業の倒産は沈静化が続いていた。しかし、8月から10月まで3ヵ月連続で発生するなど、ここにきてやや変化の兆しが見られる。

■大型倒産
 負債額トップは、旧・住専の大口融資先で不動産賃貸の木村産業(株)(大阪府、特別清算)で350億円。三明(株)(兵庫県、民事再生法、負債145億円)、水戸レイクスカントリークラブ(株)(茨城県、民事再生法、同110億円)のゴルフ場経営2社が続いた。

 負債100億円以上の倒産は3件(前年同月4件)と、19ヵ月連続で1ケタにとどまった。しかし、9月、10月と2ヵ月連続で負債1000億円以上の倒産が発生するなど、本業不振が長期化するなか、大型倒産の沈静化の流れにもやや変化の兆しが見られる。

景気動向指数(景気DI)
 ・景気DIは32.3、前月比0.8ポイント増、4ヵ月ぶりに改善
  2010年11月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.8ポイント増の32.3となり、4ヵ月ぶりに改善した。

  業界別では「製造」(34.4)が前月比1.0ポイント増と改善した。中国やインドなどのアジアを中心に外需が堅調で、米国による大規模な追加金融緩和策の実施や緊迫する朝鮮半島情勢など地政学リスクの顕在化も影響して、円高傾向が一服(1ドル=84円台)し、輸出企業の収益性はこれまでの厳しさがひとまず和らいだ。また、「小売」(30.7)も同1.1ポイント増と改善し、特に家電エコポイントの駆け込み需要で「家電・情報機器小売」(36.4)が大幅増となって今回の景気回復局面での最高を更新。季節商材も比較的好調で「飲食料品小売」(32.5)や「繊維・繊維製品・服飾品小売」(30.9)なども改善した。

 ・国内景気は踊り場局面に踏みとどまっているが、依然として回復力は弱い
  しかし、エコカー補助金の終了による影響で「輸送用機械・器具製造」(34.6)が4ヵ月連続で悪化し、「自動車・同部品小売」(22.4)は全51業種中で2ヵ月連続の最低となった。また、家計の消費マインドの停滞やタバコの値上げによる来店客数の減少などで「各種商品小売」(30.5)も3ヵ月連続で悪化するなど、内需の低迷が目立つ。

  国内景気は踊り場局面に踏みとどまっているが、外需や為替動向などに支えられて急落を回避したに過ぎず、依然として回復力は弱い。



<今後の見通し>

 ■倒産件数935件、15ヵ月連続の前年同月比減少
  2010年11月の倒産件数は前年同月比6.5%減の935件となり、15ヵ月連続して前年同月を下回った。負債総額も2739億2300万円と、前年同月比60.4%の大幅減少となった。前年同月と異なり負債1000億円以上の大型倒産が発生しなかったうえ、11月の負債額トップが木村産業(大阪府、不動産業)の350億円にとどまったことなどが影響した。件数、負債ともに減少基調が続いているのは、金融円滑化法と緊急保証という二段構えの金融支援策に加え、堅調な外需、円高進行の一服、景気刺激策による下支えが倒産抑制に働いたものとみられる。

 ■家電エコポイントの駆け込み需要もあり、製造業、小売業の減少目立つ
  業種別では、製造業(137件、前年同月比▲22.6%)、小売業(149件、同▲13.4%)の減少ぶりが目立つ。家電エコポイントの駆け込み需要もあり、製造業では「電気機械器具製造」(前年同月比▲21.1%)、小売業では「家具・じゅう器・家庭用機械器具小売」(同▲64.3%)が大きく減少。季節商材の好調を受け、飲食料品、繊維製品・衣服関連も減少した。地域別では、9地域中6地域が前年同月を下回った。なかでも北陸、中部、中国、四国の4地域の減少率は20%を超えた。このほか、上場企業倒産も4ヵ月ぶりに発生しなかった。

 ■政策支援終了後の関連業界への影響を懸念
  内閣府が11月15日に発表した2010年7〜9月期の実質GDP(速報値)の成長率は、前期比0.9%増(年率3.9%増)となった。エコカー補助金終了やたばこ増税などにともなう駆け込み需要で個人消費が伸びた。日経平均株価も11月18日、約5ヵ月ぶりに1万円台を回復。10月の全国百貨店売上高(既存店ベース)も5121億円と前年同月比0.6%増となり、2008年2月以来2年8ヵ月ぶりに増加に転じた。これら明るい材料は散見されるものの、国内景気の先行き不透明感は根強い。なぜなら足元の消費を押し上げている主な要因が、各種の駆け込み需要にともなう一時的なもので、その後の反動が予想されるためだ。9月のエコカー補助金終了後、新車販売が急減した自動車業界が最たる例だ。11月の新車販売台数(軽自動車含む)は前年同月を25.9%下回り、3ヵ月連続の減少。11月の「自動車小売」の倒産は2ヵ月ぶりに増加に転じるなど(12件、前年同月比+20.0%)、関連業界への影響拡大が懸念される。

 ■政策支援というカンフル剤切れれば、倒産急増の可能性高まる
  各種政策効果で倒産件数は依然、小康状態が続いている。しかし11月の前年同月比減少率は6.5%と、減少幅は10月の10.3%から再び縮小。935件という件数も水準としては低いものではない。倒産全体の約3割を占める建設業が2ヵ月ぶりに増加し、「不況型倒産」の構成比も84.1%と18ヵ月連続で80%台の高水準を維持しており、政策支援というカンフル剤が切れれば、倒産が急増する可能性は高まっている。こうしたなか、12月に約半減された家電エコポイント、緊急保証制度ともに2011年3月に終了する。倒産抑制効果が大きい金融円滑化法は2012年3月まで延長される見通しとなったが、同法に基づき返済猶予を求めた多くの企業にとっては、これからが正念場となる。『実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(実抜計画)』の提出が求められるうえ、既に提出した企業にとってはその達成度が問われてくるからだ。仮に計画と実績との乖離が大きければ、従来の金融機関の支援姿勢が硬化する可能性も高く、制度延長にともない問題を先送りすればするほど、倒産増加時の反動がそれだけ大きくなる。本来であれば資金需要の高まりから倒産増が懸念される年末だが、円滑化法による下支えもあり12月も小康状態が予想される。しかし、円高、雇用悪化、デフレ、対中関係の悪化など企業を取り巻く環境は厳しく、その後は倒産が増加に転じる可能性も依然否定できない。



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