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タカラバイオ、院内感染病原体検出用の研究用試薬を利用した研究受託サービスを開始
パソジェニカ社の院内感染病原体検出用の研究用試薬を利用した
研究受託サービスを日本で開始
タカラバイオ株式会社と、パソジェニカ社(米国マサチューセッツ州)は、パソジェニカ社の院内感染病原体を次世代シーケンス技術にて迅速かつ網羅的に検出する研究用試薬HAI BioDetection Kitに関する販売契約を締結しました。当社は、日本において、本試薬の販売及び本試薬を用いた受託サービスを本日より開始します。
本試薬では、次世代シーケンサーを活用し、院内感染に関わる12種類の病原体(大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、糞便連鎖球菌など)、700種以上の細菌系統及び18種類の抗生物質耐性遺伝子の検出が一度の解析で可能となります。遺伝子増幅法であるPCR法等の従来の遺伝子検出法では一般的に病原体毎の分析が必要であるのに対し、わずか12時間で病原種、系統、サンプル中の存在量等の解析結果が得られます。複数の病原細菌が混在するサンプルでも、高感度で識別が可能です。これらの解析結果は、感染経路の特定、多種複合型感染の検出、感染制御管理などの研究に有用です。
当社のドラゴンジェノミクスセンター(三重県四日市市)では、各種次世代シーケンサーを用いた塩基配列解析サービスを提供しており、ヒトゲノムをはじめとするさまざまな生物を対象にゲノム解析の受託サービスを展開しています。この度、本試薬を用いた受託サービスを開始し、これまでの基礎的研究分野に加え、臨床的研究分野にも当社のゲノム解析受託サービスを提供していくことで、ゲノム解析受託サービスの領域拡大を目指します。
◆当資料取り扱い上の注意点
資料中の当社の現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決等がありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。
※製品概要は添付の関連資料を参照
<参考資料>
【パソジェニカ社の概要】
会社名:Pathogenica,Inc.
設立:2009年
代表者:Yemi Adesokan,CEO
住所:2nd Floor,27 Drydock Avenue,Boston MA 02210 USA
事業概要:次世代シーケンサー技術を用いた病原体迅速検出用試薬の開発・製造・販売
ホームページ:http://www.pathogenica.com/
【語句説明】
・院内感染病原体
病院や医療機関では、病原体が集まりやすい、薬剤耐性菌が多く生息する、患者の抵抗力が弱い、などの理由で病原体に感染しやすい環境にあります。これらの感染の原因となる薬剤耐性の病原体や日和見感染による病原体のことを指します。薬剤耐性菌には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)などがあります。
・次世代シーケンス
従来のサンガー法を基にしたシーケンサーとは異なる原理に基づいた塩基配列解析装置で、数百万から数億個の塩基配列データを並列に大量取得することができます。次世代シーケンサーとしては、イルミナ社のHiSeqシステムやMiSeqシステム、ロシュ社のGS FLX、ライフテクノロジーズ社のIon PGMなどが発売されています。当社は、各社次世代シーケンサーを取りそろえ、高速シーケンス解析の受託サービスを提供しています。
・細菌系統
細菌は単独の個体を区別することはできず、研究分野や医学的に重要な個体群を分離同定し、保管されています。それらを細菌系統(strain)と呼びます。
・多種複合型感染
複数種の細菌等が感染している状態のことです。
・感染制御管理
医療施設内での感染流行の予防・防止を目的とし、感染対策、感染予防の観点から行っている管理活動のことをいいます。