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メルシャン、ブドウ収穫の時間帯の違いがブドウ中の香り成分の前駆体濃度に影響など解明

2012-11-20

〜「ASEV 日本ブドウ・ワイン学会 2012年大会」にて発表〜
ブドウ収穫の時間帯の違いが、ブドウ中の香り成分の前駆体濃度に影響を及ぼすことを解明


 メルシャン株式会社(本社:東京、社長:鈴木 徹)は、ブドウを収穫する時間帯によりブドウ中の香り成分の前駆体の濃度が変動することを世界で初めて解明し、この研究成果「ブドウ収穫タイミングの違いが前駆体3MH(3mercaptohexan−1−ol precursors)濃度へ与える影響」を11月17日(土)に開催される「ASEV 日本ブドウ・ワイン学会 2012年大会」にて発表します。


▼研究の背景
 ワインの品質は「ブドウありき」と言われるように、原料となるブドウの品質の影響が大きいと言われています。また、いくつかのブドウ成分は、栽培環境や生育過程でその含有量に違いがあることが知られており、多くのワイナリーでは収穫のタイミングに細心の注意を払っています。
 近年、ブドウ栽培にとって比較的温暖な地域では、収穫したブドウが熱くなり品質が低下することを防ぐため、ブドウを冷たい状態で収穫する「夜収穫(ナイトハーベスト)」を行うワイナリーが増加しています。そこで当社は、この影響を科学的に明らかにすべく、ワインの香りの中でも柑橘系アロマとして知られている3MH(3メルカプトヘキサノール)の前駆体の含有量を一例として、植物生理の観点から日周性の影響を検討しました。

▼研究内容
 山梨県甲州市勝沼町のブドウ畑にて、「シャルドネ」、「ソーヴィニヨン・ブラン」、「リースリング」の果粒を1日の中で数時間おきにサンプリングし、前駆体3MHの含有量を比較しました。また、早朝収穫と日中収穫のブドウを用いて実際に醸造試験を行いました。

▼研究結果
 研究の結果、ブドウ中の前駆体3MHの含有量は、深夜から早朝にかけて増加し、日中減少する傾向が認められました。また、前駆体3MHの構成成分であるグルタチオンの量は、前駆体3MHの生成量に対応して増減していました。実際に、これらのブドウを使ってワインを醸造した場合においても、早朝に収穫したブドウから造ったワインの方が、日中に収穫したブドウから造ったワインと比較してより多くの3MHを含んでいることが分かりました。
 これらの結果により、前駆体3MHを一例として「夜収穫(ナイトハーベスト)」という収穫方法の科学的有意性について世界で初めて明らかとすることができました。
 またこれまでの研究から、ブドウ中の前駆体3MHの含有量は環境ストレスモデルにより変動することも分かっており、これらの知見は、産地ごとの特徴(いわゆるテロワール)の存在理由を科学的根拠を持って解明できる可能性を有しています。


 当社は、今後もブドウの持つポテンシャルを最大限に引き出したブドウ栽培およびワイン醸造のための様々な研究を続け、ワイン市場の発展に貢献していきます。


【発表の概要】
 ◆発表演題名:ブドウ収穫タイミングの違いが前駆体3MH(3mercaptohexan−1−ol precursors)濃度へ与える影響
 ◆学会名:ASEV 日本ブドウ・ワイン学会 2012年大会
 ◆発表日:2012年11月17日(土)
 ◆発表場所:レンブラントホテル大分(〒870−0816 大分県大分市田室町9番20号)
 ◆発表者:小林 弘憲(1)、松山 周平(1)、高瀬 秀樹(2)、佐々木 佳菜子(2)、高田 良二(2)、鈴木 俊二(3)、齋藤 浩(1)
       (1メルシャン株式会社 シャトー・メルシャン、2メルシャン株式会社 商品開発研究所、3山梨大学 ワイン科学研究センター)


以上

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