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東京商工リサーチ、銀行の「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出金残高調査結果を発表

2012-10-12

[特別記事]
銀行114行(2012年3月期連結決算ベース)
「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出金残高調査
〜貸出金残高が約3割増震災以降に増加〜



 銀行114行の2012年3月期連結決算ベースの電力会社などを含む「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出が、全体の7割の銀行で前年同期より貸出金残高を増やした。増加額は1兆4,500億円にのぼった。東日本大震災による原発事故を契機に電力会社が社債発行が難しくなり、資金調達が銀行借入にシフトしたことを浮き彫りにした。

※本調査は、銀行114行を対象に2012年3月期連結決算ベースの「電気・ガス・熱供給・水道業」向け国内貸出金残高を抽出し、前年同期と比較した。なお、三菱UFJ、旧住友、旧中央三井、みずほの信託銀行4行、りそな、沖縄銀行は信託勘定を含む。三井住友銀行関西アーバン銀行は、業種別の項目が「運輸、情報通信、公益事業」のため集計に含まれていない。傘下の銀行が連結子会社となっている場合、および単体データのみ公表の銀行は、単独決算の業種別貸出状況を比較した。


<「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出金残高前年同期比29.5%増>
 銀行114行の2012年3月期連結決算ベースの「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出金残高は、6兆3,783億5,700万円(前年同期比1兆4,531億5,700万円増、29.5%増)だった。約7割の80行(構成比70.1%、前年同期57行)で前年同期の貸出金残高を上回った。


<「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出金震災発生後に増加>
 「電気・ガス・熱供給・水道業」のうち、電気業には一般の需要に応じ電気を供給する事業所、またはその事業所に電気を供給する事業所として電力会社が含まれる。
 銀行114行の「電気・ガス・熱供給・水道業」向けの貸出金残高は、2009年3月期が3兆5,725億6,200万円、2010年3月期には3兆6,324億3,000万円(前年同期比1.6%増)だったが、東日本大震災害が発生した2011年3月期には4兆9,252億円(同35.5%増)と急増し、2012年3月期には6兆円台に上昇した。


<貸出金残高1,000億円以上が7行>
 2012年3月期連結決算ベースの「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出金残高のトップは、みずほコーポレート銀行の1兆6,552億7,200万円だった。次いで、三菱東京UFJ銀行(単体)9,943億1,200万円、旧:住友信託銀行4,315億7,400万円、三菱UFJ信託銀行4,292億6,200万円、旧:中央三井信託銀行3,041億7,900万円の順。貸出金残高1,000億円以上は7行(前年同期6行)。


※グラフ資料は、添付の関連資料を参照


<増加額100億円以上前年同期9行から25行に増加>
 前年同期より貸出金残高が増加した80行のうち、増加額トップは、みずほコーポレート銀行の4,508億3,400万円増だった。次いで、三菱東京UFJ銀行(単体)3,119億5,400万円増、旧:住友信託銀行676億4,800万円増と続く。増加額100億円以上は25行(前年同期9行)で、前年同期から16行が増加した。
 一方、前年同期より貸出金残高が減少したのは、みずほ銀行の83億5,200万円減、常陽銀行の83億3,400万円減、琉球銀行の59億7,300万円減、山梨中央銀行の43億2,700万円減など28行(前年同期51行)と、ほぼ半減した。このほかに未計上が6行だった。


<貸出比率前年同期比0.4ポイント上昇>
 銀行114行の2012年3月期連結決算ベースの「電気・ガス・熱供給・水道業」向け平均貸出比率は1.7%(前年同期1.3%)で、前年同期より0.4ポイント上昇した。
 個別の貸出比率は、みずほコーポレート銀行8.6%(前年同期6.3%)を筆頭に、みずほ信託行4.6%(同2.9%)、三菱UFJ信託銀行4.3%(同3.7%)と大手銀行が上位を占めた。
 次いで、山口銀行(単体)3.9%(同2.3%)、旧:住友信託銀行3.9%(同3.4%)、旧:中央三井信託銀行3.6%(同2.9%)、宮崎銀行2.5%(同1.9%)だった。


<地区別貸出残高10地区のうち9地区で前年同期を上回る>
 本店所在地による地区別では、全国10地区のうち9地区で貸出金残高が前年同期を上回った。
 増加額は、東京12行の8,958億9,900万円増を筆頭に、近畿11行が1,369億4,700万円増、九州20行が1,167億600万円増、中部14行が1,002億1,500万円増、東北15行が759億8,700万円増、中国9行が734億8,100万円増、北陸6行が540億400万円増、四国8行が83億8,700万円増、北海道2行が71億9,200万円増の順だった。これに対し、関東17行(東京を除く)は156億6,100万円減少となった。
 増減率では、北陸61.2%増、九州43.8%増、中部40.6%増、東北34.0%増、東京31.9%増、中国29.1%増、近畿28.4%増、北海道6.3%増、四国5.7%増、関東(東京を除く)5.0%減だった。
 地元の電力会社の資金需要を地元の地域銀行を中心に対応した姿が透けて見える。


 日銀発表の8月の全国の銀行貸出は、10カ月連続で前年同月を上回った。増加要因の一つには、電力会社向け貸出の増加があげられている。これまで電力会社の資金調達は、信用力を生かした社債が中心だった。しかし、震災による原発事故後は信用低下から社債発行が困難となり、電力各社は代替火力燃料費などを内部留保の取り崩しや借入金などで賄ってきた。
 電力会社の資金調達の社債から銀行貸出へのシフトは、「電気・ガス・熱供給・水道業」向け貸出金の増加に反映された。しかし、借入金は金利負担を伴い、ここにきて電力会社は社債発行を再開している。今後、企業の設備投資などの資金需要が伸び悩むなか、電力会社の起債が回復すると銀行貸出は下支えを失う可能性も残している。


※グラフ資料は、添付の関連資料を参照

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