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東京商工リサーチ、旅行業界「海外旅行」動向アンケート調査結果を発表

2012-10-11

[特別企画]

旅行業界「海外旅行」動向
アンケート調査
〜中国・韓国問題旅行会社の約8割で予約キャンセル〜



 東日本大震災から1年半。日本政府観光局(JNTO)によると、円高の恩恵もあり海外旅行に出かけた人の数は2011年7月以降、14カ月連続で前年同月を上回った。だが、最近の中国、韓国との関係悪化で、旅行会社の約8割で両国向けツアーのキャンセルが発生したことがわかった。

 ※東京商工リサーチ(TSR)では、全国の主な旅行会社57社を対象に、中国、韓国を含む海外旅行について2012年9月以降の申し込み状況のアンケート調査を行った。(有効回答44社)

 アンケート調査によると、9月以降の海外旅行の申し込みが前年同期より5%以上「減少」した旅行会社は合計23社(構成比52.3%)で全体の半数にのぼった。減少要因として、「中国、韓国との国際緊張の影響」が21社(複数回答)と最も多かった。中国、韓国向けのツアーキャンセルがあった旅行会社は34社(構成比77.3%)で、キャンセル人数は100人未満が最も多かったが、1,000人以上と回答した旅行会社も2社あり、両国へのツアーキャンセルは深刻さを増している。

 *グラフ資料は、添付の関連資料を参照

■9月以降の「海外旅行」の申し込み「減った」と「やや減った」が52.2%

 9月以降の海外旅行の申し込みが、前年同期より「減った(20%以上)」は6社、「やや減った(5〜20%未満)」は17社で、前年同期より申し込みが5%以上「減少」した旅行会社は合計23社(構成比52.3%)で、半数を上回った。「あまり変わらない(±5%)」は13社。
 5%以上の「増加」は合計8社にとどまった。

 東京入国管理局成田空港支局によると、夏季期間(7月13日〜9月2日)に成田空港を利用した日本人の出国数は140万7,230人(前年同期比14.3%増)だった。1日平均の入出国数は東日本大震災以前の水準に回復したが、今回のアンケート調査で9月以降の海外ツアーの申し込み状況に変化が生じているようだ。


■減少要因「中国、韓国との国際緊張の影響」がトップ

 9月以降の海外旅行の申し込みが、前年同期より「減少」と回答した23社を対象にした減少要因は、第1位が「中国、韓国との国際緊張の影響」19社(構成比82.6%)だった。
 ここにきて中国、韓国との関係悪化が、両国への海外旅行にも大きな影響を与えていることが浮き彫りになった。
 2011年の海外渡航者数は約1,700万人にのぼった。渡航先の最多は中国の約365万人(構成比21.4%)で、次いで韓国328万人(同19.2%)と、両国だけで全体の約4割を占めている。
 両国への渡航は海外旅行のドル箱ともいえ、人気渡航先である両国へのツアーキャンセルは業績悪化の引き金になっている。


■中国、韓国向け取り扱い20%未満が7割以上

 中国取扱いの42社と韓国取扱い42社を対象に、中国、韓国旅行の扱い比率をみると、「20%未満」が中国32社、韓国30社で最も多かった。ただ、中国旅行で扱い比率40%以上が2社、韓国旅行でも扱い比率60%以上が2社あった。
 なかには人気ツアーをねらった中国や韓国を専門にした旅行会社もあり、旅行会社のなかでも両国ツアーへの依存度合に濃淡が大きい。
 韓国ツアーの扱いが80%以上の旅行会社では、「事態が沈静化すれば徐々にツアー客は戻ると予想している。正確な韓国情勢を常に発信していきたい」と回答している。


■中国、韓国への予約キャンセル旅行会社の約8割で発生
 9月以降の海外旅行の申し込みで、中国、韓国ツアーのキャンセルがあった旅行会社は34社(構成比77.3%)で、約8割にのぼった。
 両国との関係悪化でツアー客が一時的にせよ旅行を取りやめたことがわかった。
 Q1の問で、9月以降の全体の海外旅行の申し込みが「あまり変わらない」「やや増えた」「増えた」と回答をした12社でも、中国、韓国向けツアーのキャンセルは発生しており、キャンセルは旅行業全体に影響が波及している。


■予約キャンセル人数1,000人以上が2社
 中国、韓国旅行の予約キャンセルが発生した34社(無回答2社を含む)のキャンセル人数は、100人未満が最多の21社(構成比61.8%)だった。次いで、100人以上1,000人未満は10社(同29.4%)。1,000人以上と回答した会社も2社(同5.9%)あった。事業規模やツアー回数、規模により単純判断はできないが、旅行会社への影響は深刻さを増している。


■中国と韓国旅行回復期待に温度差
 今後の申し込みの予想は、中国、韓国を含む海外旅行全体(回答41社)では、「減少」を見込むのは19社(構成比46.3%)で最多。次いで、「変わらず」が17社(同41.5%)だった。
 一方、中国、韓国への旅行(回答80社)では、「減少」が中国35社、韓国27社の合計62社(同77.5%)と全体の約8割を占めた。このうち、中国は「減少」を予想する旅行会社が約9割と大半を占めた。一方、韓国は「減少」が約6割、さらに「変わらず」の予想が約3割あった。このアンケート結果では、両国への旅行見通しではやや見解が分かれた。
 大手航空会社2社では韓国路線は運行や機材の変更を格別行っていない。だが、中国の一部路線では期間限定の減便や小型機に機材変更するなどしている。韓国で「増加」と回答した2社は「11月から年内に回復する」としている。


<まとめ>
 日本人訪問が最も多い旅行先の中国、韓国へのツアーは、旅行会社にとって“ドル箱”だっただけに、両国との関係悪化は旅行業界に大きな問題になりかねない。
 大手旅行会社では、海外旅行の行き先を中国や韓国から、円高メリットを背景にしてハワイやグアムに変更し、業績に大きな打撃を受けていないとする回答もあった。
 大半の旅行会社は、中国、韓国への旅行申し込みは当分厳しさが続くと見ている。ただ、先行きについての見通しは、両国で明暗を分け、韓国が早期回復の期待が大きい一方、中国は悲観的な回答が多かった。
 歴史的な円高で、旅行会社ではヨーロッパや北米、オーストラリア、ハワイなどへの海外旅行の強化で業績挽回を目指している。中国、韓国への海外旅行は、しばらく世情を反映して様子見の状況が続くとみられるが、アンケート結果をみる限り企業体力のある大手と中小の旅行会社で影響が一様でないことがわかった。
 中国、韓国向けの旅行は“身近な隣国への海外旅行”として伸びていた。それだけに国際関係の緊張が長期化すると、中小旅行会社では企画ツアーの見直しが課題に浮上する可能性が大きい。
 しかし、LCC(格安航空会社)の浸透や旅行客ニーズの多様化に伴い、円高に依存したツアーだけでは継続性に不透明感もある。中国、韓国との国際関係の緊張の高まりは、旅行業界への企画商品の見直しを抜本的に求める動きになるかも知れない。


【Q7】今後について、対策をお考えですか?

主な回答
 ・今後の中国との尖閣問題の関係の様子を見ながら、中国方面のツアーの展開のボリュームを決める
 ・販売チャンスがある方面の仕入を増やしていく
 ・韓国ツアーは、11〜12月に持ち直し見込みで、店頭のパンフレットは引き上げない。中国ツアーは、従来より乱高下あったが、戻る見込みはなくパンフレットケースを出すのももったいないので出す予定もない
 ・特に送客数としては軽微な影響しかないので、他へシフトします
 ・アジア以外の国にお客様を誘導できるようなプラン作成をしていく
 ・中国、韓国にかわるロングアジアへのシフトセールス。熟年層への再アプローチ。ヨーロッパ及びハワイを中心としたリゾートの販売強化
 ・民間の需要を喚起する為に、まず行政の団を中国、韓国に派遣してもらう様アプローチをする
 ・ヨーロッパ、ハワイが好調なので行先のご案内をする。国内旅行の集客に努力する
 ・国内旅行強化、多方面化によるリスク分散強化
 ・中国に代わる旅行目的地への販促を強化する
 ・情勢が落ち着くまでは当面送客数増加は見込まれませんが、沈静化するにつれ徐々に取り戻してくると思います。韓国情報を常にHPで発信し集客に努める次第です
 ・積極的な広告及びキャンペーン
 ・他地域への旅行販売を強化する
 ・中国キャンセル組クライアンツの早急なる他国振替又は国内手配を確定に取り行っていくこと。中国現地人が行なう日本人受入、及びお世話をまちがいなくさせる旨の徹底
 ・国内に変更依頼中


*参考資料は、添付の関連資料を参照

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