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三井住友建設、小断面トンネル向けの専用運搬台車を使わない覆工内面補強工法を実用化
専用運搬台車を使用しない小断面トンネル覆工内面補強工法を実用化
〜小断面トンネルを対象としたリニューアルシステムを完成〜
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃2−1−6 社長 則久 芳行)は、専用運搬台車や大型重機を使用せずに、狭小な小断面トンネル内で覆工補強版を効率的に運搬組立てすることのできる"モールシールドビルダー(MOLE−Shield Builder)工法"を開発し、静岡県富士宮市の王子エフテックス株式会社 潤井川発電所水路トンネル補修工事において、効率的な施工性と良好な施工精度を確認しました。
この工法の開発によって、三井住友建設は内空断面積10m2以下の小断面トンネルにおいて、健全性の点検・調査から、対策工設計・施工、長期の維持・補修計画立案までの一貫した技術サービスを可能とする小断面トンネルリニューアルシステムを完成しました。
■技術開発の背景
高度経済成長期に建設された農業用水トンネル、発電所水路トンネル、および工業用水トンネル等は、供用開始後40〜50年を経て老朽化しつつあり、維持・補修対策が必要とされています。これらのトンネルのほとんどは内空断面積が10m2未満の狭隘な小断面トンネルであることに加えて、通水停止期間が短く、根本的な補修が困難な状況にありました。
なかでも、プレキャストのPC版や鋼板等による覆工内面補強工は、トンネル坑口部や低土被り部、あるいは暗渠等に適した断面補強工とされていますが、専用運搬台車や大型重機が必要ため、小断面トンネルではこれまで施工されていませんでした。
■"モールシールドビルダー(MOLE−Shield Builder)工法"とは
このたび実用化した"モールシールドビルダー(MOLE−Shield Builder)工法"は、特殊な運搬機構と治具類により、プレキャスト補強部材による小断面トンネル内面補強を高効率で行う工法です。
専用運搬台車を必要としないため、運搬と組立てを平行して行うことができ、従来の工法と同等以上の施工効率が実現できます。王子エフテックス株式会社 潤井川発電所水路トンネル補修工事では、4日間で40m(20セット)の運搬設置を実現しました。
※参考画像は、添付の関連資料を参照
■技術の特徴
(1)着脱式車輪の装着により、専用台車が不要です。
・急峻な坑口部からの専用台車搬入、およびクレーンなどが使用できない狭小坑内での台車組立作業も不要となります。
・プレキャスト補強部材運搬と組立て作業を平行して行えるため、施工効率が大きく改善できます。
(2)運搬時にねじりの発生しない仮連結治具の開発により、組立精度を保持したままプレキャスト補強部材を坑内運搬できます。
(3)誘導治具の採用により、設置精度の向上と、設置作業の省力化が可能になりました。
・一日に10基(約20m)以上のプレキャスト補強部材の運搬組立てが可能です。これは専用台車等を使用した運搬・組立工法よりも高効率です。
(4)PC版、鋼板を問わず全てのプレキャスト補強部材の運搬組立てに適用できます。
※参考画像は、添付の関連資料を参照
■"小断面トンネルリニューアルシステム"とは
これまで対応が難しかった小断面トンネルの維持・補修に対し、トンネル健全性の点検・調査から、対策工設計・施工、長期の維持・補修計画立案までの一貫した技術サービスを可能とするシステムです。
"小断面トンネルリニューアルシステム"は、以下の技術で構成されています。
※技術一覧は、添付の関連資料を参照
■今後の展開
本工法の確立により、これまで補修・補強が困難とされてきた小断面トンネルの坑口部や低土被り部あるいは暗渠等の補修・補強への対応も可能となり、トンネル変状調査および補強の主要工法のすべてを小断面トンネルに適用することを可能とするトータルシステムを完成しました。
当社では今後とも、これまで対応が難しかった小断面トンネルの変状・不具合に応じた最適な工法をご提案してまいります。