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神戸製鋼グループ、ITERプロジェクト向け超電導線材を開発・受注

2012-10-06

ITER向け超電導線材の開発・受注について



 神戸製鋼グループの超電導線材・マグネットの製造・販売会社であるジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社(略称 JASTEC、以下 当社)は、核融合実験の国際プロジェクトであるITERプロジェクトで使用される超電導線材約21トン(総額約18億円)を日本原子力研究開発機構(以下 JAEA)から受注しました。当社の門司工場(北九州市)で製造したNb3Sn(ニオブ3スズ)超電導線材を三菱電線工業/熊谷製作所で撚線し、2013年2月から14年1月にかけてJAEAに納入する計画です。

 核融合とは、2つのイオン(原子核)が衝突して融合する際に膨大なエネルギーを発生する反応で、太陽で常時起こっている現象です。原料は、海水など無尽蔵にある資源から採取できる重水素と三重水素であり、CO2や高レベル放射性廃棄物も発生しないことから、未来のエネルギー源として期待されています。
 核融合を起こすには、イオンを1億℃以上に加熱する必要があり、加熱に用いるプラズマを閉じ込めるために超電導コイルによる強力な磁場が必要です。
 超電導は、ニオブ系合金などの材料を極低温に冷やすことで、電気抵抗がゼロとなる現象です。超電導材料からなる線材をコイル状に巻いた電磁石を極低温で使用することで、強力な磁場を発生させることができ、MRIやリニアモーターカーに利用されていることが一般に知られています。

 ITERプロジェクトは、核融合実用化へ向けた実験を行う国際プロジェクトで、日・欧・露・米・中・韓・印の7つの国・地域が参加し、2020年までに仏カダラッシュに実験炉(本体総重量23,000トン)を建設し、その後約20年間の実験を行う一大プロジェクトです。
 資材の調達はすでに開始されており、当社もすでにTFコイル(プラズマを閉じ込める役割)向けに約40トンの超電導線材を納入しています。今回、より高い性能が要求されるCSコイル(炉の中心部でプラズマに電流を発生させる部位)向けの線材を開発し、日本のプロジェクト取り纏め機関であるJAEAから受注することができました。CSコイルには合計約120トンの超電導線材が使用され、今後も2013年から15年にかけて全量を日本で調達される計画であり、引き続き受注を目指して参ります。

 当社は神戸製鋼所100%出資の子会社で、日本で唯一の超電導専業メーカです。神鋼メタルプロダクツ(株)(銅・銅合金管の製造・販売)内の静水圧押出機を利用して超電導線材を製造しているほか、神戸製鋼所の電子技術研究所と連携するなどグループの総合力を発揮し、主にMRIやNMR(タンパク質構造解析装置)用の線材・マグネットを製造・販売しています。特に、主にNMRに用いられ10テスラ以上の強力な磁場を発生させるNb3Sn線材・マグネットに関しては、世界シェア50%(当社推定)を有しています。
 当社は、こうした蓄積されたノウハウと技術を活かし、引き続きCSコイルの調達プロジェクトで中心的役割を果たし、国際プロジェクトへの貢献を果たして参りたいと考えています。


以上


【ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社(JASTEC)の概要】
 設立:2002 年4月
 資本金:4億円(神戸製鋼所100%出資)
 本社:神戸市西区神戸製鋼所 神戸総合技術研究所内)
 従業員:140名
 代表者:西元 善郎
 売上高:約30億円(2011年度)
 事業内容:超電導線材・マグネットの製造・販売
 製造拠点:門司工場(線材)、本社工場(マグネット)


〔CSコイル用Nb3Sn 線材 断面写真〕

 ※添付の関連資料「断面写真」を参照


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