ノバルティス、「Ｖｏｔｕｂｉａ」が結節性硬化症に伴う良性腎腫瘍の治療薬としてＥＵで承認勧告を取得

Ｖｏｔｕｂｉａ（Ｒ）、結節性硬化症に伴う良性腎腫瘍の
治療薬としてＥＵにおける承認勧告をＣＨＭＰから取得



　．Ｖｏｔｕｂｉａ（Ｒ）（一般名：エベロリムス、米国・日本における製品名「アフィニトール（Ｒ）」、以下エベロリムス）は、ＥＵにおいて、結節性硬化症に伴う腎腫瘍に対する外科手術以外の初の治療選択肢となる可能性（１）
　．腎血管筋脂肪腫とも呼ばれる腎腫瘍は、結節性硬化症患者さんの最大８０％に発生増殖した腫瘍は生命を脅かす可能性も（２）


　２０１２年９月２１日、スイス・バーゼル発―欧州医薬品庁（ＥＭＡ）の医薬品委員会（ＣＨＭＰ）は、結節性硬化症に伴って発生する血管筋脂肪腫を有し、合併症のリスク（腫瘍サイズ、動脈瘤の有無、腫瘍が複数あるいは両側に存在するかなどの要因に基づく）があるものの、直ちに外科手術を必要としない成人患者さんの治療薬として、エベロリムスの承認を支持する肯定的意見を採択しました。承認されれば、エベロリムスは、欧州連合（ＥＵ）において、こうした患者さんの治療に対して初めて承認される薬剤となります（１）。

　ノバルティス　オンコロジー事業部プレジデントのエルベ・オプノーは次のように述べています。「腎血管筋脂肪腫は、この衰弱性の疾患における最も治療が困難な症状の一つです。そのため、エベロリムスに対してＣＨＭＰが承認勧告を行ったことは、ＥＵの結節性硬化症の患者さんにとって重要な決定です。結節性硬化症には多くのアンメットニーズが残されており、私たちは、この希少疾患と共に生きる人々の生活を理解し、よりよく改善していくため、臨床研究や教育、結節性硬化症の国際的なコミュニティとの協働を通じて努力を続けていきます」

　欧州委員会は一般的にＣＨＭＰの勧告に従うのが通例であり、勧告から３カ月以内に最終的な決定を下すものと予想されます。この決定は、ＥＵの全２７加盟国およびアイスランドとノルウエーに適用されます。欧州でエベロリムスは、結節性硬化症に対し、罹患率が１万人に５人以下の疾患に対する治療薬に与えられるオーファンドラッグとして指定されています（３）。

　今回のＣＨＭＰの承認勧告は、第ＩＩＩ相ＥＸＩＳＴ−２（ＥＸａｍｉｎｉｎｇ　ｅｖｅｒｏｌｉｍｕｓ　Ｉｎ　ａ　Ｓｔｕｄｙ　ｏｆ　ＴＳＣ）試験のデータに基づくものです。この結果によると、血管筋脂肪腫に対し、プラセボ投与群の患者さんの奏効率が０％だったのに対し、エベロリムス投与群では４２％の患者さんに奏効が得られました（ｐ＜０．０００１）。このエビデンスは、血管筋脂肪腫の総体積の変化の解析に基づいています。血管筋脂肪腫が進行するまでの期間の中央値は、プラセボ群で１１．４カ月であり、エベロリムス投与群では中央値に届きませんでした（ｐ＜０．０００１）。また、大半の結節性硬化症の患者さんにとって皮膚病変は大きな悩みの一つであり、試験に参加した患者さんの９７％が皮膚病変を有していましたが、プラセボ投与群の奏効率が０％だったのに対し、エベロリムス投与群では２６％の患者さんに奏効が得られました（ｐ＝０．０００２）（４）。

　エベロリムスは、腫瘍に関連する多くの伝達経路にかかわるｍＴＯＲタンパクの阻害剤です（２，５）。結節性硬化症は、ＴＳＣ１およびＴＳＣ２遺伝子の変異により引き起こされます（２）。これらの遺伝子に欠陥があると、ｍＴＯＲの作用が亢進して腫瘍細胞の成長および増殖、血管新生、変化した細胞代謝のコントロールが制御できなくなります（５，６）。前臨床試験の結果では、エベロリムスはこの伝達経路におけるｍＴＯＲの作用を阻害することにより、細胞増殖および血管新生を抑制します（１，５）。


　※以下、リリース詳細は添付の関連資料を参照