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理化学研究所とRIST、スーパーコンピュータ「京」の共用を開始

2012-10-02

スーパーコンピュータ「京」9月28日から共用開始



 理化学研究所(野依良治理事長)と高度情報科学技術研究機構(RIST:関昌弘理事長)は、2006年度から国家基幹技術として整備を進めてきたスーパーコンピュータ「京(けい)」(※1)を広く学術・産業分野向けに提供するため、9月28日から共用を開始します。
 今後 理研とRISTは、さまざまな計算科学分野のユーザと協力しながら、「京」の持つシミュレーション精度や計算速度の飛躍的な高さを活かした世界最高水準の成果が創出されるよう取り組んでまいります。


1.経緯
 「京」は、文部科学省が推進する革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の中核システムとして、開発・整備を進めてきたスーパーコンピュータです。
 理研は、2006年度から富士通株式会社と共同で「京」の開発に着手し、2012年6月末、全体の動作確認を終了し、完成しました。その後、共用開始に向けた利用環境整備や調整運転、そして利用者のユーザ登録などを行ってきました。
 その間、スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500(※2)」では、2011年6月、2011年11月と世界第1位を2期連続で獲得するとともに、HPCチャレンジ賞(※3)4部門全てで首位獲得、ゴードン・ベル賞(※4)なども受賞し、実アプリケーションでも高い性能を実現できることを示しました。
 一方、「京」の一般利用枠の課題は、登録施設利用促進機関であるRISTが中立公正な立場で選定しました。RISTは9月3日に2013年度末までの利用期間である初回の課題選定結果を発表し、62件を選定しました(一般利用課題29件、若手人材育成課題8件、産業利用課題25件)。また、国が定めた重点5分野に関する戦略プログラム(※5)利用枠に対する課題も選定しました(重点配分枠の優先課題7件、一般配分枠24件)。なお一般利用枠の産業界向けのトライアル・ユースについては、今後も随時、応募を受け付けます。
 9月28日、「京」はすべての準備が整い、広く学術・産業分野などに提供するため共用を開始します。


2.「京」の利用と今後
 今後、理研は、スーパーコンピュータ「京」の運用を担うとともに、「京」を中核として計算科学分野と計算機科学分野を連携させて、「京」の高度化や計算科学技術の幅広い分野を支える共通基盤の構築を目指した研究を行い、ユーザに対して使いやすい計算環境を提供していきます。またRISTは、利用者に対する一元的窓口業務を担い、ヘルプデスクによる利用相談やプログラム高度化支援などの利用支援業務を実施します。
 このように、今後 理研とRISTは、さまざまな計算科学分野のユーザと協力しながら、「京」の持つシミュレーション精度や計算速度の飛躍的な高さを活かした世界最高水準の成果が創出されるよう取り組んでまいります。


3.関連リンク
 理化学研究所 計算科学研究機構
  http://www.aics.riken.jp/index.html
 高度情報科学技術研究機構
  https://www.hpci-office.jp/aboutus.html
 一般利用枠における選考結果
  https://www.hpci-office.jp/invite/adoption.html
 戦略プログラム利用枠における選定結果
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/09/1325265.htm


<補足説明>

※1 スーパーコンピュータ「京(けい)」
   文部科学省が推進する革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行った。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

※2 TOP500
   TOP500は、世界で最も高速なコンピュータシステムの上位500位までを定期的にランク付けし、評価するプロジェクト。1993年に発足し、スーパーコンピュータのリストを年2回(6月、11月)発表している。

※3 HPCチャレンジ賞
   HPCチャレンジ賞にはベンチマークの性能値を競うクラス1と、実装における生産性の高さを競うクラス2がある。クラス1は以下の4つの部門で構成され、それぞれシステムを構成する主要な要素(CPUの演算性能、メモリへのアクセス性能、ネットワークの通信性能)が評価される。
   Global HPL:大規模な連立1次方程式の求解における演算速度
   Global Random Access:並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能
   EP STREAM(Triad)per system:多重負荷時のメモリアクセス速度
   Global FFT:高速フーリエ変換(FFT)の総合性能

※4 ゴードン・ベル賞
   ゴードン・ベル賞(ACM Gordon Bell Prize)は、並列計算技術の向上を目的にACM(Association for Computing Machinery、米国計算機学会)によって運営され、毎年11月に開催されるハイ・パフォーマンス・コンピューティング(高性能計算技術)に関する国際会議SC(International Conference for High Performance Computing,Networking,Storage and Analysis)で、ハードウエアとアプリケーションの開発において最も優れた成果を上げた論文に付与される。

※5 戦略プログラム
   2011〜2015年度で文部科学省が進めている事業。スーパーコンピュータ「京」の計算機資源を必要とし、かつ、社会的・学術的に大きなブレークスルーが期待できる分野(戦略分野)ごとに、「京」を中核とするHPCIを用いた研究開発や国の計算科学技術体制の整備を行う。各戦略分野と事業を中核的に実施する戦略機関は以下の通り。


 *参考資料は添付の関連資料を参照

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