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慶大、書道の筆使いを忠実に再現するシステムの開発に成功
世界初 書道の達人の筆使いを忠実に再現するシステムの開発に成功
〜「モーションコピーシステム」により熟練技能を保存、ロボットが再現〜
10/2(火)〜5(金)「CEATEC JAPAN 2012」でデモンストレーション実施
慶應義塾大学理工学部 桂 誠一郎 准教授は、NEDOの産業技術研究助成事業の一環として、書道の達人の動作情報から細やかな力加減を抽出・保存し、ロボットにより忠実に再現する「モーションコピーシステム」の開発に世界で初めて成功しました。今回、書道家の佐渡壽峰氏の協力の下、「モーションコピーシステム」による書道動作の保存・再現の検証を行い、書かれた文字を高い精度で再現することが可能であることを明らかにしました。「モーションコピーシステム」を使用することで、どのような文字でも動作情報を記録し、再現が可能です。
本技術により、インターネット等を利用したスキルのトレーニングなどに応用することが可能です。特に、力加減は他者に伝えることが困難だったために、熟練技能の習得には長時間の修業が必要でした。「モーションコピーシステム」のスキルトレーニングへの応用により、これまで「勘と経験」に頼っていた熟練技能の伝承を効率良く達成できるものと期待されます。
本成果は、10月2日(火)〜6日(土)に幕張メッセ(千葉市美浜区)において開催される最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2012」(シーテックジャパン 2012)にて、期間中の10月2日(火)〜5日(金)の4日間、実機デモンストレーションを行います。
〔図1 「モーションコピーシステム」実験装置で文字を書く書道家の佐渡壽峰氏〕
※画像は添付の関連資料「リリースの詳細」を参照
・実験の様子(動画)http://katsura.sd.keio.ac.jp/research/calligraphy.html
1.研究の背景
人間の感覚情報のうち、視覚・聴覚情報の保存・再生は携帯電話・テレビ・CDやDVDなどの通信・放送機器などで広く実用化されています。しかしながら触覚・力覚情報については、五感の中で唯一、双方向性を有する感覚情報であるため、情報の保存・再生が非常に困難でした。「モーションコピーシステム」は、モータ・アクチュエータを利用することで、双方向性を持つ触覚・力覚情報を抽出・再現することを可能にしています。
「モーションコピーシステム」は動作を保存するための「モーション保存システム」と再現するための「モーション再現システム」の2つのプロセスによって構成されています(図2)。
〔図2 「モーションコピーシステム」の概念図〕
※画像は添付の関連資料「リリースの詳細」を参照
まず動作の保存プロセスは「録触」に相当するもので、操作者にアクチュエータ(マスタシステム)を装着して動作における動きと力加減をデジタル情報として抽出し、操作者の動作を代行するアクチュエータ(スレーブシステム)によって再現させることで、実世界における作用力と反作用力を分離して抽出することが可能になります。
一度抽出した動作はデジタル情報として保存されますので、「いつでも・どこでも」ユビキタスに再現することができます。再現プロセスでは、スレーブシステムのみを使用して動きと力加減を再現します。本技術では、加速度制御に基づいて動作を再現するため、双対性の関係がある動きと力加減の双方を忠実に再現することに成功しました。
※以下、リリースの詳細は添付の関連資料を参照