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NEDOや三菱電機など、省エネ技術を結集した次世代モジュール型データセンターを構築

2012-10-01

省エネ技術を結集した次世代モジュール型グリーンデータセンターを構築
−従来のデータセンターに比べ消費電力を30%削減可能に−



 NEDOは、2008年度に開始したグリーンITプロジェクトにおける成果の一つとして、省エネ技術を結集した次世代モジュールデータセンター※1を構築しました。これまで開発してきた省エネ基盤技術である、高電圧直流電源技術、サーバー液冷技術、グリーンクラウド運用技術、データセンターモデリング・評価技術に、今回新たに開発した外気導入技術(特許出願中)を組み合わせ、エネルギー利用効率を最適化し、本事業の目標とした総消費電力を従来に比べ30%削減(比較のために構築した従来モジュールデータセンターの総消費電力28kWが次世代型で19.6kW以下に)できることを検証します。また、商用電力の供給量が制限された際に、制限内で効率良くデータセンターの運用が行える運用技術も開発します。
 クラウドコンピューティングの普及とともに震災以降需要の高まるデータセンターにおいて、省電力は必須の技術となっています。技術開発を進めていくことで引き続き持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。


 *「次世代モジュール型グリーンデータセンターの構成図」は添付の関連資料「参考図」を参照


1.背景
 近年、情報流通の核となるデータセンターおよび、それを構成するIT機器の消費電力が急増しており、問題となっています。また、2011年に発生した東日本大震災の影響により、電力の使用制限が発動されるなど、広く節電の要請がなされています。一方で、情報システムのクラウドコンピューティング化やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、ビッグデータといった新しいデータの活用にともない、データセンターの増設は続く状況にあります。持続可能な社会の実現に向けて、データセンターにおける消費電力を大幅に削減することが必須となっています。
 従来、データセンターの建設では、IT機器、空調設備、電源設備、建物が、それぞれ異なる事業者によって異なる目標が設定され設計・製作・構築されてきました。そのため、データセンター全体としてエネルギーを効率良く利用できていませんでした。例えばIT機器設計者は、少ない空間により多くの能力を集約するために高密度な実装を行い、空気が流れる空間を十分にとれない点をカバーするため強力なファンを内蔵し大量の空気を吸い込む設計を行っていました。また、設備設計者は、サーバーの熱暴走による障害発生を危惧するあまり、余裕をもった空調設備の設計を行うことが多くありました。一方で各事業者において、省電力の必要性は認識されつつあり、個別の技術としてはエネルギー効率の高い製品の実現が進んでいますが、データセンター全体として見ると消費電力を削減できる余地が多く残っています。


2.今回の成果
 省エネ技術を結集したことで大幅に消費電力を削減でき、かつ、節電運用が可能な次世代モジュールデータセンターを産業技術総合研究所(産総研)つくばセンター内に構築しました。開発したモジュールデータセンターは以下のような特長をもっています。

(1)液冷を用いたファンレスサーバー
 データセンターにおけるサーバーの集積密度は年々増加傾向にあり、数年前は2kVA〜6kVAだったラックあたりの消費電力は、近年では8kVA〜20kVAにもなろうとしています。サーバー内で発生した熱は、通常サーバー内のファンによってサーバー外に排熱されます。ラックあたりのサーバー集積度が上がるとデータセンターのサーバー室内に排出される熱は非常に膨大となり、空気中に分散した熱をデータセンター外に排出するには強力な空冷装置が必要となります。そこで、空気よりも熱伝導率が高い液体を用いて、熱をサーバー室内に排出せずに効率的に除去する手法を採用しました。
 今回、株式会社SOHKiがNEDOグリーンITプロジェクトの一環として開発した液冷ジャケットを既成品サーバーに装着し、大部分の熱を冷却液によりサーバーから除去することとしました(図1)。


 ※「図1 既製品サーバーと液冷ファンレスサーバー」は添付の関連資料を参照


 サーバーを収納したモジュール内の床下から、ラックを通してサーバーへ冷却液を循環させ、クーリングタワーで冷却された水と熱交換する仕組みを構築しました。これによりモジュール内の空気に放出される熱はわずかとなります。また、少ない風量でサーバー内の熱を除去することができるため、サーバー内蔵ファンの多くが不要となり、消費電力を削減できます。

(2)外気導入によるエアコンレスデータセンター
 液冷システムを導入したことにより、サーバーからモジュール内に排出される熱量はわずかとなりました。この熱をモジュールの外に排出するために、外気を利用することとし、産総研とNTTファシリティーズは、グリーンユニットと呼ぶ外気導入装置を設計しました(図2)。モジュール内に大型ファンで空気を送り込み、気圧の差によって空気が流れるように設計されています。グリーンユニットは、内部に気化冷却器※2、熱交換器※3、除湿加湿器をとりつけ、外気の環境条件に応じてサーバーに必要な温度・湿度・風量の空気を送ることを可能にした装置です。夏は、外気を気化冷却により温度を下げて供給し、サーバーからの熱を含んだ空気を直接外部へ放出します。冬は、サーバーからの排気を循環させてサーバーに給気するとともに、グリーンユニット内で、外気と熱交換を行います。春秋は、夏と冬の運転方法を組み合わせた混合モードで動かします。この装置により日本における四季の変化を含めたほとんどの外気条件下において、エアコン(空調機)を使わずにサーバーを冷却でき、また、大型ファンで動作させるため、冷却にかかる電力を大幅に削減することが可能です。


 ※「図2 グリーンユニットのイメージ図と空気の流れ」は添付の関連資料を参照


※以下、リリース詳細は添付の関連資料を参照

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