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ローム、マイクに鋭い指向性を持たせて音声品質を向上させるデジタル信号処理LSIを開発
スマホやカーナビなどのマイクに鋭い指向性を持たせることで
音声をクリアにするデジタル信号処理LSIを開発
<要旨>
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)は、スマートフォンやカーナビゲーション等で用いられるマイク向けに、2つの無指向性マイクで鋭い指向性を形成すること(ビームフォーミング技術)で音声品質を向上させることができるデジタル信号処理LSI「BU8332KV−M」を開発しました。
本製品は、ビームフォーミング技術を用いて指向性を形成し、指向軸を目的音の方向に向けることで周囲ノイズを低減。さらに指向軸方向に残った定常ノイズはノイズサプレッション機能により低減させることができます。この手法はノイズキャンセルのみの手法と違い、目的音をより強調させることができます。また、2つのマイクを10mmという短い間隔で実装できるため、スマートフォンをはじめとするあらゆる小型機器への搭載が可能です。さらに、処理の最適化を行うことでビームフォーミング機能使用時の処理遅延時間を10msec以下にし、他のアプリケーションへの影響も最小限に抑えています。これらにより、様々な機器での音声認識率の向上やハンズフリーの通話品質改善に貢献できます。
生産拠点は、前工程をローム株式会社 本社(京都)、後工程をROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)で行い、既に8月から当面月産8万個の体制で量産を開始しています。
なお、本製品は10月2日〜6日に千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN2012」のロームブースでも展示する予定です。ぜひご来場ください。
※参考画像は添付の関連資料を参照
以上
<概要>
近年、音声認識技術の発達により、カーナビゲーションや、スマートフォンをはじめとするモバイル機器に音声入力システムが多く採用されるようになり、今後は家電製品への展開も検討されています。また、ビジネスモデルのグローバル化により、ビデオ通話やテレビ会議の機会は増加し、今後はより性能の良い集音技術が求められると考えられます。
こうした場面における集音技術では、目的音をより明瞭化することが必要です。これまで指向性を持たせるために使用されていたマイクは、物理的な構造(筒状の構造)によって指向性を生成していましたが、指向性を鋭くする際にマイクサイズが大きくなることや、物理的な変更なしに指向性の制御ができない等の問題がありました。
<新製品の詳細>
今回ロームでは、2つの無指向性マイクを用いるビームフォーミング技術により、特定方向の音声を明瞭化するデジタル信号処理LSIを実現しました。
これまでも2つのマイクを用いて指向性を形成する技術はありましたが、従来は指向性を上げるためマイク間距離を長くする必要があったため、小型のポータブル機器への搭載には適していませんでした。また、デジタル信号処理による遅延時間や音質の劣化も課題となっていました。
こうした中、ロームは(株)DiMAGIC Corporationの指向性制御技術を使用し、周囲ノイズを大幅に低減することに成功。ビームフォーミング技術を用いて指向性を形成し、指向軸を目的音の方向へ向けることで目的音以外の音を低減させます。さらに、指向軸方向に残った定常ノイズはノイズサプレッション機能により低減させることで、目的音が明瞭となります。この結果、背面方向の減衰量を、従来のマイクと比較して30dB以上改善することができます。この性能をわずか10mmのマイク間距離で実現できるため、小型ポータブル機器への搭載が可能となります。また、処理の最適化を行うことでビームフォーミング機能使用時の処理遅延時間を10msec以下にし、他のアプリケーションへの影響も最小限に抑えています。さらに、指向性の形状・鋭さの切り替えができるため、用途に応じて最適な指向性を実現できます。
※特長は添付の関連資料を参照