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富士経済、住宅分野のエネルギー設備機器採用動向調査結果を発表

2012-09-25

「創エネ住宅」の普及と「オール電化住宅」の減少そして「スマートハウス」へ
住宅分野のエネルギー設備機器採用動向を調査


―2020年度予測―
 ●創エネ住宅 年間87.0万戸(11年度比58.7万戸増)/累計594.4万戸 普及率11.7%
 ●オール電化住宅 年間39.2万戸(同 8.2万戸減)/累計824.2万戸 普及率16.2%
 ●エネファーム 1,630億円(同7.2倍)集合住宅、既築住宅さらに海外へと拡大して量産化
 ●電力スマートメーター 1,800億円(同21.4倍)総需要6〜8割をスマートメーター化計画


 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、2012年4月〜8月にかけて国内の住宅エネルギー設備機器の採用動向の調査を行った。
 「創エネルギー住宅」(以下創エネ住宅)が普及する一方、「オール電化住宅」が急減する実態をエリア別/都道府県別に調査し、次世代住宅/スマートハウスの標準化を巡る最近の傾向と将来動向を分析し、長期的な市場構造の変化を予測した。
 その結果を報告書「エネルギー需要家別マーケット調査要覧 2012 住宅分野編」にまとめた。

 この調査の取材対象は、全国10地域の電力会社と都市ガス会社、LPG・石油系燃料供給事業関連企業、各県LPガス協会、大手ハウスメーカー、地場工務店、パワービルダー、マンションディベロッパー、賃貸ビルダー、リフォーム事業者、設備工事店、家電量販店、ホームセンター、住設機器メーカーなどである。


<調査結果の概要>

 東日本大震災後、分散型エネルギーへの関心は一層高まっている。電力供給不安と節電意識の向上によってエネルギーバランスが見直されエネファームは受注が急増、12年度も2万台以上の受注が見込まれる。大手ハウスメーカーの太陽光発電システムの新築設置率も上昇して、太陽光発電システムとエネファームの「ダブル発電」を採用した新築戸建住宅が増加している。従来、太陽光発電は「オール電化住宅」とのセット導入が多数を占めていたが、長期的には太陽光発電を中心とした「創エネ住宅」が定着すると予測される。また、既築リフォーム分野では太陽光発電に加え、主要ガス事業者によるエネファームやダブル発電の採用が徐々に広がりつつあり、今後も新機種投入と量産によるコストダウンで、家庭用CGS(エネファーム+エコウィル)の普及が進む。新築から既築分野まで「創エネ住宅」が拡大すると予測される。
 「創エネ住宅」の定着に合わせ、各社で実証実験を重ね積極的に市販化を進めている「スマートハウス」が20年以降本格的に普及し始めると予測する。「創エネ住宅」にHEMSと家庭用蓄電池を組み合わせ深夜電力の有効活用を含めたエネルギーの最適利用と電力のピークシフトを実現すると期待される。

●創エネ住宅市場(太陽光発電システムと家庭用CGSを併設する住宅)

      年度  2012年度見込み   2015年度予測   2020年度予測
 創エネ住宅    32.3万戸        46.3万戸      87.0万戸
   前年度比    114.1%        115.2%     11年度比3.1倍

 12年度は創エネ住宅の95%が太陽光発電設置住宅になると見込まれ、創エネ=太陽光発電の状況である。また太陽光発電の約50%はオール電化とセット採用されており、創エネ住宅は新築戸建分野の太陽光+オール電化と、既築戸建分野の太陽光発電単体設置に二分されている。
 東日本大震災後は太陽光発電のニーズ拡大と、既築分野の電化リフォームの急減により既築分野の太陽光+オール電化のセット需要が減少している。20年度は創エネ住宅が87万戸に達する。これはオール電化住宅数39.2万戸の2倍以上であり、住宅のエネルギー設備機器はオール電化から創エネに移行する。20年度にはエネファームを中心とする家庭用CGSの設置戸数も、11年度比で15倍以上となる35.7万戸に達し、同時期のオール電化住宅の規模まで拡大する。
 20年度の住宅ストック市場予測では、創エネ住宅が約600万戸、普及率は11年度の2.4%から11.7%に拡大する。太陽光発電も全住宅の10戸に1戸の水準まで普及する他、家庭用CGSも全住宅の約3%まで拡大する。エネファームは、太陽光とのダブル発電採用が一般化し、既築分野での採用も進むと予測される。
 地域別の創エネ住宅の普及は「西高東低」で、12年度は中部地方より西で普及率が3〜4%程度の見込みである。一方、積雪地帯や日本海側、集合住宅が多い関東では1%以下〜2%程度の普及率に留まる。
 20年度予測では中部、中国、四国、九州で全住宅の6戸に1戸が創エネ住宅となり、また関西地方では家庭用CGSの普及率が5%に達し、エネファームの先進地域となる。
 創エネ住宅関連機器(太陽光発電、エネファーム)では、太陽光発電は、東日本大震災の影響による電力不足や非常用電源として期待され市場が大きく拡大した。今後も補助金の活用や余剰電力買い取り制度が継続して安定した市場成長が予測される。
 エネファームは販売取扱事業者が増加していることに加え、本体価格の低減から普及拡大が予測される。今後数年間は市場が補助金の動向に左右されるが長期的には拡大して、20年度には1,630億円(11年度比7.2倍)市場に成長すると予測する。

●オール電化住宅(新築+既築)市場(厨房/給湯機器に電気機器を使用した住宅 北海道/東北では空調も含む)

         年度  2012年度見込み   2015年度予測   2020年度予測
 オール電化住宅    48.2万戸        41.1万戸      39.2万戸
      前年度比    101.9%         96.3%     11年度比82.9%

 11年度はオール電化住宅の新規件数が47.3万戸と急減し05年度以来の50万戸割れを記録した。既築分野で前年度比の68%となる約19万戸まで電化リフォームが急減したためである。東日本大震災以降、原発事故/電力需給の逼迫などを受けて電力各社が大々的なPR活動を止め、オール電化を訴求する機会が大幅に減少した。関東地方では都市ガス供給エリアを中心に電化リフォーム件数が半減し、他の地域でも軒並み前年度比6〜7割に減少した。11年度後半から12年度にかけては電力需給が逼迫する西日本の電力各社によるオール電化営業組織の縮小や、電化機器に対する販売奨励金の廃止などが加わり、電力需給が安定するまで回復しないと予測する。
 12年度のオール電化普及率は10.2%、511万戸と全住宅の10戸に1戸がオール電化住宅となる見込みである。戸建住宅のオール電化普及率は16%を超えると見られる。北陸地方が突出して高く、全住宅の4戸に1戸に達している。また西日本のオール電化普及率も15〜20%程度と高水準になっている。一方、東日本と沖縄のオール電化普及率は6〜7%程度に留まったままである。
 20年度のオール電化普及率予測は16.2%、824万戸、6戸に1戸がオール電化住宅となる。10年度以降、新築住宅におけるオール電化率は年々下がるが、一定の戸数は建設され、普及率は徐々に拡大する。北陸と中国地方のオール電化普及率が30%を超えると予測される。

●スマートハウス
 HEMS:12年度見込2万件(11年度比250%)/20年度予測50万件(11年度比62.5倍)
 住宅用蓄電池:12年度見込0.8万件(11年度比7.7倍)/20年度予測3.5万件(11年度比35倍)

 スマートハウスは主として太陽光発電中心の創エネ住宅とのセットであり、今後も創エネ住宅に省エネ/節電機能が付加された最上位の付加価値住宅として普及すると予測する。20年度の予測では、HEMSが50万件、住宅用蓄電池が3.5万件で採用され、累計採用数ではそれぞれ200万件、20万件に達する。しかし本格的な普及は創エネ住宅が定着する20年度以降になる。
 スマートハウス関連機器(住宅用蓄電池、HEMS、電力スマートメーター)の市販化は、東日本大震災後相次いで前倒しされ始め、12年度からは市場成長が本格化し徐々に加速している。
 住宅用蓄電池は、12年度84億円(11年度比8.4倍)と見込まれ、20年度は183億円(11年度比18.3倍)と予測される。特にリチウムイオン電池は12年度から補助金制度が始まり普及が促進されると予測される。
 HEMSも12年度から補助金制度が実施され、太陽光発電システムやエネファームなどとのセット販売も始まっている。今後、単に見える化製品の段階から、遠隔操作機能や制御機能を備えた製品の開発・普及が進むと予測される。電力スマートメーターは、各電力会社が11年度から5年以内に総需要の6〜8割をスマートメーター化する目標で導入を進めており、20年度の市場は1,800億円(11年度比21.4倍)と予測する。


<創エネ・オール電化の注目地域>

●関東地方
 オール電化:12年度見込12万戸(11年度比98.4%)/20年度予測10.5万戸(11年度比86.1%)
 創エネ住宅:12年度見込9.3万戸(11年度比114.8%)/20年度予測26.4万戸(11年度比3.3倍)

 11年度は、オール電化住宅が累計100万戸に到達した。長期的なオール電化の拡大傾向が続き、20年度の累計オール電化住宅数は11年度比で約2倍の190万戸まで拡大すると予測する。しかし少なくとも今後2〜3年間、電力需給問題や原子力発電所の再稼働などの問題が解決しない限り成長ペースが著しく鈍化する見通しであり、オール電化の新規建築数は年間10万戸程度に留まると予測する。
 11年度の累計創エネ住宅戸数は32万戸に達し、その90%以上が太陽光発電を設置している。また、太陽光発電設置住宅の過半数でオール電化がセット採用されている。今後は太陽光発電とエネファームの併置が拡大し、20年度には関東地方の住宅累計の約10%に当る176万戸が創エネ住宅となる。

●関西地方
 オール電化:12年度見込8.2万戸(11年度比109.3%)/20年度予測6.5万戸(11年度比86.7%)
 創エネ住宅:12年度見込4.5万戸(11年度比112.5%)/20年度予測15.4万戸(11年度比3.9倍)

 12〜13年度は消費税増税前の駆け込み需要から新築戸建住宅でオール電化の件数が伸びると予測されるが、以降は新規着工件数の反動減やエネファームの普及拡大もありオール電化住宅の普及は鈍化する。11年度にオール電化住宅の累計市場は84.6万戸となり、全住宅累計の1割に普及している。20年度予測では146.2万戸と6戸に1戸がオール電化住宅となる。
 創エネ住宅累計は12年度に26.4万戸に達する見込みである。ほかの地域比べ家庭用CGSの普及率が高く、創エネ住宅の3分の1で採用されている。今後は太陽光発電とのダブル発電も普及し、20年度に創エネ住宅ストックが93.2万戸に拡大する。この半数で家庭用CGSが採用され、全国的にも先進エリアとなる。


<調査対象>
 ●電力会社、都市ガス会社 北海道電力(株)、北海道ガス(株)、東北電力(株)、仙台市ガス局、東京電力(株)、東京ガス(株)、北陸電力(株)、日本海ガス(株)、中部電力(株)、東邦ガス(株)、関西電力(株)、大阪ガス(株)、中国電力(株)、広島ガス(株)、四国電力(株)、四国ガス(株)、九州電力(株)、西部ガス(株)、沖縄電力(株)、沖縄ガス(株) ●LPG・石油系燃料供給事業 エア・ウォーター(株)、カメイ(株)、JX日鉱日石エネルギー(株)、北日本物産(株)、東邦液化ガス(株)、伊丹産業(株)、広島ガスプロパン(株)、四国ガス燃料(株)、(株)エコア、(株)りゅうせき、各県LPガス協会他 ●サブユーザー 大手ハウスメーカー、地場工務店、パワービルダー、マンションディベロッパー、賃貸ビルダー、リフォーム事業者、設備工事店、訪問販売事業者、家電量販店、ホームセンター他 ●住設機器メーカー パナソニック(株)、三菱電機(株)、日立アプライアンス(株)、東芝ホームアプライアンス(株)、ダイキン工業(株)、京セラ(株)、シャープ(株)、(株)東芝、ソーラーフロンティア(株)、(株)ホンダソルテック、東芝燃料電池システム(株)、(株)ENEOSセルテック、本田技研工業(株)、エリーパワー(株)、(株)長府製作所、矢崎エナジーシステム(株)、長州産業(株)他

<調査方法> 富士経済専門調査員による対象企業及び関連企業・団体への直接面接取材と文献調査による補完

<調査期間> 2012年4月〜8月


以上


 資料タイトル:「エネルギー需要家別マーケット調査要覧 2012 住宅分野編」
 体裁:A4判 321頁
 価格:書籍版 97,000円(税込み101,850円)
     書籍・電子版セット 117,000円(税込み122,850円)
 調査・編集:富士経済 東京マーケティング本部 第二統括部 第四部
         TEL:03−3664−5821 FAX:03−3661−9514
 発行所:株式会社 富士経済
       〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
       TEL:03−3664−5811(代) FAX:03−3661−0165 e−mail:info@fuji-keizai.co.jp
       この情報はホームページでもご覧いただけます。
       URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/ https://www.fuji-keizai.co.jp/


※報告書 目次・表資料は、添付の関連資料を参照

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