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ヤンマー、岩手県内で「貝類人工種苗生産に関する技術開発研究」の実証試験を開始
東北マリンサイエンス拠点形成事業からの「貝類人工種苗生産に関する技術開発研究」の受託および実証試験の開始について
ヤンマー株式会社(以下当社)は、東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」(以下TEAMS)が行う調査研究のうち、環境が激変した増養殖漁場環境に適応した効率的な貝類種苗生産に関わる技術開発研究を受託し、このたび岩手県内での実証試験を開始いたします。
昨年発生した、東日本大震災の津波・地震により、東北の太平洋岸では大量のがれきの堆積や藻場・干潟の喪失、岩礁への砂泥の堆積等により、沿岸域の漁場を含め海洋生態系が大きく変化しました。このため、海洋生態系の回復を図るとともに、沿岸地域の産業を復興させることが緊急性の高い重要な課題となっています。(添付【ご参考資料】参照)
また、TEAMSにおける活動については、海外の研究機関や民間企業とも連携することが提言されており、将来的には、国際的な海洋研究拠点として発展、継続していくことが計画されています。
昨年度より、当社においては民間企業の立場として、自社が保有する二枚貝陸上増養殖技術が東北地方沿岸域の漁業復興支援へ役立つと考え、現地行政機関・地元漁業関係者・東北大学のご協力を仰ぎ、「地域漁業再生」への協力を行ってまいりました。このたびの実証試験も、ヤンマーと上記関係者の皆様が一体となって進めていく「地域漁業再生」に向けた取り組みとなります。
ヤンマーは、被災地の漁業を元気にするソリューション提供をこれからもグループあげて展開して行く計画です。
1. 現地での実施試験の概要
東北大学と当社との委託研究契約に基づき以下を実施します。
1.震災以降、環境が激変した東北地方沿岸域の増養殖漁場環境に適応した、貝類の生物学的な科学情報に基づいた、効率的な貝類種苗生産の検証。
2.各種貝類の大量種苗生産への応用展開ならびに技術開発。
2. 実証試験(予定)期間
2012年9月〜2013年3月
3.実証試験場所
岩手県下閉伊郡山田町船越22−188 三陸やまだ漁協大浦支所 地先海域
【ご参考資料】
『東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」とは』
(東北マリンサイエンス拠点形成事業ウェブサイト:http://www.i-teams.jp/より抜粋)
東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」とは、文部科学省の海洋生態系研究開発拠点機能形成事業費補助金制度により、東北大学、東京大学大気海洋研究所、海洋研究開発機構が中心となって実施する事業で、TEAMSはその英語名称(Tohoku Ecosystem−Associated Marine Science)の略称であり、その実施体制でもあります。
東北の太平洋岸では、東日本大震災の津波・地震による、大量のがれきの堆積や藻場・干潟の喪失、岩礁への砂泥の堆積等により、沿岸域の漁場を含め海洋生態系が大きく変化しました。このため、海洋生態系の回復を図るとともに、沿岸地域の産業を復興させることが緊急性の高い重要な課題となっており、「東日本大震災からの復興基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)においては、「震災により激変した海洋生態系を解明し、漁場を復興させるほか、関連産業の創出にも役立たせるため、大学、研究機関、民間企業等によるネットワークを形成」することや「さけ・ます等の種苗生産体制の再構築や藻場・干潟等の整備、科学的知見も活かした漁場環境の把握、適切な資源管理等により漁場・資源の回復を図る」こと等が掲げられています。
また、文部科学省では、科学技術・学術審議会海洋開発分科会において東日本大震災への対応について検討が行われました。この内容については、「海洋生物資源に関する研究の在り方について」(平成23年9月16日)において、東北沖における研究開発を継続的かつ体系的に実施するため、全国の関連研究者のネットワークとして、大学等の研究機関を中心としたマリンサイエンスの拠点を東北に形成すること、また、マリンサイエンス拠点における活動については、海外の研究機関や民間企業とも連携することが必要であり、将来的には、国際的な海洋研究拠点として発展、継続していくことが提言されています。
これらを踏まえ、本事業においては、東北大学、東京大学大気海洋研究所、海洋研究開発機構が中心となり、大学や研究機関による復興支援のためのネットワークとして「東北マリンサイエンス拠点」を構築し、地元自治体や関係省庁等と連携しつつ、東北の復興を図るため東北沿岸域からその沖合海域における海洋生態系の調査研究を実施します。
TEAMSは、海洋科学技術分野のオールジャパンの研究者の力を結集し、対象海域の物理・化学的環境と生物動態について総合的に調査研究し、海洋生態系の変動メカニズムを解明することで、漁場の設定や資源量予測に資する科学的知見やデータを提供することを目的としています。