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帝国データバンク、8月の全国企業倒産集計を発表

2012-09-13

倒産集計


<2012年 8月報>
 倒産件数は851件、今年最少を記録
 負債総額は2020億7700万円、2ヵ月ぶりの前年同月比減少


 倒産件数          851件
 前年同月比      ▲12.2%
 前年同月          969件
 前月比         ▲ 9.8%
 前月             943件

 負債総額  2020億7700万円
 前年同月比      ▲74.7%
 前年同月  7975億8100万円
 前月比         ▲71.7%
 前月     7152億1200万円


[件数・負債総額の推移]

 ※グラフ資料は添付の関連資料を参照


■件数
・ポイント 3ヵ月連続の前年同月比減少、今年最少を記録
 倒産件数は851件(前月943件、前年同月969件)で、前月比は9.8%、前年同月比も12.2%の減少となり、3ヵ月連続で前年同月を下回った。2012年4月の884件を下回り、今年最少を記録。
 前年同月比の減少幅は、前月(2.3%減)の1ケタから2ヵ月ぶりに2ケタ台へ拡大した。

・要因・背景
 1.中部(94件、前年同月比26.6%減)、九州(57件、同23.0%減)の2地域で減少目立つ
 2.土木工事を中心に建設業(249件、前年同月比1.2%減)が10ヵ月連続の前年割れ 


■負債総額
・ポイント 2ヵ月ぶりの前年同月比減少
 負債総額は2020億7700万円(前月7152億1200万円、前年同月7975億8100万円)で、前月比は71.7%、前年同月比も74.7%の減少となり、2ヵ月ぶりに前年同月を下回った。

・要因・背景
 1.負債トップは、分収造林事業の社団法人青い森農林振興公社(青森県)で367億円
 2.大型倒産の沈静化により、負債50億円以上の倒産は8ヵ月連続で1ケタにとどまる


■業種別
・ポイント 全業種で前年同月比減少
 業種別に見ると、7業種すべてで前年同月比減少となった。なかでも、小売業(137件)は前年同月比27.1%の大幅減少となったほか、運輸・通信業(25件、前年同月比19.4%減)、サービス業(167件、同16.5%減)でも減少が目立った。全業種で減少となるのは、2011年3月以来1年5ヵ月ぶり。

・要因・背景
 1.小売業…飲食料品小売(21件、前年同月比34.4%減)などで大幅減少
 2.サービス業…中部(10件)と近畿(38件)で減少が目立つ
 3.建設業…東北は、15ヵ月連続の前年同月比減少も、減少幅は1ケタに縮小


■主因別
・ポイント 「不況型倒産」の構成比83.8%、39ヵ月連続の80%台
 主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は713件(前月799件、前年同月810件)となった。構成比は83.8%(前月84.7%、前年同月83.6%)で、前月を0.9ポイント下回ったものの、前年同月を0.2ポイント上回り、39ヵ月連続で80%台となった。

・要因・背景
 1.「金融円滑化法利用後倒産」は45件判明、前月の41件を超え2ヵ月連続で過去最多を更新
 2.「円高関連倒産」は9件、うち為替デリバティブ損失によるものは2件判明


 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計


■規模別
・ポイント 負債5000万円未満の構成比、4ヵ月連続で50%超の高水準
 負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は461件、構成比は54.2%となり、4ヵ月連続で50%を上回る高水準となった。一方、負債100億円以上の大型倒産は、10ヵ月連続の発生となったものの2件にとどまった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満が459件、構成比は53.9%を占めた。

・要因・背景
 1.負債100億円以上の大型倒産、40ヵ月連続で10件を下回る低水準
 2.小売業では負債5000万円未満の倒産が70.4%を占め、構成比で全業種中トップ


■地域別
・ポイント 9地域中6地域で前年同月比減少
 地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を下回った。なかでも中部(94件、前年同月比26.6%減)と九州(57件、同23.0%減)は、前年同月比20%以上の減少となった。一方、北海道(38件、同22.6%増)は唯一前年同月を上回った。このほか、東北(40件)、北陸(26件)は前年同月と同数となった。

・要因・背景
 1.中部は小売が大きく減少し、2008年2月(94件)以来4年半ぶりに100件を下回る
 2.東北は製造(9件、前年同月比80.0%増)、サービス(10件、同66.7%増)などで増加

■上場企業倒産
 8月は、東証マザーズ上場のシコー(株)(神奈川県)が民事再生法の適用を申請し、2ヵ月連続で上場企業の倒産が発生した。
 2012年の累計は5件となり、2011年の4件を上回った。

■大型倒産
 8月の負債額トップは、分収造林事業の社団法人青い森農林振興公社(青森県、民事再生法)の367億円。ゴルフ場経営のツインフィールズ(株)(石川県、民事再生法)の189億6900万円がこれに続く。
 負債100億円以上の倒産は上記の2件にとどまり、低水準が続いている。

景気動向指数(景気DI)
・景気DIは37.7、前月比0.2ポイント減と2ヵ月ぶりに悪化
 2012年8月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.2ポイント減の37.7となり、2ヵ月ぶりに悪化した。
 復興需要の拡大により『建設』は回復が続いたものの限られた地域にとどまっており、『近畿』以西は依然回復が遅れている。長引く円高や天候不順などの影響を受けて『製造』『小売』などの業界で需要の減少に直面した。

・復興需要の影響が限定的なものとなりつつあり、踊り場局面が続く
 総じて内需は弱く、外需の停滞も続き全体として生産や出荷活動に回復がみられない。円高や原油・資源高によるコスト上昇などで収益性が悪化したほか、輸入品による価格競争の激化なども加わり、『製造』は2ヵ月ぶりに悪化し、5ヵ月連続で全体(37.7)を下回った。

 また、『小売』は消費税の引き上げ決定や復興増税など家計の負担増懸念のほか、厳しい残暑による秋物衣料の販売不振などが下押し要因となった。特に、エコカー補助金の効果が薄れてきたことに加え、メーカー各社のキャンペーンにより購入時期が分散化したことで自動車関連が大きく悪化した。個人消費による景気回復のけん引力は弱まっている。

 全体として政策支援による景気の回復力は弱まり、個人消費のけん引力も力強さに欠けている。国内景気は自律回復しておらず、復興需要の影響が限定的なものとなりつつあり、踊り場局面が続いている。


【今後の見通し】

■倒産件数は3ヵ月連続で前年同月比減少、今年最少を記録
 2012年8月の企業倒産は851件で、前年同月(969件)を12.2%下回り3ヵ月連続の前年同月比減少となるとともに、今年最少を記録した。一方、負債総額は2020億7700万円で、前月(7152億1200万円)を71.7%、前年同月(7975億8100万円)も74.7%下回る大幅減少となった。倒産件数が少なかったことに加え、負債100億円以上の倒産が、社団法人青い森農林振興公社(負債367億円、分収造林事業)、ツインフィールズ(株)(同189億6900万円、ゴルフ場経営)の2件のみとなったことで、負債総額が抑えられた。

■「金融円滑化法利用後倒産」、8月も過去最多を更新
 8月の「金融円滑化法利用後倒産」は45件判明し、前月(41件)を4件上回り過去最多となった。2ヵ月連続で過去最多を更新したことは、同法終了後を見据えた動きが活発になってきた証である。実際に「金融円滑化法が終了すれば借入金の返済負担が増加する。それを見越して民事再生法の適用を申請することに決めた」として倒産した企業も出現した。東京商工会議所が8月27日に公表した「中小企業金融に関するアンケート調査結果」によると、同法による中小企業の経営改善について5割強の金融機関がその効果を認めたうえで、6割強の金融機関が同法終了後に「倒産・延滞による不良債権の増加」などの影響を受けるだろうと回答している。「金融円滑化法利用後倒産」の件数推移を見ると、同法終了を待たずして“影響”は出始めており、言い換えれば、これは金融機関が進めている企業選別の結果と言えるだろう。

セーフティネット保証5号、原則全業種指定が10月末で終了
 中小企業庁は、東日本大震災の影響などを踏まえてセーフティネット保証5号の対象業種を原則全業種としていたが、11月1日以降、現在中分類で行われている業種指定について細分類(1133業種)で行ったうえで683業種を指定すると発表した。これにより1.主に大企業や公的機関が中心の業種、2.業況が改善したと中小企業庁金融課が判断した業種の合計450業種が指定から外れる。今回、指定業種から外れたのは、大手企業が2012年2月期決算で揃って営業利益で過去最高益を記録した「コンビニエンスストア」や、2012年4月時点の要介護(要支援)認定者数が543万7000人で前年同期比4.8%増となるなど高齢化とともに需要が伸びている「介護関連業種」等。しかし、危険物の規制に関する規則の改正に伴い腐食の恐れがある貯蔵用地下タンクの改修期限を来年1月末に控え、休廃業や倒産が相次いでいる「ガソリンスタンド」も指定対象外となった。今回の全業種指定廃止で手詰まりとなる中小企業も出てきそうだ。

■金融円滑化法終了と消費税増税で倒産増加懸念
 8月10日、消費税増税法案が成立した。これにより消費税は17年ぶりに引き上げられる。「国と地方の公債等残高」、いわゆる“国の借金”が2016年度には1000兆円を突破するとの見込み(内閣府試算)のなか「増税やむなし」との声もあるが、中小企業は「増税分の価格転嫁」という悩みを抱えることとなった。消費不振につながる可能性も否定できず、倒産件数の増加要因にもなりうる。前回増税時である1997年度は、金融機関の貸し渋りが社会問題化していた時期と重なり、倒産件数は前年度比17.4%増加を記録した。経済情勢が違うため一概には比較できないが、金融円滑化法の効果で資金繰り破綻を回避している企業が散見されるなかでの増税。しかも、増税時期は金融円滑化法の終了後である。中小企業を実質的に支援する政策が期待されるが、根本的には中小企業を取り巻く環境が改善しなければ、多くの企業が行き詰まると想定される。現在は、8月の倒産件数が3ヵ月連続の前年同月比減少となるなど、倒産が抑制されている局面である。しかし、長くは続かないだろう。2013年3月末に到来する同法終了を見据えた動きの更なる活発化とともに、倒産件数は増加傾向を示すものと見られる。


 詳細は資料をご覧ください。

 *資料は添付の関連資料「詳細資料」を参照

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