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富士経済、中枢神経領域治療剤や認知症治療剤などの国内市場調査結果を発表

2012-09-11

医療用医薬品 市場調査(2)
抗うつ剤を始めとする中枢神経領域治療剤、認知症治療剤などの国内市場を調査


認知症治療剤:11年1,274億円(前年比26%増)「アリセプト」ジェネリック、新薬発売相次ぐ
慢性疼痛治療剤:11年453億円(前年比2倍)新薬で新市場形成、「リリカ」適応拡大で需要獲得



 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、医師の診断と処方に基づいて使用される医療用医薬品について、国内市場の動向を2年間にわたって調査する。
 このたび、第2回(全6回)として、中枢神経領域治療剤(10品目)、認知症治療剤(1品目)、多発性硬化症治療剤(1品目)、疼痛治療剤(7品目)、婦人科・産婦人科疾患治療剤(5品目)の5薬効領域(計24品目)の市場調査結果を報告書「2012 医療用医薬品データブック No.2」にまとめた。


<調査結果の概要>

1.中枢神経領域治療剤(10品目)
 2011年:5,143億円
 前年比:107.3%
 2020年予測:6,678億円
 20年/11年:129.8%

 抗うつ剤、睡眠障害治療剤、統合失調症治療剤など10品目を対象とした中枢神経領域治療剤市場は、2011年に前年比7.3%増の5,143億円となった。景気低迷による社会情勢の厳しさと疾患啓発の高まりにより、精神疾患で医療機関にかかる人口も増加しており、抗うつ剤や統合失調症治療剤を中心に市場が拡大している。
 中長期的にも統合失調症治療剤、抗うつ剤が市場を牽引していくと見られる。また、パーキンソン病、てんかん、睡眠障害などは高齢者の罹患率が高いことから、高齢化に合わせて患者数増加が想定され、2020年には2011年比29.8%増の6,678億円が予測される。


2.認知症治療剤
 2011年:1,274億円
 前年比:125.6%
 2020年予測:2,471億円
 20年/11年:194.0%

 アルツハイマー型認知症治療剤を対象としている。1999年に「アリセプト」(エーザイ)が発売され、本格的に市場が形成されて以降、高齢化の進行により受診患者が増加し、市場拡大が続いている。「アリセプト」のジェネリック医薬品が2011年11月に発売され市場縮小が懸念されたものの、複数の新薬が相次いで発売されたことや「アリセプト」の実績拡大により前年比25.6%増の1,274億円となった。
 厚生労働省は在宅ケアを推進しており、非専門医向けのガイドライン策定を目指している。これにより早期診断や早期治療が進むと見られる。また、ジェネリック医薬品の登場により従来薬価の高さから処方が進まなかった介護施設などでも処方が進むと見られ、高齢化の進行以上に治療患者数の増加が予測される。後期開発段階のものもいくつかあることから、新製品に牽引されるかたちで市場拡大は続き、2020年には2011年比94.0%増の2,471億円が予測される。


3.多発性硬化症治療剤
 2011年:75億円
 前年比:105.6%
 2020年予測:142億円
 20年/11年:189.3%

 多発性硬化症とは、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、視力障害、四肢の麻痺、感覚障害などの症状が起こる。現在のところ完治が見込める治療法はなく、治療剤は再発防止や進行抑制が中心になる。早期治療が効果的であることが明らかになっており、世界的に早期診断が目標として掲げられる。
 2000年に注射剤の投入により市場が形成され、以降同剤形がスタンダードとなっている。2011年は前年比5.6%増の75億円となった。同年11月には経口剤が新たに投入されたが、販売開始間もないため浸透は緩やかな状況にある。経口剤の方が注射剤よりも使用しやすいため、今後は経口剤が市場拡大を牽引すると見られ、2020年は2011年比89.3%増の142億円が予測される。


4.疼痛治療剤(7品目)
 2011年:4,078億円
 前年比:109.1%
 2020年予測:4,354億円
 20年/11年:106.8%

 NSAIDs・解熱鎮痛剤、慢性疼痛治療剤、外用消炎鎮痛剤など7品目を対象としている。疼痛治療剤の対象疾患は膝痛、腰痛、肩こりから帯状疱疹後疼痛や線維筋痛症までと幅広い。疼痛患者には、一般用医薬品使用者、整体や針灸通院者も多く、医療用医薬品による投薬治療を行っているのは一部に留まる。特にNSAIDs・解熱鎮痛剤や外用消炎鎮痛剤は、ロキソニン、フェルビナクインドメタシンなど一般用医薬品に転用されたスイッチ成分も多く、医療用医薬品と一般用医薬品は競合している。
 医療用医薬品としての疼痛治療剤市場は外用消炎鎮痛剤や慢性疼痛治療剤を中心に拡大している。特に、2010年の「リリカ」(ファイザー)、2011年の「ノルスパン」(久光製薬)と新製品投入が続いた慢性疼痛治療剤が市場を牽引しており、2011年の疼痛治療剤市場は前年比9.1%増の4,078億円となった。今後、高齢化の進行によって患者数の増加が想定され、2020年は2011年比6.8%増の4,354億円が予測される。


5.婦人科・産婦人科疾患治療剤(5品目)
 2011年:563億円
 前年比:116.3%
 2020年予測:680億円
 20年/11年:120.8%

 排卵障害治療剤、経口避妊薬など5品目を対象とした婦人科・産婦人科疾患治療剤市場は、2011年に前年比16.3%増の563億円となった。出生数減少による治療対象患者の減少により切迫早産治療剤・陣痛促進剤は縮小が続いている。この他の品目は2000年代後半から相次いで投入された新規作用機序の製品や、参入各社の啓発活動により市場は拡大が続いている。特に経口避妊薬や更年期障害・月経障害治療剤では、潜在需要の顕在化が進んでおり、不妊治療の認知度向上により排卵障害治療剤市場が拡大した。
 2020年の婦人科・産婦人科疾患治療剤市場は、2011年比20.8%増の680億円が予測される。緊急避妊薬、機能性月経困難症治療剤など新たに適応拡大が見られたものについては、潜在需要の顕在化が進むことで需要拡大が期待できる。しかし、将来的には対象人口の減少に伴う患者数の減少により、成長は鈍化していくと見られる。


<注目市場>

1.抗うつ剤【中枢神経領域治療剤】
 2011年:1,237億円
 前年比:107.2%
 2020年予測:1,714億円
 20年/11年:138.6%

 抗うつ剤は主に、1980年代以前に投入された三環系・四環系、第一選択薬のSSRI・SNRI、2009年に投入されたNaSSAに分かれる。
 うつ病患者数も増加しており、2011年の市場は前年比7.2%増の1,237億円となった。第一選択薬のSSRI・SNRI中心の市場となっており、抗うつ剤の7割以上を占める。なお、三環系・四環系とNaSSAがそれぞれ1割程度を占める。
 2020年の市場は、2011年比38.6%増の1,714億円が予測される。NaSSAについては、患者の症状によってSSRI・SNRIと使い分けが進み市場は徐々に拡大すると予測される。またSSRI・SNRIは比率低下が見込まれるものの市場拡大が続くと見られる。なお、三環系・四環系は、市場縮小が続くと予測される。


2.慢性疼痛治療剤【疼痛治療剤】
 2011年:453億円
 前年比:203.1%
 2020年予測:766億円
 20年/11年:169.1%

 NSAIDs・解熱鎮痛剤や外用消炎鎮痛剤などではコントロールできない神経因性疼痛や難治性の腰痛などの慢性疼痛は有効な治療剤が少ない状況が続いていた。しかし、1999年に「ノイロトロピン」(日本臓器製薬)が帯状疱疹後疼痛の適応拡大を果たしたことで市場が拡大した。
 2010年6月に帯状疱疹後疼痛の適応で投入された「リリカ」が同年10月の末梢性神経障害性疼痛の適応拡大を契機に大きく拡大し、2011年には「ノルスパン」、「トラムセット」(ヤンセンファーマ)の非麻薬性疼痛治療剤が新たな市場を形成し、2011年の市場は前年比2倍の453億円となった。
 帯状疱疹後疼痛は高齢者が罹患するケースが多く、高齢化に伴う拡大が見込まれる。また、慢性疼痛治療剤は適応拡大によって新たな需要獲得が見込め、2020年には2011年比69.1%増の766億円が予測される。


<調査対象>

・中枢神経領域治療剤
 抗うつ剤、双極性障害治療剤、抗不安薬、睡眠障害治療剤、統合失調症治療剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン病剤、レストレスレッグス症候群治療剤、ADHD治療剤、神経変性疾患治療剤

・認知症治療剤

・多発性硬化症治療剤

・疼痛治療剤
 NSAIDs・解熱鎮痛剤、慢性疼痛治療剤、ステロイド系消炎鎮痛剤、外用消炎鎮痛剤、麻酔用剤、筋弛緩剤、片頭痛治療剤

・婦人科・産婦人科疾患治療剤
 子宮筋腫・子宮内膜症治療剤、経口避妊薬(緊急避妊薬含む)、排卵障害治療剤、切迫早産治療剤・陣痛促進剤、更年期障害治療剤・月経障害治療剤


<調査方法>
 富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査


<調査期間>
 2012年5月〜7月


以上


 資料タイトル:「2012 医療用医薬品データブック No.2」
 体裁:A4判 373頁
 価格:170,000円(税込み178,500円)
 書籍・PDF/データ版セット 190,000円(税込み199,500円)
 調査・編集:富士経済 東京マーケティング本部 第二統括部 第三部
         TEL:03−3664−5821 FAX:03−3661−9514
 発行所:株式会社 富士経済
       〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
       TEL:03−3664−5811(代) FAX:03−3661−0165 e−mail:info@fuji-keizai.co.jp
       この情報はホームページでもご覧いただけます。
       URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/ https://www.fuji-keizai.co.jp/

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