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富士経済、接着剤・粘着剤・シーリング材市場を調査結果を発表
接着剤、粘着剤、シーリング材市場を調査
酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤市場は2011年に数量ベース前年比10.8%増
・・・震災復興需要の顕在化、溶剤形接着剤からの切り替え需要により各用途分野で需要が急拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、合板や木工、建築、包装・製本・紙加工、繊維、エレクトロニクス、自動車・車両などのあらゆる分野において、様々な用途で使用される接着剤、粘着剤、シーリング材の市場を調査した。その結果を報告書「2012年 粘・接着剤市場の展望とグローバル展開」にまとめた。
この報告書では反応形や溶剤形、水性形などといった6形態・種類、30品目の接着剤、粘着剤、シーリング材の国内市場を調査し、用途動向、流通動向、技術的課題や新製品動向などを分析するとともに、海外市場についても調査・分析した。
<注目市場>
1.フェノール樹脂系接着剤
国内市場 2011年 前年比 2016年予測 11年比
11.6万トン 105.5% 12.6万トン 108.6%
137億円 105.4% 150億円 109.5%
フェノール樹脂系接着剤は、ホルマリンを縮合剤に使うホルマリン系木質用接着剤の一つであり、加熱によって硬化させる接着剤である。用途はほぼ100%合板用途となっている。スギなどの針葉樹の合板に適しており、ホルムアルデヒド放散量も少ない。薄く削った木材をフェノール樹脂系接着剤で加圧熱接着することで安価に平らで強度のある合板の製造が可能となる。
2009年は景気後退による住宅市場の低迷から需要が減少したものの、2010年は国内で南洋材(熱帯地域で産出される木材)合板から国産材を用いた針葉樹合板への切り替えが進み、ホルムアルデヒドの放散が少なく、針葉樹合板に適していることから需要が伸びた。2011年はユリア、メラミン樹脂系接着剤からの代替もあり、需要が伸びた。合板メーカーは設備投資を行い合板の生産を増強させている。2012年以降は針葉樹合板向けを中心に、市場は数量、金額共に年率1〜2%程度の拡大推移が予測される。
2011年の世界市場は99.8万トンとなった。フェノール樹脂系接着剤の需要は、東南アジアではラワン等の南洋材が多いため小さいが、中国ではロシアから輸入される針葉樹の北洋材(ロシアのシベリア地方で産出木材)の合板生産が多く、拡大している。米国や欧州でも合板製造に針葉樹が主に用いられているため需要が大きい。
2.酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤
国内市場 2011年 前年比 2016年予測 11年比
8.2万トン 110.8% 8.3万トン 101.2%
151億円 107.9% 151億円 100.0%
酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤は、水性接着剤である。溶媒(水)の乾燥のみで接着可能で使いやすく、硬化後は無色透明で可撓性(かとうせい)があり、分解による老化性が少なく、ポリマー組成を変更することで多様な用途で使用可能などの特徴がある。一方、耐熱性、耐水性、耐溶剤性やプラスチックフィルム等の難接着素材への接着性に劣る。主に包装・紙加工、二次合板、木工、建築などの用途で使用される。
2011年は東日本大震災後から7月頃にかけて復興需要が顕在化したが、溶剤形接着剤が溶剤や原料のひっ迫で入手困難となり、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤への切り替えがあったなどから包装・紙加工、建築をはじめ各分野で短期的に需要が拡大した。2012年、2013年も建築分野を中心に復興需要が見込まれるが溶剤形接着剤の供給も安定してきており、市場は小幅な増加に留まると見られる。以降は復興需要が落ち着き、2015年頃から市場は縮小に転じると予想される。
2011年の世界市場は105.2万トンとなった。日本や欧米からシフトした木工や包装・紙加工分野の生産拠点が集中する中国をはじめとしたアジア地域で需要拡大が続いており市場をけん引している。欧米でも木工や包装・紙加工分野を中心に需要があるが、市場は成熟している。
3.ウレタン樹脂系接着剤
国内市場 2011年 前年比 2016年予測 11年比
6.2万トン 101.6% 6.5万トン 104.8%
234億円 106.4% 247億円 105.6%
ウレタン樹脂系接着剤はウレタン樹脂を主成分とする化学反応系接着剤であり、プラスチックや金属、木材、無機材料への接着性に優れる。主な用途としては、食品用軟包材のラミネート、床・壁材などの内外装、自動車のダイレクトグレージング(ボディとガラスの接着)やハンドル、インパネなどの接着に使用される。
2011年は東日本大震災からの復興需要や資材確保のための駆け込み需要があったものの、以降はその反動もあったため、通年では市場は微増に留まった。しかし、金額ベースは材料である溶剤価格が供給不足により値上がりしたため前年比6.4%増となった。2012年は後半から復興需要の顕在化が期待されるが、大幅な需要拡大には至らないと見られる。
2011年の世界市場は37.7万トンとなった。中国をはじめとしたアジア地域では、包装や建材、皮革分野の生産拠点がシフトしてきていることや、経済成長に伴う内需の増加により、ウレタン樹脂系接着剤の需要拡大が続いている。欧米でも建築や自動車分野で採用されているが、需要は飽和しているため、今後もアジア地域での需要拡大が市場を牽引していくと予想される。
4.ブチルゴム系ホットメルト形接着剤
国内市場 2011年 前年比 2016年予測 11年比
3,000トン 103.4% 3,350トン 111.7%
35億円 102.9% 38億円 108.6%
ブチルゴム系ホットメルト形接着剤は、ブチルゴムを主成分とするホットメルト形接着剤である。主に自動車のドアスクリーンの貼り合わせや太陽電池モジュールとアルミフレームのシーリング用途などに使用される。
2010年は太陽電池生産の拡大により太陽電池向けや、生産台数の落ち込みが回復した自動車分野向けが伸び、市場が大幅に拡大した。2011年は自動車分野向けが横ばいで、太陽電池向けの伸びが減速したことから、市場は数量ベースで前年比3.4%増に留まった。2012年は太陽電池が供給過多となっており、その材料の在庫削減が進められていることから、需要が減退し市場が縮小すると見込まれる。2013年には太陽電池生産が拡大に転じ需要が増加するため、市場は数量ベースで年率5%程度の拡大が予測される。
<調査結果の概要>
※表資料1は添付の関連資料を参照
合板分野は数量ベース全体の30%と最も大きなウエイトを占めるが、接着剤の単価が低いことから金額ベース全体の9%のウエイトである。フェノール樹脂系やユリア樹脂系、メラミン樹脂系をはじめとした水性形接着剤の需要が大きい。
包装・製本・紙加工分野は接着と剤粘着剤で数量ベース全体の24%を占める。粘着剤では主にアクリル樹脂系エマルジョン形粘着剤がシール・ラベル等の粘着加工で大量に使用されており、接着剤では主にエマルジョン形、ホットメルト形などの需要が大きい。
建築分野は接着剤、粘着剤、シーリング材で数量ベース全体の20%を占める。シリコーン系や変性シリコーン系、ポリウレタン系といった機能性が高く、ロットの小さい個包装で出荷されるシーリング材の需要が大きいため、金額ベースでは全体の36%と大きなウエイトを占める。
エレクトロニクス分野は接着剤と粘着剤で数量ベース全体の8%であるが、金額ベースでは全体の16%のウエイトを占める。エレクトロニクス分野はクリーンルーム対応といった品質や高機能性、高信頼性が求められるケースが多いため接着剤の単価が高い。また、エレクトロニクス分野では光学フィルムの粘着加工で需要があるアクリル樹脂系溶剤形粘着剤の需要が大きい。
<調査対象用途分野、形態/種類、品目>
※表資料2は添付の関連資料を参照
<調査方法>
富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング及び関連文献、社内データベースを併用
<調査期間>
2012年4月〜6月
以上
資料タイトル:「2012年 粘・接着剤市場の展望とグローバル展開」
体裁:A4判 325頁
価格:97,000円(税込み101,850円)
PDF/データ版セット 107,000円(税込み112,350円)
調査・編集:富士経済 東京マーケティング本部 第二統括部 第三部
TEL:03−3664−5821 FAX:03−3661−9514
発行所:株式会社 富士経済
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