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清水建設、福島県双葉郡でセシウム汚染土壌の実証浄化プラントを本格稼働

2012-08-18

セシウム汚染土壌を特殊な薬剤で効果的に浄化
〜汚染土壌の80%を再利用へ〜



 清水建設(株)<社長 宮本洋一>が福島県双葉郡広野町に建設したセシウム汚染土壌の実証浄化プラントが本格稼働を開始。高い浄化率と高い減容率を両立させた新開発のスクラビング(擦りもみ洗浄)機能が威力を発揮しています。実証浄化プラントは、環境省の除染技術実証事業として建設したもので、事業を通じてプラントのスクラビング機能を実証するとともに、浄化プロセスの無人化、浄化コスト2万円/m3の実現を目指します。

 環境省では、中間貯蔵施設に保管するセシウム汚染土壌等は東京ドーム23杯分、2,800万m3に達すると試算しており、貯蔵施設の大規模化が懸念されるとともに、建設用地の確保が大きな課題になっています。このため当社は、施設に保管する高濃度汚染土の減容化がこうした課題解決につながると考え本浄化プラントを開発しました。再利用可能な土壌の基準濃度はまだ示されていませんが、浄化処理により最大で汚染土壌の80%程度を再利用できるものと考えています。

 当プラントの浄化プロセスは、分級(フルイ分け)処理、スクラビング処理の順に進みます。最初に汚染土壌をフルイに投入し、粒径2mm以上の再利用可能な土壌をフルイ分けて回収。続いて残りの土壌を遠心分離機(ハイドロサイクロン)にかけ、粒径63μm以下の高濃度汚染土と粒径63μm〜2mmの土壌とに再分級します。次のスクラビング処理では、新開発の機能により、粒径63μm〜2mmの土壌からセシウム付着部を効果的に剥がし取り回収します。

 新開発のスクラビング機能の特徴は、高い浄化率(汚染濃度を83〜96%低減)を維持したまま、高濃度汚染土の減容化率を従来より10ポイント程度、例えば減容化率が70%なら80%にアップできることです。これは、土粒子表層を効果的に薄く剥離させる薬剤とその使用量、スクラビング時間の組み合わせの最適化により可能になったものです。実験では、脂肪酸塩等のアニオン系薬剤を用いることにより、直径比率で汚染土壌表層部のわずか2%を剥ぎ取ることに成功しています。従来は、土粒子を掻き混ぜ粒子表面を擦り合わせるだけの単なる機械的な処理であったため、剥離圧を調整できず、土粒子の表面を必要以上の厚さで剥離させていたので、一層の減容化が求められていました。

 なお、本実証プラントでは、高濃度汚染土壌の減容化を進めるだけでなく、浄化の最終プロセスである高濃度汚染土の脱水作業、脱水した土壌の袋詰作業を自動化することで、作業者の被曝も最小限に留めています。また、プラントの要素技術は、当社が200万トンの浄化実績を持つ重金属等を対象にした土壌洗浄プラントを基に開発したものであり、処理能力が40〜80t/時の実用レベルのプラントの建設が可能です。


以上


≪参考≫

1.高濃度汚染土
 高汚染物質が濃縮し高線量となる土壌のことで、濃縮残渣と呼ばれる。

2.分級処理
 土粒子の汚染濃度は、粒子径が小さくなるほど高くなる。理由は、汚染物質が土粒子の表層に付着し、かつ土粒子表面積/土粒子重量の比率が粒径が小さくなるほど大きくなること。これまで当社が実施したセシウム汚染土壌浄化から得たデータにより、粒径2mm以上は再利用可、粒径63μm以下は再利用不可としている。


 ※参考画像は添付の関連資料を参照

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